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あ る 地 名 の 風 景

登戸の河原   noborito-1

昔、神奈川の足柄地方には
五月節句の7日前から
機(はた)織りをしてはならない・・

こんな言い伝えがあったそうです。
詳しい理由はわかりませんが、
五月に機織りをすると
何か悪いことが起きるという禁忌のようです。

これを“サツキバタ”といい
犯した者は道具を持たせ、池の堤で踊らせる掟があったそうです。
しかも全裸で・・・!(「綜合日本民俗語彙」)
なんとも凄まじいです(笑)

とはいっても、ここは足柄の池ではありません。
川崎は多摩区の“登戸”です。

私は小田急線沿線ですから
電車の窓からしょっちゅうこの景色を眺めています。

もちろん、この絵は堤防からの眺めですが・・

晴れの日も、雨の日も、風の日も
ゆったりと流れる多摩川は暮らしの風景そのものです。

また、神奈川の人にとっては
この川を渡ると東京に入ります。
境界なんです。
気持ちを切り替える風景なんです。

私が立つ場所は登戸、川向うは東京の狛江です。
昔から“津久井街道”が通り
“登戸の渡し”があったそうです。

そう、時代劇でよく見るあれ。
渡船場です。

旅人の他
多摩川を行き来する筏(いかだ)や船の河岸もあり、
そんな人たちを相手にする店も多く
登戸はちょっとした宿場だったようです。

“のぼりと”と言うからには
ここからどこかに登るのでしょうか?

この風景とは逆に、川の向こうから登戸を見ると
後ろに山が迫っています。
山とは言っても普通に歩いて登れる丘なのですが・・

ひょっとしてこの丘に登る・・?

(つづく)

(神奈川県川崎市)


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