タマイマキトへ

同期がまたひとり、お笑いから一応身を引くという選択肢を取った。お笑いコンビクレイドルのタマイマキトが今日のライブを以って芸人をとりあえず引退した。2年も経過すれば、そりゃ色んな選択肢の前で別の道を歩むことになるのも当然のことだ。そうは思いながらも今日はなんとなく寂しくて、でもやっぱり、今日あの場に立ち会えたこと、本当に良かったと思う。

タマイ君とは、養成所からの仲だ。いや言い過ぎた。養成所の頃から知っていた。当時は、同期で1番厄介と言われていた、人とコンビを組んでいたので、尖ってるように見えて、怖くて話しかけたり出来なかったし、それはろきちゃん以外の人もそうだった。恰幅が良くて愛くるしそうなのに、何故か、とにかく話しかけづらい印象だった。そして、事務所に残れるか去らなきゃいけないかが決まる、少し前に、タマイ君は同期のヤングヒダカとクレイドルを結成した。そうして、臨んだ判定ライブ。結果は、現在の状況からご存知の通りのメンバーが事務所に残ることができた。白れんがもクレイドルも。とてもじゃないけど、事務所に残れると思っていなかった、私ろきちゃんは、事務所に残れることにホッとして、同期と会うたびに、それまでの関係性とか関係なく、喜びを訴えた。タマイ君にも喜びを訴えた。

「タマイ君やったー!事務所に残れたよ!やったー!」
「ホントだよ。マジで残れるとは思わなかったからな。あんな成績悪かったからさ、まさか残れるとはね。頑張ろうぜ。」

ろきちゃんは、自分の安心感を共有したいだけで、相手から熱い返しとか、おめでとうとかそういうものは求めていなかった。うるせぇよ、とかで良かった。でも、思いがけず返ってきた、「マジで残れると思わなかった」という言葉に、それまで遠い存在に感じていたタマイ君に共感を覚えた。そして、養成所の頃がグワーっと思い出されて、少しだけ泣きそうになった。

そんなタマイ君、いや、クレイドルとは養成所卒業後、比較的同じライブに出ることが多く、距離が縮まったり、縮まらなかったり。他の同期とは全く会わない中、クレイドルとはよく会っていた。

タマイ君は演技が上手い。少なくとも、ろきちゃんはタマイ君の演技が好きだ。タマイ君が次回のお笑いウォーリアー達(ろきちゃんが主催するお笑いライブ)を以って、辞めることを聞いて、LINEした。タマイ君の演技が好きなので、もう1回考え直して欲しい、という熱いLINEを。長いこと既読がつかず、返信があったと思ったら、ありがとーとだけ返ってきた。おい、なんだコイツ。まるで、ろきちゃんが恥ずかしいやつじゃねえかよ。真面目な奴がバカを見る世界は良くない。

クレイドルは、解散が決まってから、まぁ相場よりも割と長いこと、クレイドルとして活動していたような気がする。タマイ君が解散を切り出したらしいのが、ヤングヒダカから聞いたところによると、タマイ君は、解散が決まってから、新ネタを持ってきたという。ヤングヒダカが言ってた

「いや、解散するんだからもういいよ」

と。でも、そのネタはメチャクチャ面白かった。

タマイ君は、お笑いを辞めてフリーターになりたいらしい。僕らぐらいのお笑い芸人はどう考えてもフリーターだけど、タマイ君はホンモノのフリーターになりたいらしい。訳がわからない。ホンモノのフリーターということは、およそかなり暇になることだろう。めっちゃライブに呼ぼ。なので皆さん、タマイ君に会いたくなったら、白れんがの出てるライブにお越し下さい。是非に。

ありがとう。

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