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歌ってきた絆と 愛してきた誇りと

V6のオリジナルアルバム「STEP」が発売された。
ベストアルバムの発売も決定しているが、オリジナルアルバムとしてはこれが最後になるだろう。

「最後」という言葉が日に日に増えていくほど、この言葉に嫌悪感が募る。ここでパッタリ幕を閉じてしまうというよりは、この決断を踏み台にして今後もそれぞれが歩き続けてほしい。
ちっぽけなファンは、折り返し始めたばかりの彼らの人生にそう願うことしかできないけれど、そんなタイミングに6人は真正面から前向きなタイトルで、新曲だらけのアルバムを届けたのだ。

全ての楽曲が「今、ここ」にいる彼らの音楽で、彼らによって作られ、歌われ、彼らのために存在している。

01. 雨

あの日以来もいつだって笑顔で、どこまでも連れて行ってくれる、正直悲しみたいのに悲しむ時間を与えないほど温かくて優しい彼らの姿や音楽に、この半年間絶えず触れてきた。
しかし本当は、彼ら自身さえ上を向いてもなお流れる涙に抗わず、涙の雨から守ってくれる傘なんて捨てて、晴れるまでひたすらに泣く姿を歌い踊っていた。そんな叫びが、CDを入れて最初に聴いた彼らの声だった。

02. blue

6人と我々は常に互いに作用し合い、思い思われ生きてきた。それぞれに飛び立つことを決断した彼らの行く先全てさえ、少なからず我々に影響する。だから、どんな行く先でも応援するから。どうかそのひとひらの翼で、想いのままに心地よく吹き込む風を起こしてほしい。
広い空間に響く6色の歌声から、青空にはためく蝶よりも美しく、偉大な未来を描く意志を受け取った。

03. Best Choice

これまでに何度も継続という選択をし続けてきた彼らが、初めて選んだ新たな道が2ヶ月後には始まろうとしている。この選択も、そしてこの先に訪れる数知れない選択も、全てが無駄じゃないと思える道を選ぶことが、何よりも誇れる人生だと教えてくれる。
幕引きを前にしても、その先に待っているカーテンコールを目指して強く進み、心躍らせることをやめないこの声に着いていきたい。

04. Sweet Days

26年間、どんなときもどこにいても愛を届けてくれた彼らの、甘く可愛らしくも奥底から強く響かせられた愛の歌。
26年続けていればそれぞれのタイミングで愛おしい瞬間も空間もあっただろう。そこに永遠を願うこともあったかもしれない。しかし、それも含めて結局のところ、確かな今がある限りは今を愛してしまうのだ。そんな今が照らしてくれるからこそ、先の未来を描けるのだと響かせてくれる。

05. トビラ

あふれるほどの情熱を胸に抱きしめて歩いていた彼らは、いつのまにかあの日描いていた未来にいる。何気ない思い出も、涙を流した苦労も、きっとそこに情熱を抱いて挑戦していたのだろう。手を取り進んできたこと、握ったその強さ、それらが証拠で、忘れることはできなくて。
それを振り返る今も、きっといつか特別になる未来があるなら。あの日の夢の続きを描き始めるために彼らは涙を拭って進むのだろう。しっとりと響く想いには、確かに尊い情熱があった。

06. 素敵な夜

最近は人に会うことも少なくなり、マスクをして素顔の分からないまま接する人も多いのだとか。人の顔を覚えているとかいないとか、それ自体難しい時代になったけど、ただただかつてのような何気ない幸せを願っている。こんなご時世でも、いつかそう遠くない未来に素敵な夜があることを願う明るい歌声は、NHK「みんなのうた」で放送されている。井ノ原くんチョイスのお茶目なメロディーに乗せた素敵なテンポは、素敵な夜を迎え入れる。

07. 分からないだらけ

生きているなかで何を求め誰に憧れているのか、どうしようもなく分からないことで溢れている。それでも、人の抱く愛は代わり続けてめぐっていったとしても、その中での一等賞を願ってしまうのは、その先が「分からない」からなんだろう。「分からない」からこそ愛おしく、身勝手に信じられる。
ねっとりしっとりと切なさと優しさを滲ませた世界に、彼らなりの僅かな期待を置いていった。

08. Let Me

子供の頃から夢に向かって突っ走ってきた彼らにとって、歌うことも踊ることも、その音楽はただ我々に届けるために続けてきたものだった。誰とも比べることなんてできず、「歌なんて歌ってる場合じゃない」と言われても、我々が、そして彼ら自身が、その音楽を大事に愛してきたから、届けたい思いがあって歌ってきた。
だからこそ、夢の続きを追い求めるために、一人一人の始まりを描くために。新たなスタートラインへと駆け出す歌を、我々のために奏でてくれる。

09. 家族

住む場所も育った環境もバラバラな6人。血の繋がりなんて当然ない。それでも、そばにいなくても近くに感じ、誰よりも居心地よく、愛してるなんて確認せずとも分かり合える関係はもはや「家族」だ。他人、友達、家族、仲間、どこにも当てはまらなかった唯一無二の関係性は、終末を迎えるとき、お互いを守るために一体化していた。
そばにいることは当たり前ではないこと、だからこそ幸せがあり得ること。言葉にしたとき、尊い関係性に透き通る歌声が輝く。

10. High Hopes
     (Coming Century)

アイドル業を完全に終了するComing Century。これからは全く新しい生活が待っており、彼らが歩む先にはどんどん新しい世界があることを予感させるビート。そこに乗せられるのは、どんな道も進み続け、次々とステージに上がり続けるという強い意志だ。ここまで進んできたのは彼らの確かな軌跡で、それこそがこの先の未来を照らし、永遠に忘れない記憶を生み出していく。
全く新しいComing Centuryのそれぞれの軌跡はここから始まっていくのだ。

11. グッドラックベイビー
     (20th Century)

和やかな素の雰囲気が織り成す世界は、新しい門出への歌。アイドル業を続ける20th Centuryから、新しい世界へ踏み出すComing Centuryの背中を押しているのかもしれない。
これまで共に過ごしてきた3人が旅立ってしまう寂しさはあるものの、本当にやりたいことを全部やれる絶好の機会と捉える20th Centuryの強さと優しさに押されれば、飽きるまで形振り構わず猛進できるだろう。6人がまた笑い合うための愛が穏やかに届けられる。



本アルバムの11曲すべてがV6の色であり、今だからこそ届けられる重みを感じる。どれほどそれぞれが音楽以外の活動で評価されても、その強みをV6に還元し歌うことを6人の意志で続けてきたのが、誰とも比べられない、誰にも否定できない6人の26年だ。
V6が歌って踊る同じ時代に生きることができて、それを受け取ることができて、だからこそ私自身も今日まで生きてこれた。本当に幸せだと思う。
V6が爆速で踏み出す今を、一緒に進んでいきたい。

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