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先が見えなくなったあの頃②


引越しが済み、新たな店舗での出勤が始まった。

とにかく鼻息荒く意気込んでいた。
しかし、それも空回りに空回って当初周囲から好印象だったにもかかわらず、一瞬にして急転直下。

相変わらずの凡ミス連発、勘違い、物忘れ、人前で話せない、などなど。

ここに来てもまだ落ち期から脱却出来ないのか…?いや違う、これはただのスランプだ。
そう言い聞かせていた。

まだこの段階では自分がうつ病だなんて思ってもいなかったし、それを認めるなんてもってのほかだった。
当時はうつ病なんて甘えからくるものだと思っていたし、そんなの認めたら殆どの人間がうつ病だと、まるで現代のパワハラ上司みたいな事を思っていた。

そんなダメダメな状態が続く中、ひょんな事から仲良くなったお客様がいた。自分の20歳ぐらい上の男性。初めて接客した時から妙にフレンドリーで「あれ?前にどこかで会ったっけ?」って一瞬思ってしまう程。
あまりにもフレンドリーで何か変な宗教に入っていて入信させられるか、ゲイでカマ掘られるんじゃないかって警戒したが、もうどうでも良かった。

落ち期だかスランプだか知んないが、環境が変わっても脱却出来ないし、風向きも変わらないし、人生も上向きにならない。
だったらもうどうにかなっちまえ、俺。
神様だとか守護霊だとかがもしいるならば、俺をこんな方向に導いた事を後悔しやがれ。
半ばヤケになっていた。

しかし実際は全然そんな怪しい事は無く、ただただ良い人で、コミュニケーションお化けな人だった。
そしていつしかプライベートでも付き合いが増えた。

それと並行して自分の状態は更に悪化。
仕事では小学生でも分かるような簡単な指示がすぐに理解出来なくなり、今まで出来ていたハズの作業や業務に手こずるようになった。
私生活では家事の段取りが組めなくなったり、休日は引きこもりがち、欲しい物があって外出するが、すぐ疲れて帰ってしまったり、金銭管理が出来なくなってしまったり。

生活に支障が出始めたのだ。

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