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双極性障害 待合室の思い出

先週の土曜日に新しいメンタルクリニックで三回目の受診をしました。
待ち時間は1時間程度だったと思います。

待合室で私はバッグからスマホを取り出してあれこれ見ながら、飽きるとスマホをバッグにしまって、ボーっとするということを繰り返していました。

他の患者さんも似たりよったりで、スマホを見ているか目を閉じているか。

見渡すと、どの患者さんもこういうクリニックに来る方々には見えず、もうごくごく健康そうな方ばかり。


以前通院していたクリニックの待合室、何年も通ったのでいくつかの思い出があります。
私がそのクリニックに初めて通ったころ、そこは当初予約制ではなく、2時間以上待つこともざらでした。
待合室にいる方は、一見して心に何か病を抱えているのだろう、と思わせる方が多かったように記憶しています。

また待合室のソファーで上半身横になって寝ている方もいて、2時間以上座って待つのはそういう患者さんにとっては苦痛だったでしょう。

待ち時間にバイクの練習

私は受診しながらもバイクに熱中していた時期があって、あまりに待ち時間が長いため、待っている間の時間を利用してクリニックからバイクで30分以上かけて、川沿いの舗装されていない広場まで行き、オフロード走行の練習をしたことがあります。
1時間ほど練習し終わってクリニックに戻り受診。
そう状態とはこのことなんだと、今さらながら思います。
そんな患者さんまずいないでしょうねぇ。

その後受診が予約制にかわってからは、さすがに2時間も待つという事はなくなり、それと関わりがあったのかどうかわかりませんが、患者さんも、病を感じさせる感じが軽減していったような気がします。

元気な患者さんたち

私と同じ主治医に診てもらっている若い女性の患者さんが、私より先に診察室に入っていって、診察室のドア越しに、なんだかとっても楽しそうな会話が繰り広げられているのが聞こえてきたりしたことがあります。

私の診察はどちらかというとシリアスな会話になりがちだったのに、「あー、いいなぁお医者さんとあんなにフレンドリーに話すことができて」とちょっと嫉妬にもにた気持ちを抱いたり。

また、ある日、若い女性の患者さんお二人が待合室で会話をしているのを聞いていると、「私、死にたいって言っちゃったよ」とケロっと話すのを聞いて
私は、「えっ?そんなこと医師に言っちゃっていいの?」とビックリしたことがあります。
そのお二人の女性ははたから見るととてもメンタルクリニックに来るようには見えず、楽しそうに会話を続け、その様子を私はとても不思議な思いで見ていました。

1年後の変容

ある日、私は知り合いのきれいな女性にとても良く似た患者さんと何回か待合室で一緒になったことがあります。
あまりに私の知り合いの女性に似ていたので、会うたびにその方のお顔をジーっと見て、「いやぁー、よく似てる。きれいな人だなぁ」などと密かに見とれていました。

その女性とは受診日がずれだしたのか、1年ほど合わなかったのですが、ある日、同じ時間帯に待合室で一緒になりました。

そして、私はその方の変容ぶりにビックリしてしまいました。
きれいな顔立ちの面影はあるのですが、病のせいなのか、気苦労のせいなのか、薬の作用なのか、それは私にはわかりませんが、たった1年のうちに彼女は見るからに「病める人」と言える表情と風貌になっており、とても驚いた記憶があります。
1年も前に待合室で同席していた患者さんを覚えているなんてそうないと思います。その方はきれいな方だからと言ってしまえばそれまでですが。
もしかしたら、短期間で大きく風貌が変化した患者さんは他にもいたかもしれません。
私自身も含め。


何年も受診して、私は待合室でいったいどれだけの時間をすごしたでしょうか?

そしていったいどれほどの患者さんたちとともに過ごしたでしょうか?

待合室は静かでいて、けれど時折印象的なことが起こる場所。
私にとってはそんな場所です。






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