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読書「孫子」-現在の経営者が愛読する兵法書-

最高の戦略教科書「孫子」 守屋淳著 日本経済新聞出版社 2014年出版

約2500年前の中国春秋時代に書かれたとされる戦争時の戦略書になります。ですが現代でも組織を運用する際の手引きとして書かれているところもあり、また人との付き合い方にも派生できる内容の為、現代の経営者たちの愛読書に選ばれる事が多いです。「五事七計」は本当にもっともだと納得したところが多かったです。ですが、初戦の相手を想定した兵法であるところが大きく、「孫子」も語ってますが、長期戦は避けるべきであるとの一文からビジネスにおける長期的に事業展開をしていくにはあまり適合しないのかもしれません。

<五事> 

道:民と君主が気持ちを一つにしているか
天:天候・季節の利があるか
地:地の利があるか
将:兵を率いる人が優れているか
法:組織のルールがしっかりしているか

<七計>

1. どちらの君主の政治が良いのか
2. どちらの将軍が有能なのか
3. どちらの国が天の時と地の利を得ているのか
4. どちらの法が公正に執行されているか
5. どちらの軍隊がより強いのか
6. どちらの兵士がより訓練されているのか
7. どちらの賞罰が公正に行われているのか


 この「孫子」を愛読書としていたのは、スティーブン・ジョブスや孫正義、ラリー・エリソン、ビル・ゲイツ等もその一人であったと言われています。

 しかし、この兵法書を書いたであろうと言われている「孫武」は、連勝を重ねているわけではなかったようです。おそらくこの指南書と言える書は自分の経験した事柄を整理するためにも書かれたのではないでしょうか。

 ある社長の話ですが、「経営者とは外交官であり営業マンでもある。そして最終的に会社の方向性を決める事をしなければならず、その責任また己を鏡のように見るその時間は孤独である。」と言っていました。その時にこのような過去の偉大なメンターが中に居る本が横においてあれば大変励みになるのではないでしょうか。

 映画、オリバー・ストーン監督の「ウォール街」でも孫子の言葉が取り上げられてました。

 勝兵先勝、而後求戦。敗兵先戦、而後求勝。

 「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む。」(よく勝つ軍隊はまず勝利までの道筋を考え抜いてから戦い、よく負ける軍隊は戦いはじめてから勝つ算段を考える)

 Every battle is won before it is ever fought.

 またこの「孫子」の戦略をナポレオンも取り入れていたとか。

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 私が好きな一文は、「善く戦う者は、人を致して人に致されず」(戦い上手な者は、自分が主導権を握り、相手を翻弄し相手に翻弄されることがない。)「兵は国の大事にして、死生の地、存亡の地なり。察せざるべからず。」(軍事は国家の命運を決する重大事である。だから軍の生死を分ける戦場や、国家の存亡を分ける道の選択は、くれぐれも明察しなければならない。)と言うものです。

 今度は「呉子」「論語」を読んでみたくなりました。

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