妊娠日記77 「赤ちゃんは理由なく逆子にならない」ってほんとな気がする
ささいなこともいつもより気になってしまう妊娠期間。
ちょっとしたことにヒヤッとする場面はいろいろあった気がするけれど、いま振り返って思い出す2大出来事といえば私の場合、彼のコロナ感染と逆子(さかご)です。
どちらも妊娠後期、8ヶ月目に起きたことなのですが、今回は逆子について書きたいと思います。
「赤ちゃんは理由なく逆さまにならない」という、妊娠中に読んでいた本にあった言葉の意味を実感する出来事でした。
ベッドに横たわった私のお腹を触りながら、助産師のMさんが「いま逆子ちゃんみたいやねえ」と言ったのは妊娠8ヶ月の妊婦健診のとき。
ああー……
ちょっと嫌な予感がしてたけど、やっぱりそうでしたか。
じつは前の日の夜、ベッドに横たわっていたらぐるん!と赤ちゃんが回転したような感覚があったのです。
すべての助産院がそうかはわからないけれど、M助産院には病院のようにエコーで赤ちゃんを見られる機械はなく、でも助産師さんはお腹の上から触って赤ちゃんの姿勢や向きがわかります。
Mさんの触診によると、前回までは下にあった赤ちゃんの頭が、いまは上になってしまっている。
赤ちゃんは頭が下にあるのが正常な体制で、それが逆になった状態は「逆子」と呼ばれます。
胎児の頭が上のままで出産を迎えてしまうと、産道をくぐって母親の体から出てくる最後、一番大きい頭部がつっかえる可能性があって危険と言われています。
だから、たとえ助産院や自宅での出産を希望していても、最後まで逆子だと帝王切開で生むことに。
もうこの頃にはすっかりM助産院で出産する気満々、なにがなんでも助産院で産みたい!と思っていた私にとって、妊娠後期での逆子宣告は焦らざるをえないバッドニュースでした。
もしもこのままだったらどうしよう…。
ひとまず2週間後までに逆子ちゃんを脱したいね、ということになりました。
というのも2週間後に提携のK病院で出産に向けて諸々の検査を受ける予定があり、そのときにまだ逆子だと、帝王切開の話を進められるかもしれないためです。
逆子を治す体操などその場でいろいろ伝授してくれたMさん。
「でもいちばん大切なのは、」と前置きしてこう言いました。
「お腹の赤ちゃんにお願いすることです」と。
「赤ちゃんはお母さんのことが大好きだから、お願いは結構聞いてくれはります」
「お母さんが『頭を下にしてね~』とかお腹をこう、くるっと触りながら『こうやで、こっちやで~』って言ってあげると、赤ちゃんも『ほな、そうしよか』って回ってくれるもんなんです」
今日から毎日逆子体操をして、1日何度でもお腹の赤ちゃんにお願いしよう!
そう心に決めながら私が思い出していたのは、ちょうどその頃読んでいた本にあった言葉。
お医者さんであり助産師でもある女性が書いたその本には、「赤ちゃんは理由なく逆さまにならないと思う」とありました。
このタイミングで赤ちゃんが逆子になった理由にかなり心当たりがあった私は、赤ちゃんの言葉なきメッセージにハッとし心の中で一人反省モードに入っていたのでした。
そのお医者さんのように、赤ちゃんが逆子になる時というのは往々にしてなにか伝えたいメッセージがあるものだ、という人がいます。
逆さまになってでも注目してほしい、なにか訳があるのだと。
そう捉えてもいいし、もちろんそんなふうには捉えず「単なる胎児の気まぐれ」「逆子に理由なんてない」と考えてもいい。
だけどとにかく私には「逆子になることで赤ちゃんが私に伝えたいこと」に思い当たる節がありました。
その頃の私の体重は、妊娠前と比べてプラス3キロ。健診ごとに順調に増えつづけていました。
妊娠後期で体重が増えつづけるのはあたりまえで、むしろ減ったらゆゆしき問題です。
それに私の体重の増え方は妊婦としてはかなりゆるやかな方だったと思う。
だけど女性として、どうしても「体重が増えること」への抵抗を完全には手放すことができずにいました。
「妊娠」という体重が増える正当な理由があったとしても、それとは関係なしに、体重が増えること自体へのイメージは相変わらずあまりポジティブではなかったのです。
だから「できるだけ体重増加は最小限に抑えたい、あわよくば産んだらすぐに戻したい」というのが当時の私の願いでした。
もちろん自分のためにも赤ちゃんのためにも食事制限などはしないけれど、お菓子ひとつ食べるにも逡巡し、
彼の仕事の都合などで夕食が少し遅くなった日なんかは「遅い時間に食べると太るからいやなの!」と毎度カリカリしていました。
妊娠前は乗る習慣のなかった体重計に毎朝乗っては一喜一憂。
ちょっとしか増えていない日は胸を撫で下ろし、そうでない日は軽くショックを受けたり。
さらに妊婦検診には、健康診断前の女子高生のごとく「体重を軽くする裏技」まで調べて臨む始末。
この日も体重測定があるからと朝はあまり食べずに向かい、そればかりでなく夏というのに水分摂取すら我慢して妊婦検診に臨みました。
(おかげで尿が濃くなり、その日の検査では尿蛋白が+となりました)
そこにきて、この逆子です。
赤ちゃんが「ほんとうに大事なのはそっちじゃないでしょ。ちゃんと僕のことを見て!」と言っているとしか、私には思えませんでした。
毎日毎日自分の体重のことばかり気にしていたけれど。
間違いなく、いま私が集中すべきはそこではないのです。
どうでもいいことに振り回されずにちゃんと本当に大切なものを見てねという、赤ちゃんからのメッセージをひしひしと感じずにはいられませんでした。
その日から私が毎日逆子体操に励み、ことあるごとにお腹に話しかけたのは言うまでもありません。
(「◯日までに頭を下にしておいてね」「あと◯日以内にくるっと回転してね」と日付や期限を指定して。笑)
そのかいあって、K病院での検査時には赤ちゃんはまた正常な姿勢に戻っていてことなきを得たのでした。
赤ちゃんはお母さんのお願いを結構聞いてくれる。
そのことに味をしめた私は臨月には「ママもがんばるからべびちゃんも上手に生まれてきてね〜」とか「あと◯日以内に生まれてきてね〜」と毎日のようにお願いしました。
また別の記事に書きますが、赤ちゃんはそのお願いのどれもを、見事に聞いてくれたのでした。
坊やがお腹にいたころの、思い出深いコミュニケーションのお話でした。♡
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