雲をもつかむ道。| 熊野古道・小雲取越
こんにちは。
ロス・カミーノスです。
1998年にスペインのサンティアゴ巡礼路と「姉妹道」となった熊野古道。
今回は、そのうちの一つ、小雲取越(こぐもとりごえ)を歩いた時の様子をご紹介したいと思います。
(記載されている情報は2020年6月時点のものです。)
■ 熊野の峠
熊野古道 大雲取越・小雲取越は、熊野三山へ参った後に那智から戻るために使われた道で、そのうちの小雲取越は全長約13kmの比較的緩やかなルートです。
ちょうどいい時間のバスがなかったため、旧本宮町の請川(うけがわ)からバスで旧熊野川町の神丸(かんまる)まで行き、そこから歩いて大雲取越と小雲取越の境目にあたる小口(こぐち)へ向かうことに。
神丸から小口までは約7.7km。熊野川の支流・赤木川の美しい流れを見ながら歩いて行きました。
小口にはいくつか宿泊施設があるため、大雲取越・小雲取越をまとめて踏破する場合はここで一泊するのがおすすめです。
■ 小雲取越
1時間以上歩いて既にいい感じの疲労感でしたが、ここからが小雲取越の始まり。
「小和瀬(こわぜ)渡し場跡」にある東屋で食事を取り、いよいよ熊野古道歩きのスタートです。
赤木川を渡り、集落の脇を抜けると、いきなりの急坂が待ち受けていました。
ここから桜茶屋跡までは、標高300mほどを一気に登る、小雲取越最大の難所。
息を切らしながら、少しずつ進んでいきます。
20分ほど登ると、ようやく熊野古道らしい雰囲気の木立の中になりました。
桜峠を越えると、しばらくは平坦な道になります。
さらに歩き続け、小雲取越の入り口から約3時間。このルート随一のビュースポット、「百間(ひゃっけん)ぐら」に到着しました。
■ 絶景の〝百間ぐら〟
〝百間ぐら〟は、如法山(標高609.5m)の北側にある見晴らしのいい場所です。
歩いていると目の前に突然現れ、熊野の山々を見渡す大パノラマが広がります。
特に夕方の景色は美しく、多くの人がここを目当てに小雲取越を訪れます。
車で近くまで来ることもできるみたいですね。
さて、あとは約5kmほどの道のりを下るだけ。
一時間ほど歩き、請川バス停に帰ってきました。
■ 世界遺産の温泉
帰りに本宮温泉郷の一つ、「湯の峰温泉」に立ち寄りました。
ここは約1800年の歴史を持ち、熊野三山を詣でる参詣者の湯垢離(ゆごり。温泉で身体を清めること。)の場として発展してきました。
川の中に作られた小さな「つぼ湯」は、日本最古の公衆浴場と言われています。
「つぼ湯」への入浴は入れ替え制で、窓口で順番札をもらい、自分の番が回ってきたら入ることができます。
源泉はめちゃくちゃ熱いので、水を入れて薄めて入りました。
「入浴できる世界遺産」というのは世界でここしかないと言われており、とても貴重な体験ができました。
その後は普通の銭湯のような公共浴場にも入りました。
■ まとめ
小雲取越を訪れたのは、1回目の緊急事態宣言が和歌山県で解除されてから約3週間後のことでした。
その間、古道を歩く人がほとんどいなかったため雑草が道に侵食してきた、という話を聞きました。
こうして熊野古道を歩いてみたことで、やはり道は人が歩くからこそ道なのだ、と実感しました。
歴史ある道を伝えていくために、また他の道も歩いてみたいと思います。
以上、熊野古道小雲取越のレポートをお届けしました!