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【随想】小説『i(アイ) 』西加奈子

ヒリヒリする。はじめての西加奈子。
言葉の一つ一つがずっしりと重たい。柔らかい文章なのに、重たい。
又吉さんはラストシーンが響いたというが、自分はミナの長文メールの途中で涙腺が刺激された。
ト書きや描写を挟まない、一息の独白。
メールという一方通行のその語りには、ミナ自身の強いメッセージがまっすぐに詰め込まれていた。
大きなひずみを乗り越えようとする力強い文章。
あの時、ミナはどう感じていたのか、アイをどう見ていたのか。
語られなかった内面の吐露が、「i」の存在を確かめようとする。
「この世界にアイは存在しません。」
やはり小説でしか語りえないものがある。
存在しない「i」は、時に現実を解く手がかりとなり、時に美しい図形を描く。
そんなことを教えてくれるヨビノリ先生の動画も合わせて。


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