2. 「保身」について

以前妻から「聞いていないのに言い訳をすることがあるよね」と言われたことがある。自分ではその認識なし。

なぜだろうか。「言い訳」というとどこか卑怯なイメージがあって個人的に好ましくない。「俺は言い訳が得意さ」なんかかっこよくない。会ったことはないけどいたであろう武士のご先祖様を思えば、我が身も潔くありたい。できれば。

しかし、実際には身を守る必要がある。切腹したらそこで試合終了だから、自分は武士ではいられない。夢見る武士じゃいられない。

ごく普通の感想として、やはり「保身」だよなと思い至る。身を保つ。身を保たないと、身が崩れる。自分が壊れないように、維持する。私の頭の中には、焼き鮭の切り身が箸でほぐされていくイメージが充満している。

こうなった経緯を考察した。つくづく考え込むタイプだ。自分が相談者と相談役を2役務めよう。

***

それでは質問していきますね。

理不尽なことを言われっぱなしで悔しく思った経験がありますか?

はい。

いつか言い返してやろうと、寝られない時にセリフを考えたり、練習したことがありますか?

はい。

そもそも言われないように強くなろうと体を鍛えたことがありますか?

はい。

そもそも言われないように、事前に説明しちゃえと思ったことがありますか?

はい。

勉強ができれば、学校で一目置かれてバカにされないのでは、と思い頑張ったことがありますか?

はい。

いやー素晴らしい。全部当てはまりましたね。あなた「保身マン」ですね。

「保身マン」ですか?

一度怪我したら、次に怪我しないように保身する「マン」です。おめでとうございます。まあ決して珍しい「マン」じゃないと思いますけどね。

(続く)

***

上記のように問いかけ、答えることで、なんとなく経緯がわかった。

それが他の人からすると「言い訳っぽさ」「頑なな感じ」「身構え感」みたいに映った可能性はあるかと想像する。

ちなみに前の記事で触れたが、私は高校時代にラグビー部に入っていた。ラグビーでは自分がボールを持っていると、タックルで倒されることがある。下手に倒されると怪我をするので、「受け身」のようなものが大事だ。

実はラグビー始めた頃、何回かこの「受け身」に失敗している。先輩の試合に後半出場で出してもらった際に、ガツンと食らってゴツンと打ってしまったことが何度か。試合が終わった時に、記憶が飛んでいたことがある。脳しんとうと言うやつで選手生命が絶たれるかもしれない危険なもの。だからこそ「受け身」は大事で、できることなら、そもそも当たられない「速さ」や倒されない「強さ」が重要だった訳だ。

そう考えると過去の自分、なかなか理にかなったアプローチをしていたとも言える。

タックルされない速さ=逃げ足だったり、感じ悪い人との接触回数を減らすことだったり、いじりにくいキャラ設定にしていくect.

倒されない強さ=体を鍛える、見た目が強そう、仲の良いちょいワルな友達とか、守ってくれる用心棒がいる

ラグビーの「受け身」は、倒されるなと思ったら「自分のへそを見る」後頭部が地面にぶつかりにくくなる。これは事後「言い訳」。

タックルされた時に後ろに倒されないことも大事で、頑張って「前に倒れる」と言うのもある。これは事前「言い訳」。

話がきれいにまとまったのか、それとも余計「言い訳っぽく」なったのかわからないが...。高校を出てからも大学を出てからも、社会人になってからもずっと、「保身」が必要だったことばかり。

特に新卒で入った会社は、「詰める」と言う動詞がターゲット最頻出の単語だった環境。2社目では営業部長から、「君には厳しいことも色々言いやすい」などと言われ、つい先日もいわれなきことで「言い訳はいいから作業を進めてくれ」などと言われて悔しい思いをしたばかり。この悔しさは常に自分の側にある。感じないことは難しいかもしれないが、どうしても後ろに倒されそうな時は「自分のへそを見て」、必要な「保身」をしたく思う。

おしまい。

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