Esportsとは関係ない部署で働いていた人が語るEsports

・観客としてみると「エンターテインメント」
・選手として参加すると「職業」
・イベント会社としても「興行」
・スポンサーからすると「出資対象」

では、タイトルホルダーからするとEsportsってなんでしょう?
自社のタイトルをEsportsタイトルとして売り出すことに何の意味があるのでしょうか?

まずはじめにこれを読むみなさんには GamesIndustry.biz Japan様のe-Sportsの現場:その急成長と避けがたき機能不全 を読んでいただければと思います。そこには次のように書かれています。

League of Legends World Championshipシリーズですら,7年経ってもまだ利益を上げていない。主要なイベントを中心として必然的に急上昇するゲーム内の売上によって生み出された収益は含まれていない可能性があるが,リーグ自体はまだRiot Gamesの金食い虫だ。

これはまさにその通りで、Riot GamesのCo-founder、Brandon Beck氏もWebメディア、「Rift Herald」へのインタビューの中で次のように語っています。

“Yes, we’re still investing millions into esports without profit, but our goal with esports has always been to make a great player experience first”
(Esportsには採算度外視で巨額の投資を続けているが、私たちのEsportsにおけるゴールは常にgreat player experience firstを提供することだ。)

つまるところ、Esportsの興行単体だけでは利益が出ないというのは自明です(もちろん例外はあるでしょうが)。ただし、この一文は的確にゲームパブリッシャーにおけるEsportsの立ち位置を表しているといえます。

Esportsタイトルはゲームの特性からして初心者お断りですし、ユーザーも広告による新規獲得ではなく、口コミによって広まっています。その口コミの源となるロイヤルカスタマーを満足させるというのは非常に合理的です。現にEsports観戦は熱狂的なファン(私を含む)にエキサイティングな体験を提供できています。最近ではPC関連企業以外のスポンサーと提携することによってブランディングアウェアネスの向上にも取り組んでいます。問題があるとしたら、再三述べているようにEsportsはとても金食い虫なところでしょうか。

Esportsはエンタメやスポーツかもしれませんが、それ以上に一企業のマーケティング活動の一環なのです。しかも、既存プレイヤー向けの。単に新規を獲得したいだけであれば、Esportsを選ぶ必要はありません。他にもっと良い方法があると思います。ただ、私のようなファンにとってはEsportsを主催してくれること自体、ありがたい限りです。

もし、あなたがゲームパブリッシャーに入ってEsportsを担当するとしたら、熱意のないEsportsは気の抜けた炭酸みたいなものなので、熱意はあったほうが良いと思います。熱意に加えてマーケティングの素養や知識は必要になります。海外には本稿で紹介したGamesIndustry.bizさまのようなEsportを分析した記事が多数あるので、探してみてください。

以上、Esportsとは関係ない部署で働いていた人、もといEsportsの身近で働いてたファンがお送りしました。

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