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みなもとはなえ
2015年7月20日 23:51
「せあ」俺が声をかけるとせあは薄く目を開けてうっとりするように微笑んだ。夜、ベランダに子ども用のビニールプールを出して海水を入れては、せあを浸して月光浴をさせている。するりと手触りの良い足を折り畳み、できるだけ海水に浸るように。めっきり体の色が薄くなってきて、骨格や内臓が透けて見える。月の光りはほの青く、せあの肌をより病的に見せた。肌よりも白い骨の奥で動くもやがかかったような赤いものがとくりとく