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わたし、火星人に恋をしてた

人生にモテ期は三度訪れるらしい

高校3年の夏から秋にかけて
それはやってきた

クラスに転校生がやってきた
名前は火野原 星矢くん

どこから転校してきたのだろう
日本人離れした顔立ち
日焼けをした真っ赤な肌から
スポーツ万能をうかがわせたが
天文部に入った

転校直後に開催された体育祭
彼の体をクネクネさせた
ひょうきんな走りには
皆笑わされた

演劇を出し物に決めた文化祭
彼の家はガスボンベ製造業を営んでいるとかで
「スモーク担当なら俺に任せてよ!」
と、大量のドライアイス準備に一役買い
最高の舞台演出に成功した

あっという間に
クラスに溶け込み
体育祭や文化祭で
みんなが一致団結!
そんなタイミングに便乗してか
携帯番号を交換した

いつものことなら番号交換したら
お相手には私からメールを入れる
それが私のマイルール

例外なくその夜もメールを作成したが
送信前に星矢くんからメールが来た
星矢くんの返信はいつだって
驚くほど早かった

「ねぇ キミって火星好き?
 火星って 2年2ヶ月ごとに
 地球に最接近するんだよ」

「今度 うちにおいでよ!
 とっておきのマシーン 
 キミに見せてあげる」


不思議な転校生からのアプローチ
モテ期未経験の私にとっては〝違和感〟

転校してきたばかりの星矢くんは
遅刻とは無縁

一方私は……
朝礼の出欠確認ではいつも息を切らし
「呼ばれる前に席についたんでセーフです!!」
ときには上履きだけ教室に投げ込んで
「滑り込んでます!!」

ある日をさかいに
自転車置き場から下駄箱まで
猛ダッシュ中に
星矢くんから声をかけられるように

不思議なのは
まるで気配なく
突然現れる星矢くん
なんだろう この違和感

「おはよう! 今日もヤバいね」

いつしか毎日のことになり
一見すれば 二人が一緒に
登校してきたふうになる


転校生の星矢くんに
ノートを貸してと頼まれた

「転校してくる前のノートが欲しいんだ」

全てのノートを貸してあげたのに
30分で ありがとう と返された 
違和感でしかない

家に帰ればメールがくる
今度の天体観測で
初めて火星をこの目で見るんだ! と
心弾ませてた

「明日さ 地球と火星が最接近するよ!
 絶対に見たい! 晴れるといいなぁ」

「子供っぽいけどさ
 てるてる坊主になっちゃった!
 キミもてるてる坊主よろしく!」って

お、おぅ……

てるてる坊主にコスプレした自撮り写メ
てるてる坊主というよりは
それ タコみたいだよ

私が風邪で学校を休んだ日のこと

「あとで電話していい?」

こちらから何かあったのかと電話すると

「今日どうしたの? 風邪?
 明日は来れそう? 今日のノート貸すよ
 ていうか 5時間分のノート
 今全部書き写してるから あげるよー!」

そ、そんな大変なこと
しなくていいよ
そう言うと

「楽勝! 楽勝! 5分くらいで出来るし!」

と、笑ってた


星矢くんなりのアピールは
私の心を動かして
私から好きになった
と、言わせたい空気

星矢くんは 私のことが好きなんだ……

戸惑った私は避けてしまった
ノートも自分で書くからいいと断り
次の日から10分早く登校するようになった


冬になり 
星矢くんは 家の事情で 
田舎に帰ることになった

「今はまだちょっと遠い
 でも 近い将来
 キミたちも遊びに来れるところだよ」

って ちょっぴり寂しそうに私を見てたね


その現実で初めて
私は星矢くんがどこから来たのか気付いたよ

遅刻と無縁 不意な出現 とっておきのマシーン
宇宙船で瞬間移動してたからだったんだ

北極や南極はドライアイスの氷なんだってね
だから たくさん持ってきてくれたんだね

メール打ったりノート書いたりに苦労しないのは 
手足が8本もあるから 同時に何でも出来るんだ

私だって自分の住む地球観測したことないもん
火星観測……そりゃ さぞかし心弾んだよね

転校してきたのは そう
地球と火星が最も接近するころだった

もっと 早く気づけば良かったな
他の男子にはない 星矢くんの魅力に



私にとって初めてのモテ期
相手は火星人だった




第二話
↑↑↑
第二話はコチラから♪
お読みいただきありがとうございました🕊


作文教室の先生 高清水美音子さんのリクエストにより、自身の恋愛経験をパロディにしてみました。
ももまろさんの
ショートショートはフィクション
エッセイと日記はノンフィクションというTweet
こんなことも知らない私でした(笑)
これが、人生初の「ショートショート」デビューです😊

なんだか創作していて楽しくなりました♪

出来たー❣️ やったー🤗

元ネタはこちら↓


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ありがとうございます😊 小さくても沢山の幸せを届けられるように頑張ります!