私小説【愛と恵みがいつまでもありますように】陸の暴走
永さんと付き合っていることは申しましたでしょうか?
もう昨日が明日のようであり、明日が今日のあり、時間感覚が混とんとしていますから同じことを繰り返していたとしたらどうかお許しください。
永さんと付き合うようになって、レイの束縛が激しくなりました。というよりも私が知らない部分で束縛をしているのです。知らない間に私のスマートフォンにはストーカーアプリが入れられていたり、ひとり部屋で閉じこもっていた時の内容が筒抜けになっていたり(どうやら盗聴器をしかけているようなのです)、永さんとのデートをすべて把握していたり。それでもおかしいと思うのは永さんに対しては一切の嫉妬をしないのです。奪い去りたいとかそんなこともなさそうであるから、私としてはレイの思いを測りかねています。何を思っているのか、と。レイが接触してくるのは永さんとの約束がない一瞬の時間です。見計らったように、その時にもぐりこんできます。だから私は断る理由も後ろめたさもなくレイと過ごしてしまいます。ちょうど2日空く曜日を寸分たがわず、もぐりこんでくるのです。
永さんと付き合うようになってレイ以上に恐ろしいのは陸です。私が連絡をしなければ接触をしなくなってしまったのです。それどころか、私がすがるように見つめても何も反応をしめしません。一度道でばったり出会ったときもそうでした。他人というよりもないものとして視線すら合わせなかったのです。私は躍起になり一方的に約束を投げつけました。いつもなら遅れてニタニタしながら来るのに、陸は来なかったのです。私も意地になって、そのそばのホテルに宿泊して何日も待ちました。それだのに、来なかったのです。あとで知ったことでしたが、休日だというのにあえて出勤をして仕事をしていたようなのです。私は烈火のごとく怒りました。どう怒りを表現すべきか、どうすれば陸心をえぐれるかそればかりを考えていました。一番大きな傷をつけてやろうと思って何日も何日も陸のことばかりを考えました。永さんとのデートを断り、何日も何日も部屋の中で汚い言葉で陸を罵り続けました。もちろんレイは一度も接触してきませんでした。
また発情期が来ると言うのに、私は怒りに注力しています。
陸の心と体をどうしたらえぐれるか、そればかりを考えて週末を無火曜としています。陸のことを知りたいのです、陸に無視をされたくないのです、陸をこの手中の中にだけとどめておきたいのです。
陸、最初から私を知っているのはあなたじゃない。最初に私を奪ったのは、傷つけたのはあなたじゃない。どうして無視をするの?どうして消えようとするの?ねえ、理由を教えて。わかりやすく、教えて。沈黙で私に伝えられることは今はないの。ねえ、ねえ、、ねえ!!
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