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私小説【愛と恵みがいつまでもありますように】私を最も困難にする日

ご無沙汰しています。早いものですでに11月になってしまいました。私がオメガバースであると診断が下ってすでに10か月。とても困難の多い2020年となったわけですが、それよりも自分がどうしてこんなにも困難の多い人生であるか解明されたわけですから、私の中でくすぶっていた「何であるか」という不安は解消された記念すべき1年だったともいいかることができます。

さて、オメガバースの発情は月に4回新月、上弦の月、下弦の月、そして満月であると申し上げましたが、それは私の発情でありますから私も相手も気を付けるべき日なわけですけれども、オメガバースには生まれた日の「リリス」というものの正体を知っておく必要があるのだと先日、主治医が抗議のためにある方を紹介してくださいました。

この方は高名な天文学者…となるべき方だったわけですが、フリーメイソンの会員になられたことで表舞台よりもより先進的で秘密裏にすすめるべき任務を与えられ生まれたと、天啓の後、誓約式が執り行われ「生きているうちは名の知れぬ天文学者」となったのだそうです。

学問の系統でいけばケプラーが創始となる派閥に属していくことになるのだそうですが、まず、私はその講義で天文学と星占いの関連性を学びました。星占いといいますと、怪しげで論理性のない非科学的なものであるという概念がこの世界には今蔓延しているわけですけれども、フリーメイソンを筆頭に「宇宙と神秘」を科学として継承している一部の知識人たちの間では、宇宙の中にある地球に命を授かったものの最初の科学であるという認識なのだそうです。

さて、この星占い、ホロスコープですが、おひとりおひとりの必ず別々の形で地図として与えられています。生年月日、時間、どこで生まれたかこれらを精密に計算していくと地図が出来上がります。その中で、誰しもが「リリス」というものをもっているわけですが、このリリスというのがとても厄介な位置を示し、私のようなオメガバースは特に気を付けて「天気予報」として見つめていく必要があるのだそうです。ベータの女性たちは金星を見ます、アルファの女性たちは金星と火星を見ます、しかしオメガバースたちだけはこのリリスという星を見て自分を探っていきます。リリス、アダムの最初の妻であり、好色すぎてしまい後にルシファー(悪魔)の妻になったという伝説のある星です。リリスはダークムーンの異名もあり、輝く美しく愛でられる月の対極にあるとされています。表にたつ清楚な女の裏側という解釈と、妻と恋人という解釈があります。どちらにしろ、仄暗くなまめかしい女の素性とでもいいましょうか、ただし、この仄暗いなまめかしさは誰もが持っている女の素質ではありません。ですから、オメガバースだけはリリスをしっかり見ておきなさいと言われるのだそうです。

私のリリスはふたご座に位置しています。月星座は今や簡単にインターネットで把握することができますが、月星座がふたご座の時私の目は色を変えます。一度見たことがある人なら説明もいらないのですが、なんとも形容しがたい目になるのです。視線の合致がロックをかけてしまうと言いましょう、すべてを飲み込んでしまう怪物といいましょうか、その時私は女ではなくなり、相手の男性は人ではなくなるのです。

月星座がふたご座の時、私が恐れるものはなにひとつなくなります。それはアルファたちのハンティングにおびえることもなく、まるで冥界の女王になったような、威厳と畏敬を放散させている。だから、そんな時私は何かを違えてすべてを破壊しないように気を付けなければいけません。例えば、この月星座がふたご座の日と月に4回の発情期と重なってしまったら、私は見境なく食い散らかすでしょう。そしてアルファさえ飲み込んでしまうような、主導権と支配力をもって事に及ぶのです。アルファははじめての支配に恐れおののきながらも、何かを傷として負い、その傷を毎日、毎時間大切に大切に舐めるように慈しみます、そう自らの意思とは関係なく地獄に入ってしまうのです。そして、私が冥界の女王になれるのは、その力は言わずもがな月星座がふたご座の時だけです。そのあとは、創造にも耐えられない混とんが待ち受けています。では、今日はこれで。

あなたの今日が愛と恵みに満たされた日となりますように。。。

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