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#詩

[掌編] 夜哭き

[掌編] 夜哭き

 遣るかたないむかつきを胃に抱えたまま、街路に出た。おれには才能がないのだ、という諦めの黒インクは、徐々に決定的に、内臓にまでしみ込んでいった。おれはどす黒い内面を抱えたまま、アーティストが次々入れかわり、歌い踊るYouTubeの曲のミックスリストを通して、音楽を聴いていた。おれの内臓のスポンジは、もう外界のものを吸い込む余裕がないのかもしれなかった。だから、より正確には、音楽がただ流れ込んできて

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