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古代ローマ ごくふつうの50人の歴史(ブックレビュー)

「古代ローマ ごくふつうの50人の歴史
     無名の人々の暮らしの物語」
河島思朗 著

世界史の学び直しをする中で
昔の人々って、どんな生活をしていたんだろう?って、思いを馳せることがあります。

何を食べて
何を感じて
何を考えて暮らしていたのか

今よりももっとシンプルな暮らしで
今よりももっと命懸けで暮らしていたのかなとか、想像したりするんですが

そんな問いにヒントを与えてくれるのがこの一冊。

古代ローマに暮らしたふつうの人々が
どんな暮らしぶりをしていたのかが垣間見られる書籍なんです。

古代ローマの人々は、ざっくりと2通りに分けることができます。

①自由人
②奴隷

自由人の中には、ローマ市民の他、開放奴隷と呼ばれる、元奴隷だったけど解放され、自由を得られた人々も含まれるんだそうです。

生まれた立場や環境が違う人々が暮らす古代ローマ。

火山の噴火で埋もれた街、ポンペイの遺跡などの研究から、当時の生活の様子を伺い知ることができるんです。

驚いたのは、紀元前後あたりのローマには、すでに生活のインフラが整えられ、医療は発達し、高度な建築技術を持ち、専門性をもった人々がおり、豊かな食生活で、人々オシャレも楽しんでいる...ということ。

その頃中国では漢王朝、日本は倭の国の時代でしょうか。日本に比べて、その頃のローマの文明はかなり発達している印象を受けました。

ワインなどの交易も盛んで
パンの種類も豊富で
医師は手術も施してくれるし
女性はおしゃれや恋愛も楽しむ。

奴隷であっても、主人によっては
豊かな生活ができたり
実績を積んだり、人柄によったりでは
奴隷解放してくれたりと

奴隷という生まれながらの地位そのものより
その後の環境の方が、生活を左右することになるようで
一概に奴隷だから辛い日々を送っていたと言うわけでもない世界で
シンプルながらも、比較的幸せな日々だったんではないかなと
読んでいて感じました。

すでにアルファベットの文字があり、
立派な石碑に、美しい字で心のこもった碑文を書いてもらえて
その心が、何千年も後の私たちにも届く
素敵なローマの古代文明

その地、その時を生き生きと暮らした
名もなき普通の人々が
温かい人に囲まれ、幸せな人生を送っていた
そんな様子を垣間見れた
素敵な一冊でした。

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