とりあえず、ペンは剣よりも……
必要があり、国立国会図書館へ行く。
知識としては知っていたが、実際に行くのははじめてである。
日本中のすべての本……ワクワク。
まずはカードを新規登録し、必要な本の閲覧を申請する。
地域の公立図書館とは違い、自由に本を手に取ることはできない。申請した本を出してもらうまでの間、どうしても待ち時間ができてしまう。
ので、回廊型の本館内をぐるぐる。
目に見えるところにある本は、各専門室内の辞書や事典的なものだけだ。
だが、見えなくても、たくさんの本たちが、読まれるのを待っている気配がする。
うきうきする。
ただ……
うきうき気分だけではやはり間がもたないので、気が合う本が多そうな人文総合情報室をのぞく。
室内のちいさな展示スペースには、前身である帝国図書館関連の文書や、加藤まこと展覧会図録コレクションなどが展示してある。
その中に、終戦間際や終戦後に所蔵資料(本)を疎開させるという文書を見つける。
(焼失や、GHQの接収をさけるためだそう)。
おぉ……
本たちも疎開させたのか……
守られるべき大切なヒトたちだもんな……。
しばしば本をヒトのように扱ってしまう身としては、非常に感慨深い。
さて、せっかくなので分厚い事典とも触れ合ってみる。
『李白と杜甫の事典』大修館書店
を読む。
(よくわかっているわけではないが、漢文や漢詩の言い回しやリズムが好きなのだ)
待ち時間の間だけなので、目を通せたのはわずかだったが、諸説ある李白の出自のひとつに「ほほー!」と妙に納得し、とても満足した気持ちになった。
今日ここで読んだ言葉が、何の役に立つのかはさっぱりわからない。でも、何かのチカラになるかもしれない……
高校卒業の日、担任から言われた
「“ペンは剣よりも強し”。
あなたは言葉や知識を力にしていきなさい。
そして、どんなモノでもいいから
書きなさいね」
という言葉を、また、思い返す。
必要な資料を複写してもらい、意気揚々と図書館を出る。
預けていた荷物を取りにコインロッカーへ。
鍵を刺す。
(あれ? 開かない!)
鍵を回そうとするが、まったく回らない。
番号を確かめたり、ドアを少しずらしながら回そうとしてみたり、いろいろ試してみるが開かない……
ひとりで考えても仕方がない。
誰かの知識をお借りしよう。
図書館の人に相談する。
すぐに警備員さんを呼んでくださり、対応していただく。
一緒にロッカーの前にいく。
「どれどれ……
あぁ、ここね!」
言うや否や警備員さんは
ガッチャン、ガチャリ
パワーにモノをいわせて、こじ開けてくださった……
知識と言葉が集約された場所での力技を見て、お礼を言いながら笑ってしまった。
とりあえず、ペンは剣よりも強しだが、パワーだって大切なことを思い知らされた。
ちょっとは筋トレするか……。
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