芸人って異常な世界やな

かつてキングオブコント2019においてGAGさんは、彼女がお笑いの養成所に通うというネタを披露し、そのネタの中で
「芸人って異常な世界やな」
というフレーズが出てくる。当時、養成所生だったろきちゃんには、そのセリフの意味はなんとなくわかるものの、それを実感したことはなかった。けれどもここ2年間、芸人の先輩後輩に囲まれながら、生活をする中で「芸人って異常な世界やな」と思うことがないではなかった。

先日、太田プロの先輩である、お笑いコンビカイノスの球作さんがご結婚なされた。我々白れんがも非常にお世話になっており、カイノスさんが主催するライブに呼んでいただいたり、カイノスさんの自主ラジオで白れんがの話をしてくださったり、叱咤激励をいただいたり、感謝してもしきれないほどだ(少なくとも、ろきちゃんはそう思っている)。球作さんがラジオで結婚を発表された時も、とても嬉しかった。自分のことのように嬉しかった。ろきちゃんが後輩で1番早く球作さんを祝福したということは、すでに確認済みだ。

そこでだ。1社会人として、人として、球作さんをどう祝福するのが正解なのかということを考えた。インターネットで嘘なのか本当なのか分からない、2022年最新という謳い文句のサイトを見漁って、結婚祝いの品を贈ることにした。百貨店に行き、それっぽい販売スペースに向かう途中で、ふと考えてしまった。このままでいいのか。このまま、ベタに夫婦茶碗みたいなものを買って贈ることが正解なのだろうか、芸人として。芸人としてなら、いやこんなもんいるかぁ!という方面のくだらないものの方が良いのではないか。或いは、いやお祝いの品が重すぎるわぁ!という方面のデタラメに値段が張るものの方が良いのではないか。その思考の海の中で、百貨店中をウロウロして、流石に恥ずかしくなってきて無理のない、ちゃんとしたものを買うことにした。

初めて、結婚祝いの品を買うので受付で色々聞かれたが、全て店員さんに委ねた。そうしていたら、気づいたら、熨斗に「寿 ろきちゃん」と書かれていた。店員さんに「ろきちゃんですか?ろきちゃん?え?ろ、ろきちゃん?」と言われた。「確認なんですけど、ろきちゃんっていうのは呼び名ですか?」と大きな声で言われ、もう下を向いて出来るだけ、顔を晒さないようにすることしかできなかった。でも、買ってからもやっぱりこれが正解かどうか分からなくて、レシートを紙袋の中に入れたが、それが正解では絶対にない気がして、お渡しする直前にレシートは捨てた。

絶対に普通に渡せばいいんだよ。おめでとう!の気持ちと一緒に。でも、芸人ってだけで、それだけではダメな気がしてならない。大学院に合格した時も、どう相方に伝えるか、凝った方がいい気がして、1ヶ月くらい合格を隠していた。でも別にそれは粋でもなんでもない。ストレートに想いを伝える。それだけでいいんだよ。

「芸人って異常な世界やな」

球作さん、ご結婚おめでとうございます!末永く、お幸せに!

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