大学院生って芸人だよ

大学院に通い始めて1年が経とうとしている。それなりに大変なこともかなりあったし、自分の馬鹿さには呆れさせられる。でもそれは自分が本当にしたいことのリスクヘッジになると思ったから。お笑いのリスクヘッジになると思ったから。でも、実際は違った。研究職なんて、大学院生なんて、お笑いのブランディングにはなるかもしれないけど、リスクヘッジになんかならないよ。

二刀流芸人。高学歴芸人。そんなことが風潮されて久しい。いよいよそんなものは一つの極に達した感が否めない。一橋大学を卒業してお笑いをやっている先輩がいる。コンビで京都大学卒なのにお笑いをやっている先輩がいる。そして、東京大学大学院に通いながらお笑いをやっている馬鹿が、ここ、にいる。とんでもない世界だ。気がつけば高学歴芸人がなんてことない事象に変わりかけている。最早「高学歴芸人」なんて、何を示すわけでもない、記号と同値に成り下がったとすら言えよう。

よく言われた。「芸人ダメでも研究者になれるんだもんね」と。ろきちゃんもそんなもんだと思ってた。でも、お笑いと大学院生は、リスク&リスクだったのだ。

大学院に進学したところで何も変わらない。養成所に入学したところで何も変わらない。修士課程を修了したところで何も変わらない。舞台に立ったところで何も変わらない。論文一本書いたくらいでは何も変わらない。賞レース2回戦に行ったくらいでは何も変わらない。30でテレビに出れてないなんて普通。30で定職に就けていないなんて全然普通。常に貧困と隣り合わせで、下手をしたら家庭教師とかのアルバイトをしなくちゃいけない。

おい、芸人と研究職なんて対して変わんないじゃねぇかよ。今、ろきちゃんの肩にはリスクとリスクが天使のような顔をしてこっちを見ている。とんでもねぇとこにひょこひょこ顔を出してしまった。

ろきちゃんの先輩たちは本当にすごい。論文を書き、博士号を取り、研究職に就きたいだけじゃない。みんな、言いたいことがあるんだ。みんな、社会に対して、歴史というレンズを通して、主張したいことがあるんだ。しかも、その主張は論文の中に明示的に示すのではなく、分かる人には分かるようにすっと入れ込んでいるのだ。めちゃくちゃカッコいい。

いろんな言い訳を作るために、ろきちゃんはここに入ってきたわけだが、芸人をやりながら仕事をするとかとは次元が違う。芸人をしながら、芸人をしているようなものだ。不安定×不安定。これほど愚かな選択はないと思われる。

あのさ、大学院生って芸人と変わらないよ。

さぁ退路は断たれたぞ。ろきちゃんよ、どうする?

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