![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/106314222/rectangle_large_type_2_c60adb2f5c511aa067dc4942772ae135.jpeg?width=1200)
子供のためのオランジュリー美術館(2)マティス②絵は描けない、でも彫刻は魔法のように/タヒチに行く前の苦悩
ぼくは何度も絵を描こうと思ったんだ。でもなんにも思いつかない。
だけど、これだけはできるの、彫刻とデッサン。
魔法みたいなんだ! マチス
わたしはアンリエット
マチスの絵のモデルをしているの
![](https://assets.st-note.com/img/1684829913061-il03fJNZUW.jpg)
みんなは
赤や緑、黄色や黒の
マチスが すきらしいけど
![](https://assets.st-note.com/img/1684830181485-zdPIBMUeWN.jpg?width=1200)
きょうは これ わたしの顔、マチスが作ったの
似てる?
![](https://assets.st-note.com/img/1684830305707-8jAPVxo5Tp.jpg?width=1200)
そして
つぎにマチスが作ったのが これ
ああ わたし… どんどんふくらんで
おでこも ほっぺたも かみの毛も
![](https://assets.st-note.com/img/1684830424557-R3ugSlfYvk.jpg?width=1200)
つやつやじゃない?
でもこれ マチスの実験なの
つぎは、おどろかないで!
マチスはわたしを見ないで作ったの
![](https://assets.st-note.com/img/1684830517273-vWGLmymWu2.jpg?width=1200)
しぼんだわ…でも
かげが それに光っているところも
はっきりになって。
マチスは、今、絵は描けないけど
これなら 自由自在にわたしを作ることができる。
だから またいつか マチスは
絵を描いていく元気が出ると思うわ。
きっと。
![](https://assets.st-note.com/img/1684832131900-bRwDKZ1lxW.jpg?width=1200)
FEMME À LA VOILETTE
1927
New York, The Museum of Modern Art Collection
ベールをかぶった女 1927
ニューヨーク近代美術館蔵 オランジュリー美術館企画展のため借用
マティス、困難の中での最後の一枚
「私は何度もそれ(絵画)をやろうと思ったが、キャンバスの前では全く何も思いつかない。けれどデッサンや彫刻では、まるで魔法のようにうまくいくのです」
1926年冬にアンリエット・ダリカレールをモデルに描いたこの最後の絵は、1910年代の形式的研究への回帰、1927年のインスタレーション以来断念したキュビスムとの対話が描かれている。
詩人ルイ・アラゴンによって「この作品はモナリザと同じくらい痛ましい」と評されたこの作品は、1930年代初頭に画家を悩ませた危機を示している。
彼はこの時期、基本的に彫刻とデッサンに専念した。
この迷いの時期は、彼の作品が回顧され、その過激な初期作品が一般に公開されるようになった時期と重なる。(1926年、ポール・ギヨーム画廊は、1916年の「La Leçon de piano」や1909年から1917年の「Baigneuses à la rivière」といった歴史的な作品を特別展示。1929年、ジョルジュ・デュテュイによるフォーヴィスムの参考文献が「カイエ・ダール」誌に連載。1930年、ベルリン、パリ、バーゼル、ニューヨークで、初めての回顧展開催)
彫刻 ブロンズ
HENRIETTE Ⅰ ヘンリエッタⅠ
1925
Bronze, fonte à la cire perdue
HENRIETTE Il ヘンリエッタⅡ
1927
HENRIETTE Ⅲ ヘンリエッタⅢ
1929
「一人の人間の顔を見たときの最初の衝撃が、肖像画を描くときに私を常に導いてくれる主要な感覚なのです」(マティス) 1920年から1927年にかけて、アンリエット・ダリカレールはアンリ・マティスのためにポーズをとった。ニース時代のお気に入りのモデルであった彼女は、画家を刺激し、マティスは、彼女の運動能力の高い身体の表現、デッサン、オダリスクの絵画、彫刻を数多く制作した。1925年から1929年にかけて、マティスは彼女の肖像を3つの状態に分けて制作した。「Grosse tête」と呼ばれるシリーズの第2バージョンでは静的な性格、髪、頬、顎の丸みを帯びた対称的な顔が強調されている。
お読みいただきありがとうございました。
絵を描こうとしても何も思いつかなくなったマティス。この危機の時代、まるで魔法のように簡単にできる彫刻とデッサンに没頭します。
この苦悩の時代をどのように乗り越えるのでしょうか。
マティスおじさんのお話は続きます。
オランジュリー美術館発行子供のための冊子
ダウンロード可能↓
Livret d'activités pour les enfants pdf, 418.88 Ko
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?