見出し画像

子供のためのオルセー美術館(36)また雨が降ってきた/雨降りが好きなポール・セリュジエ

ここはブルターニュのちいさなむらです。
ブルターニュはお天気てんきがかわりやすくて
すぐにあめがふります。

ほら、またふってきた。

ブルターニュのひとしろいぼうしをかぶって
むかしからつたわるくろ洋服ようふくています。
かきのセリュジエは、そんなむかし民族衣装みんぞくいしょう大好だいすき。
それに、こんなあめ大好だいすきなんです。

しずかであめおとだけがするようなむらいろ
だから たくさんのいろ使つかいません。



あめはグレーのほそせんで すっすっすっ とはやくかきました。
かぜがふいているみたいにえます。
こうのうし姿すがたひとは なんかキノコみたい!




セリュジエは、こまかいところをかかないでも
せんと すこしのいろだけで あめをかくことができました。

むらひとは おおきなかさをさして いそいでいます
みずたまり をつけて!



Paul Sérusier
L'Averse 1893
ポール・セリュジエ
土砂降り 1893

ゴーギャンがポン=タヴァン近郊でセリュジエに絵画指導をしてから5年が経った。綜合主義とブルターニュに忠実なセリュジエは、しばしばユエルゴア(フィニステール)に滞在し、そこでこの絵を描いた。雨はブルトンの気候によく見られる現象で、灰色のクロスハッチングが装飾のように施され時代を超越した様相を呈している。形と色彩を単純化することを推奨したゴーギャンの教えに従い、セリュジエは細部を除きわずかな筆致で主題の表情を凝縮した。セリュジエは、ナビ派の友人たちと同様、日本の版画への憧れを公言し江戸時代(1615-1867)の画家たちにとって大切なテーマ雨、雪、突風を模写した。
エングレーヴィングと同様、色彩よりも線が優先されている。彼にとってはよく選ばれた3つか4つの色合いで十分であり、表情豊かである。
ここでは、イタリアのフレスコ画を彷彿とさせるマットで土っぽい色調に抑えられている。

お読みいただきありがとうございました。
ブルターニュの地のあのお天気の変わりよう、また、帰りを急ぐ村人の様子が少ない色合いでシンプルに描かれていました。
同じ部屋にはゴーギャンの激しい色使いの作品が展示され、この絵は独特な雰囲気を持っています。形と色彩を単純化するゴーギャンの教えに従い、わずかな筆致で画家の好むブルゴーニュの伝統衣装とともに雨降りを表現しています。
雨の日は、実はお子さんにとっては、水たまりに突進したいような楽しい日かもしれません。たまにはこんな水たまりにバシャバシャ長靴で遊んでみましょうか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?