セリーグDH制について(野球)

仕事から帰るなり、リビングのテレビでついていた日本シリーズを見た。相変わらずここ数年、セリーグ代表はソフトバンクに勝てない。色々理由はあるように考えるが、今回は主にDH制について書くことにする。

今回の日本シリーズ総括でよく見るのは、「全試合DH制にしたことによって、DH制慣れしているソフトバンク投手陣が有利になり、場馴れしていない巨人投手陣が不利だった。セリーグもDH制にして場馴れして対等に望むべきだ。」といった声だ。確かに一理あるように思う(本題から逸れるが、敗因の全てをDH制にして、仮に日本シリーズを全試合DHなしにしたところで、ソフトバンクの圧勝だろうと私は推測している)。

私個人としてはDH制に全面的に賛成である。今回の日本シリーズは、DH制に賛同的な原監督だからこそ起こり得た全試合DH制だ。しかしセ・リーグで直ちにDH制が導入されるとは考えにくい。というのも、当然DH制反対派がいるからである。以下彼らがどのような理由でDH制に反対していて、私はどのやうに考えているのかを述べていこうと思う。

1, 投手の打席を見たいというファン心理
これに関しては、ファン心理として理解できる。しかし、投手は投手であって、昔ながらのファンから言われる「9人目の野手」ではないのである。むしろ「9人目の野手」ならば、今年の巨人の増田内野手を投手として使ったりもいいように思ったりもする。むしろ打撃特化型の投手などそういった考え方もありだと思う。しかし、実際には当然ながら投手としての能力がとてつもなく重要視される。やっぱり「投手は投手」なのである。むしろ、DH制によって投手のフィジカル的負担が軽減されるのならば、投手の選手生命を考慮してDH制を導入すべきなのである。

2.采配面でDH制がない方が楽しめるというファン心理
これに関しては、采配を楽しんでいるのだろうが、采配というのはあくまで結果論である。当たれば称賛され、外れれば批難される。むしろ、好投している投手をおろして継投するパターンを考えると、DH制なしでは代打枠が必要だが、DH制ありでは必要なく、早い回での継投となると代打枠は何枠も必要になるが、DH制では1人で事足りるのであり、その他の部分を個性豊かなタレント(守備固め、代走、ユーティリティプレーヤー…etc)で控えを固めることができるのである。むしろDH制を採用しないことによって采配面で狭めていることもあることを認識しなければならないように考える。

ファン視点で見るならば大まかにこの二点があげられDH制に反対する理由として適しているが、次に球団側としての反対理由を見てみよう。

1,規定打席到達者が増えることによって、年棒が高くなる。
経営面での問題であるが、年棒が高くなれば球団の維持コストが大変になるだけということである。ケチな球団は苦労すると思うが、ケチなのが悪いのである。経営努力を頑張ってくださいと言う他ないのである。「お金ないのでDH制に反対します」とかケチ臭いことを言うのはやめていただきたい。

2,セ・リーグとパ・リーグの差別化を図る必要がある。
はっきり言って意味が分からない。ファンのニーズの為に差別化を図るなら「守り勝つ野球」「打ち勝つ野球」「脚でかき乱す野球」「緻密な野球」と方向性の違いで十分なのであり、リーグでわざわざ差別化を図る必要性がまるでわからない。そういったことを理由にリーグ間ルール統一から目をそらすのはやめていただきたい。

球団側の反対理由は大した理由ではないように思える。仮にDH制が導入されるとなっても、ならなくても、経営努力は程度の違いこそあれマストである。
次に私がDH制に賛成する理由をかいておく。

1.特化選手の素晴らしい技術が見れる。
当たり前のことだが、DHなしでは守備力などを含めた「総合力」が問われ、何かに特化した選手は控えに甘んじることが多くなる。しかし、DH制を起用すれば、代打枠を最低数の1で固定することが出来る。そしてその枠で他の特化選手を控えにおくことが出来る。またDHに「打撃特化」の選手を置くことも出来る。そのような「打撃特化」の選手と「球団のエース格」との真剣勝負こそスリリングで興業として魅力的である。

2,育成面、スタメンの幅が広がる。
1と関連しているが、ファームから上がってきた打撃が売りの選手を育てるにしても、代打での出場では1試合で1打席程度しか経験させれないが、俗に言う「捨て試合」のDH制ならばスタメンなら4打席、投手が炎上して早い回からの出場なら2,3打席は経験可能である。また、DH制があることでリーグ全体の投手力などの底上げにも寄与すると考えられているのは昨今のセリーグ日本シリーズDH制敗因説などでも言及されていることである。

3,投手の負担軽減。
当然のことなので割愛させていただく。

このようにDH制はメリットのが多く、デメリットなど皆無に等しいレベルだ。反対する必要があるのだろうか、私にはないように思えて仕方がない。
昨今、ネット界隈でセ・リーグがセカンドリーグの略だと蔑まれているらしい。DH制に賛成するにしても反対するにしても、資金力不足などを言い訳に制度反対をするなど愚かなことをするのではなく、セ・リーグ、野球界ひいては野球界の健全な発展を願ってやまない。

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