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不満をお酒のせいにした日から飲めなくなった

酒は飲んでも飲まれるな。どうも、マウンテンデューが目一杯入ったタンクに落ちてそのまま骨まで溶かされてしまいたい人類代表のnagakiです。

どうですか、飲酒してますか。
「オンライン飲み会」や「リモート飲み会」、「ZOOM飲み会」同じ意味なのに地味に選択肢が多いので名称を統一してほしい今日この頃ですがいかがでしょう。「飲む量が増えた」とかそんなこともあるそうですね。気をつけたいところです。

そんなことを言いつつも、私お酒が飲めません。アルコールが喉を通る時の感覚があまり好みじゃないけど、それは何の影響もない。
なんなら割とお酒は強くて、量を飲めてしまう方。酔ってもぼーっとするだけで、(普段からぼーっとしてるので)言動の変化や自制心の緩みは見られない。

だけど飲めない。
正確には、ある日を境に飲めなくなった。

発端は、大学の部活での打ち上げ帰りでのこと。その日は普段よりほんの少しだけ多く(といっても居酒屋の安くて度数の低いものを5杯ほど)飲酒をして、特に何も変わりなく帰路についた。

夜遅く、家が遠い人もいるので、打ち上げや飲み会後はメッセージ上で各自の帰宅確認が恒例として行われていた。それを率先したのが彼女だった。お人好しや世話焼きというかリーダー気質や仕切り屋というか、そのどちらも兼ね備えているような自立した人。

当時の私は彼女の「頼ってくれなさ」や「(私を含む)誰にでも均等に優しく親切」な面に、すり抜けていってしまうような不安を感じていた。私の存在はただの通過点でしかなくなるんじゃないかとひどく悩んだ。悩んでいる間に、結局ただの通過点になってしまったけれど。

懇切丁寧に個人個人に彼女が帰宅・安否確認をしている様子を画面に見る。人一倍張り切って、人の何倍も疲弊する。そんな姿をずっと近くで見続けているはずなのに、頼られない自分が情けなくなる。今思えば、そんな負の感情が募ってすり切りまできていたのかもしれない。

そんなことを考えていると、私にも彼女から帰宅確認の連絡がきた。私はもうすぐ家に着くことを伝えた後、「付き合ってる個人として心配されてるのか、業務連絡の一環として確認されてるのかわからない」と余計なことを送信した。余計なことだと自分でも思いつつも送信してしまった。

彼女はその余計な一文にひどく落ち込み、傷ついた。予想外の反応に慌てふためいた私は謝罪をして、「余計なことを言ってしまった。ちょっと飲み過ぎたかな…」などと返した。軽口だった。本当はちっとも酔っていないのに。心底にある複雑で難解な本音ではなく、極めて楽な言い訳を選んだ。

お酒を言い訳にしたその時から「飲まなく」なって、次第に「飲めなく」なっていった。

言い訳の材料にして人を傷つけることになった恐怖とあの時の罪悪感がいつまで経ってもはっきり残っている。一種のトラウマと呼ぶべきなのかもしれない。

いろんな気持ちがあったのにそれを拾って伝えず、不安や心配事をアルコールのせいにした。

以来お酒を飲む場にあっても飲まず、場的に飲むことになっても一口二口で頭がクラクラして具合が悪くなってしまい本当に飲めなくなった。

下戸が飲めるようになることはほぼないと聞く。飲めていた人間が飲めなくなって、再び飲めるようになることは聞いたことがない。

どちらにせよ、私はもう別に飲めないままでいいと思う。飲みたいとも思わない。何よりも人を傷つけた罪悪感を消し去ることはできないし、したくもない。
これが直接的な理由ではないけど、結果として一人の理解者を失った哀れな自分がこうして存在している。


酒は飲んでも飲まれるな。

言葉は選んでも言い訳はするな。


自戒であり教訓です。

以上、真面目な部類のnoteでした。

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