超訳:『浪漫と算盤』
あまりにも好きすぎるが故に、こんな一般人がその哲学を解釈するなんて烏滸がましいと、言及を避けてきた人がいます。
椎名林檎さんのことです。
椎名林檎さんについては、その音楽性・世界観などが語られることが多いですが、
私の場合は、林檎さんの生き方や本質が伝わってくる歌詞に共鳴することが多いです。
言葉が難解で意味が深すぎて、その理解に一定以上の教養を要する林檎さんの歌詞。
今まではたった一人で唸りながら噛み締めていましたが、、、
この良さを他者と共有したい想いが強くなってきました。
それは、林檎さんが本当に目指すところは、
「誰もが分け隔てなく共感できるような作品を送り出すこと」なのだろうと、わかってきたからです。
(あくまでもご自身のファンを大事にしつつ、「皆の衆」「老若男女」「玄人も素人も」のような歌詞が増えてきたように感じるので、、、)
私もそんな林檎さんの目指す世界にほんの少しでも貢献したいという想いで、
烏滸がましいことは重々承知で、
大好きな『浪漫と算盤』の歌詞を、林檎さんの視点で簡単な言葉に=超訳してみたいと思います。
※歌詞の上ではカットされているけれど、本当はこういう意味であろうという言葉は、カッコ付きで表現しています
壮大なタイトルの意味を林檎さん流に解釈する際の前提、前半パート。
ただやりたいことだけをやってお金が稼げたなら、これほど理想的なことはない。
(しかし、現実はそうではない)
現実では、やるべきことと、自分がやりたいことの、どちらも大事である。
だから、自分の仕事をいちいち、「これは強いられてやっていることで、これは自分がやりたいこと」のように区別したくはない(し、実際できない。世に出した作品である限り、常に両者は共存しているから)
その道のプロも、普通に生きている人にも、私の作品や仕事を受け取って、何かを感じて欲しい。
(それは、私は人間の本質を歌おうとしていて、きっとどんなあなたにも届くはずだから)
「できる範囲でなんとなく仕事をする(作品を出す)」なんてことはしたくない。
自分が日々努力をして新しいアプローチを(することで、その結果多くの人が感嘆したり喜んだりすることに寄与)したい。
それはとても大変なことだけれど、、、
(なぜそんなに頑張るのかと言われたら、)私にはわかるから。
受け手である皆さんも、私と同じようなことに悩みながら、ひとりでなにかと闘って生きてるということを。
この世界には本来、決められたルールもなければ、決められた組織なんてものもないはずなので。
人への愛と、作品作りへの覚悟が溢れる後半パート。
自分自身は(あなたたちと同じように)プロであると同時に、なにかの素人でもあって、労働者でもあって、そこらへんで生活してる人間であるという前提で、
常に刺激的で、あなたたちの人生に彩りを与える存在でありたい。
(刺激的であるが故に、)あることないこと言われる存在になるだろうけど、それも織り込み済みでも、そうありたい。
(人からの批評を受け続ける存在は)虚しくもなるけど、、、
私の作品を聴いてくれるあなたがいるからこそ、私はこの世界に居ていいんだって思えるし、それが存在価値の証明になる。
私の浪漫や理想と、現実世界をつないでくれる(のは、いつもあなたたちです。)
きっと、自分の理想を思い描いたときは、
それが社会に受け入れられるだろうか、社会に対して利益という形で貢献できるだろうかとも考えて、
それらをちょうど半分ずつ入れ込んだものを社会に出せたらベストなんだろう。
だから(そうしたいけど、実際はどちらかに偏ってしまうことが多いから、その理性を常に働かせて作品に還元するパワーと責任を負う)勇気があればいいのに、、、
自分の作品を磨いてあげられるのは、自分だけ。(=自分の作品に責任を持てるのは自分だけ。)
だからずっと進化し続けたい。
(だけど自分ではそう思っていても、社会に還せているかはわからないから、)私の作品を聴いてくれるあなたたちの存在が、(私が作品を作る意味の)答え合わせになっている。
あなたたちがいるから、私は理想を追い求めつつ、現実世界にも受け入れられる方向で、作品を作ることができている。
(あなたたちがいるから、私の人生は)捨てたものじゃないと思えるし、
(これからもこうして浪漫と算盤を携えながら)ひたすらに、生きようと思えている。
理想と現実の間にあるものを、「貴方(林檎さんの音楽を聴いてくれる人、ひいては社会)」と置くなんて、、、
個人的には、仕事の厳しさを歌うようなタイトルでありながら、
どこまでも自分には厳しく、社会に優しい林檎さんの人となりや、愛が感じられる曲だと思っています。
ここまで読んで一緒に林檎さんの愛を噛み締めてくださった方がいたら本望ですし、
林檎さんにいつか、この本意を聞ける日が来ることが、私にとっての浪漫です。
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