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全ページ2色刷りの同人誌を作った

お久しぶりです。
前のnote、1年以上前で「台風でイベントが中止になって悲しいよ」みたいなことを書いてたんですが、今年はそれどころじゃなく「全部中止だよ」みたいになっちゃっておったまげちゃいました。

3月に例のごとく中止になってしまったイベントがつい最近、11月1日に大阪で振り替え開催だったので、行けるうちに行っておこう、と思い、3月に出す予定だった同人誌をがんばって作って持っていきました。

で、その本なのですが、全ページインク変更して2色刷り印刷という、多分普段本を作ってる人からしたら「どうして…」みたいな本にしました。

今日はその本がどんな感じになったよっていう紹介です。
ちなみに本の内容は、さらざんまいのレオとマブが二人で花見に行く二次創作です。

装丁の話

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表紙
 表紙は心配しかなくて、あらかじめ試し刷りしました。左側が試し刷り、右側が本番です。インクは全く同じものしか使ってないんですが、だいぶ印象が違うと思います。
 蛍光イエローに、桃色インクをグラデで載せてたのですが、濃度5%以下のグラデが表現できないらしく、桃の5%以下のところがばっきり抜けちゃったみたいです。試し刷りしておいてよかった!修正してこんな感じの仕上がりに。

 ちょっと表面がザラザラして見えるのは、ツヤプリといって、この印刷形式は強くこすれば一生手につくという特色があり、それを防ぐために表紙にツヤプリ加工をする必要があります。お手元で見ていただくと、なんかぷっくりしてるな~って感じがわかると思います。カワイイですよ。

用紙:クーヘン
インク:蛍光イエロー✕桃

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表紙の裏
 インクの色がめっちゃかわいい。そうなのです。インク替え放題です。
インク:コーラル

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中表紙
 蛍光オレンジですよ!蛍光インクだって使える!!!めっちゃカワイイです。普通こんな特色使おうと思うとめっちゃ高い。だが使い放題。最高です。紙は、裏がつやつやピカピカしてて表がザラザラしてる面白い紙。指定してオモテウラ逆にしてもらったのでつやつや面に印刷してもらってます。
用紙:ハトロン紙
インク:蛍光オレンジ/この裏はコーラル

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本文
 インクの指定大変だった。でもコレぐらい好き放題できます。
用紙:ホワイト
右ページインク:茶✕桃
左ページインク:ミント✕桃

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ミシン糸綴じ
 これもこの印刷屋さんの特殊な装丁で、本をミシン糸で綴じてくれます。人間が縫う…。
 上糸と下糸の糸が違う色を選べるんですけど、今回は写真の側を桜色、背表紙側をばら色でやってもらいました。色の大洪水や。

用紙:ホワイト(漫画本文は全部用紙ホワイトにしました。紙替え料金とかもかからないんで替えたい放題だよ。)
インク:ラベンダー✕ローズ

大変だったこと

 中綴じ本なので、入稿時に面付けして入稿しないといけなかったことです。
 これは読む方にはあまり関係ない話なのですが、一般的に最近の同人誌っていうのは1ページずつわーっと書いて、それを印刷屋さんにそのまま入稿したら、本の形に整えてくれます。
 ですがこの本は、わかりやすくいうと小学校のときに作った遠足のしおりみたいな感じで、紙を折って重ねて綴じて本にしてるものなので、描いたらそれだけでOKではなくて、左右のページがおかしくならないように、ちょっと気をつけてデータを作らないといけないのです。
 口で説明するのがめっちゃ難しいのですが、とにかく、データ作った後にさらにデータを並び替えて整えたデータを作り直さないといけません。

 さらにさらに、この本は2色刷りなので、1ページにつき、2個データを用意する必要があります。1色につき、1データいります。なので普通に漫画を入稿するより、倍のデータを作成する必要がありました。

