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とりあえず、カッコよかったです。

ひさしぶりに、家にひとりでいる。
送り出したあと、二度寝してやった。

目覚めると、つけっぱなしのテレビで「朝メシまで。」が流れている。
首都高のパトロール隊員。
警察や消防とは違うけれど、緊張感がある仕事。腹をくくっている気配。
のち、金目鯛のひらき。

大学に入学したての頃、使っている路線が落雷のせいで止まってしまったことがあった。
帰宅ラッシュの時間帯。復旧の予定が立たない。
振替路線がないから動きもとれない。人であふれかえる。

「わからないなんて、あるかよっ!」
響き渡る怒声。ホーム上で駅員さんに詰め寄っている人がいる。
大声の主はどんどんエスカレートしていく。
駅員さんは答えられる限り真摯に受け答えしているけど、、、

「おとうさん、そろそろいいんじゃない?」
見かねて、離れたところで警備をしていた警察官が声をかけてくれた。

その言葉に、駅員さんが静かに
「大丈夫です。これも仕事なんで。」

腹くくって仕事してる人だ……

好きなこと、やりたいことだけできるわけじゃない。
そのために、一度飲み込んだり、耐えたりすることもある。
それもひっくるめて仕事。

日が暮れてしまったホーム上で、駅員さんがくっきり見えた。

何かを決めたら、腹をくくる。
やめるにしても、はじめるにしても。
ぼんやり、カッコよかった人を思い出した。

とりあえず、晩ごはんは鯵のひらきにするか…

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