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とりあえず、粋な話。

校外学習のお土産に、“桔梗信玄餅”を買ってきてくれた。

桔梗信玄餅の素晴らしさは、どこをどうやって食べても溢れてしまう“きな粉”にあると思う。

箱にギリギリまで詰められたきな粉を見ると、日本酒をいただく時の“もっきり”を思い出す。

升にグラスのコレ↑


溢れるほど注ぐ心意気。

粋だ。


桔梗信玄餅がそれを意図しているのかはわからないが、きな粉を溢れさせながら、うふふっといただく。


こういう粋なものであれば、片付けも気にならない。

自分が食べたテーブルの下を拭こうとすると……


子が食べていた向かいの席の床にも、きな粉が落ちている。



「……ねぇ、

 さっき、わたしが掃除機かけていたの
 見ていたよね。

 どんなに美味しくても、

 床はお裾分けをのぞんでないよっ!


こぼしたものを拭くように促す。

すると……


「……

 一応、拭こうとしたんだけど……

 でも……

 イスにも……

 分けてあげちゃったから(てへぺろ)」


キィイィぃーーっ


前言撤回!

粋なものでも、布目に粉はイヤーッ!

ごぅごぅと掃除機で吸いとられ、
粋は塵と消えていったのだった。



さて、粋な話がもうひとつある。

夫と結婚する前、夏のある日。

帰り道を2人で歩いていると、花火が打ち上がる音が聞こえてきた。

ひゅ〜……   ドーンッ

    ひゅ〜……   ドーンッ


どこかで花火大会が開かれているのだろうか?

だが、花火は見えない。

すると、夫が静かに語り出す。


「花火は見えないけど、

 音だけっていうのも、なんかいいよね。

 こういう感じ……


 “木へん”に、“九”と“十”書いて……

 “イキ”って感じだよね〜」


おいっ


ちょっと待ってくれ。


“木へん”にしちゃったら

『枠』


じゃないかっっ!


しんみりしたムードは吹っ飛ばされ、

「木枠の型にハマっちゃってるじゃんっ」

と、ゲラゲラ笑いながら夜道を歩いたのであった。



とりあえず、残念だが、

我が家に粋は存在できないようである。


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