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【神戸のほうへ/4】須磨浦公園の桜

二連続須磨で申し訳ない。

先週までマフラーを巻いて出勤していたのが数日でこの春の陽気。
そして急かされるように街の花が咲きだした。
モクレンが咲き、続いて待ちに待った桜。

関西に来てから、お花見というと万博公園や鶴見緑地など
なぜかずっと大阪に行っていた。
今年こそはおひざ元の神戸で桜を楽しみたいもの。

神戸の桜の名所について詳しくは知らないものの、
以前から山陽電車で通るたびに桜の花が目に入っていた須磨浦公園駅で降りてみた。

駅を降りるとそこは人、人、人。
どうやら駅前の人込みは須磨山上遊園に向かうロープウェイの切符を買う人たちではあるようだったが
それを抜きにしても多くの人が普段は人影まばらな公園に押し寄せている。
とはいえ万博公園のようにブルーシートの陣取り合戦が行われることもなく程よい距離間で皆宴に興じている。

まずは東側の一の谷方面へ。
こちらは比較的平坦なため規模の大きい宴会が催されている雰囲気だ。
一般的な花見会場のそれだが、やはり木々の間から見える大阪湾と桜の対比がいとをかし。
ちょうど当日は飛鳥Ⅱや海王丸が沖を航行しており港町らしい風景が楽しめた。

つづいて西側へ。
こちらは「敦盛桜」と銘打ってイベントが盛況の様子。
ただ、こちらは起伏が激しいエリアで、駅から激しい坂を上っていくことになる。
その甲斐あってか本会場では先ほど桜の陰に見え隠れしていた大阪湾の海面が眼下に見渡せる大パノラマを味わえる。
その日は晴れていたため対岸の和歌山の山の稜線がぼうっと浮かび上がって見えていた。
そしてその風景を山側から盛り上げるのが敦盛桜である。

なんて壮大。

桃源郷はここにあるのではないか。
帰りに近所の桜も見に行こうかとも思っていたけれど、
もう今年はこれだけ見られれば感無量という気分。

キッチンカーやライトアップなどを除けば先ほどの風景はここ数百年で変わっていない風景なのだろう。
芭蕉や蕪村の句碑が園内には立っていたが、かの文人たちが味わった春を寸分違えることなく味わえるというこの贅沢。
京都もそうだけど、須磨の海の醍醐味は歌枕にもなったこの時代の連続性なのだと思う次第です。


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