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仏教入門としての日蓮聖人の御遺文(4)

前回までは教理面の説明が主でした。今回は、どのように法華経の実践をすれば良いかということについての説明します。
仏教というものはどのような宗派でもそうですが、いくら教理について学んでも、実際に実践しないと何も得ることができません。そして、ここでいう実践とは、「南無妙法蓮華経」の受持、すなわち口に唱え、心に保ちながら暮らすことにあります。

南無妙法蓮華経を唱える効果とは?

効果というとやや俗的な表現になってしまいます。お題目を唱える目的は、究極的には「成仏すること」にあります。成仏とは、生老病死の苦しみを克服して絶対的な安寧を得ることですが、大乗仏教徒としては、それは自分だけでなく、社会全体で成し遂げる必要があります。
そのように言うと、非常に遠大な話のように思えますが、前回の記事でも説明した通り、我々と仏の境地は決して隔絶されたものではありません。「南無妙法蓮華経」と唱え、可能な限りでその喜びを人に伝えれば、今この場で、その安寧した境地に辿り着けるのです。

そのように言われてもまだ、大袈裟な話のように思えてあまりピンとこないかもしれません。このような大袈裟なことを考えずとも、世の中には、仏教というものを、日々のストレスや不安を和らげる手段のように捉え、瞑想などの実践を行う人もいます。仏教が本来、生老病死というあらゆる苦しみからの解放を目指したものであると考えれば、そういった仏教の実践のあり方も決して間違ったことではないように思います。ですので、ここでは「南無妙法蓮華経」のお題目によって私個人が日常の中で得られた効果を、卑近な例ですが挙げたいと思います。

  • 朝に唱えれば、たとえその日に憂鬱な用事が控えていたとしても、その憂鬱さが払拭され、晴々とした気持ちで新しい一日を迎えることができます。夜に唱えれば、心を沈め穏やかな気持ちで眠りにつくことができます。

  • 日々の暮らしで出会うあらゆる困難な出来事が、喜びに変化する瞬間が訪れます。

  • 不安や苦悩を抱えている時、心の中でも念じれば、その不安や苦悩がたちまち霧散して、なんでもないことに思えるような、力強い気持ちが生まれる瞬間があります。

  • 苦境に陥っても、やがて不思議と事態が好転して、物事がうまくいくようになります。

以上は、私が信仰の中で感じた効果ですが、 湯川日淳という僧侶の方も、唱題行(お題目を繰り返し唱えること)には、以下のような十個の効果があると仰っており、私個人の体験とも非常に合致するところです。

  • 身心調和

  • 人天一如

  • 神仏感応

  • 健康幸福

  • 智能闊達

  • 人格向上

  • 生活安定

  • 不朽遺績

  • 臨終正念

  • 成就仏身

前回の記事までは理論について説明してきましたが、そのような難しい理論などを知らなくても、唱えるだけでこれだけの効果があるのですから、やらない理由はありません。

世間では、仏教の修行というと、瞑想を行う人も多いです。しかし、瞑想とは、本来的には日常的に戒律を厳格に守って初めて効果が出るものなのです。そのような制約を告げずに、メリットだけを喧伝されることが多いように思えます。しかし、お題目を唱えることは、戒律を守ることができない我々のような弱い人間であっても、さまざまな面での向上が期待できるのです。

具体的にどのようにお題目を唱えればよいか

「南無妙法蓮華経」のお題目は、短く数回唱えるだけでも、心の中で唱えるだけでも十分に効果があると思います。しかし、瞑想のように、一日の間に少しだけ時間をとって、集中して唱えると、より一層の効果があるでしょう。以下の日蓮宗のYouTubeではその方法を動画でわかりやすく説明しています。

もっと知りたい

お題目を唱えるうちに、そのやり方や、日蓮聖人の教えについて、もっと知りたいと思うこともあるでしょう。そういった時にお勧めの書物をいくつか紹介します。

この本は、漫画も交え、一番読みやすいのではないかと思います。

日蓮聖人がご在世の時に書かれた数多くの手紙は、法華経のわかりやすい解説書です。その手紙について、代表的なものをいくつか解説しています。法華経や日蓮聖人の思想のわかりやすい入門となるでしょう。

お題目の意味について非常にわかりやすく、詳細に解説されています。

まとめ

一連の記事では、日蓮聖人の仏教について、その一端を解説してきました。浅学な私の解説ではまだまだ至らないところもあるかと思います。興味を持った方は、上記のYouTubeや書籍も手に取ってもらえれば幸いです。

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