 この辺を、〆切前のギリギリ限界パワーで間違えないように、データを取り違えないように、印刷がずれないように作り上げるのがめちゃくちゃ大変でした。

 ですので、事故が起きないように、データを作る前に専用のテンプレートを自分で用意したりと、普段やらないで済む事前準備がめちゃくちゃ多かったです。サイズも普段作るものとちょっと違うので、それも大変でした。

ほんとのほんとに、読む方には全く関係のない話なのですが、データを作るのがめっちゃ神経必要だった。あとインクの混色がうまくいくのかな、というのも、初体験だったので不安でしたね。

よかったところ

 この印刷形式が、カスレたり、ムラになったり、ズレたりする、という特色のある印刷のため、びしっとしたきれいなデータを作るよりはわざとガサガサしたムラのある感じのデータにしました。線をざらざらした鉛筆感のあるペンで描いたり、トーンを使わないで水彩系のペンで塗ったりしました。

 印刷屋さんがわざわざお電話かけてきてくださって、薄い部分のムラが想定しているようにきれいに出ないかもしれないと教えてくださったのですが、きれいに美しく出そうと思って作ったものではないので、おおむね想定通りという感じで満足しました。

 あとはほんとに色がいっぱい使えてめちゃくちゃ楽しかった。
 こちらの印刷屋さんを利用する方は、どちらかというとデザイン系の方が多いので、オシャレでグラフィティな感じの使用をされている方が多いのですが(井上のきあさんなどもよく使われています)漫画で使っている方というのが、ゼロではないのですがなかなか見かけないので、どんなふうになるのかあまり想像できずドキドキしました。

 ペーパーとか紙系グッズでは時々見ますが、本はあまり見ないので、一度やってみたかったのでやれてほんと~~~によかったです。

ただも~~ほんとに面付けデータ作るのと色の組み合わせを考えるのが大変すぎて、二度とやらねー!と思いました。でも多分またやると思います。すごくすごく楽しかったので。
同人誌ってサイコーー!!

頒布しています

 こちらの本ですが、11月1日のインテックス大阪にて頒布したのですが、今週末ですね。2020年11月22日乃インテックス大阪でも頒布します。4号館 か62b「白鳥座」です。

 内容はさらざんまいのレオマブの二人が花見に行く話のファンブックですが、多分本編ほども過激でないですし、セクシャルな要素もないので、漫画印刷見本として気になるな~ぐらいの方もお手にとっていただけるかと思います。
 レオマブ好きな方も、そうでない方も、ご興味がおありでしたらよろしくお願いします。
 同人誌っていうのがなんのことかはよくわからないがなぜかここにたどり着いてしまった、という方は、なんかそういうのがあるんだな、ぐらいに思っておいていただけたら大丈夫です。

印刷のこと

 印刷は「リソグラフ印刷」です。もしかしたら一部では「レトロ印刷」のほうが通りがいいかもしれない。一般的な同人誌はオンデマンド印刷とか、オフセット印刷とか、そういうので作られてるんですが、リソグラフは「プリントゴッコ」わかりますか…?若い人はわからんかもしれん…それと同じ原理で印刷します。

 紙みたいなうっすい膜に、原稿と同じ形に穴を開けて、その上をインクが通って、穴が空いたところだけインクが染みて紙に印刷される、って仕組みです。
乾かなくていつまでたっても強くこすればインクが手につくし、紙みたいなぺらっぺらの版を通すので、印刷もずれますが、そのへんのカスレ具合、ズレ具合がレトロで楽しい~!って感じで評判のやつです。
 コロナのときに、潰れそうでやばいよ~!助けて~!って言ってたレトロ印刷JAMさんで作ってもらいました。なんとかなったみたいでよかったです。

というわけで、同人誌って本当に楽しい!!!ということをあらためて実感した同人誌活動でした。コロナで2月以降ずっと本を出す元気がなかったのですが、やっぱり実際の印刷物を手にすると、ワクワクします。今、お休みしている方も、冬休みに本を作ってみませんか!

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