見出し画像

80代、新しい友達と趣味を楽しむ インタビューレポート#1

10月末に、浅草橋CPKギャラリーで行われた東東京市にて3日限定のポップアップショップをオープン。今回は、東京都内の有志メンバーで廃棄された服とハギレ素材で、布帽子やぬいぐるみ雑貨などを自由に楽しく製作するfuku labさんとの協働出店となりました。

画像2

fuku labさんが出展されていたアイテムのなかでも、ひときわ異彩を放つものがありました。その名も「Busaco -ブサ子」。このアイテムをつくられたイワサキさんとfuku labをとりまとめるスズキさんにお話を伺いました。


―イワサキさんは、いつから編み物をはじめたんですか。

イワサキ)編み物は小学校4年生から始めました。近所のおばあちゃまが靴下の編み物を教えてくれたのがきっかけです。
ただ、とても忙しい会社に勤めていたこともあり、仕事をしていた頃はほとんどやっていませんでした。


―また始めようと思われたきっかけはなんですか。

イワサキ)65歳ごろに仕事をやめて、前からずっと興味のあった裂き織りの教室に行ってみることにしました。

とある物産展をふらっと訪れたときに、京都の藤蔓(ふじづる)の作品を作られている方の作業を熱心に見ながら「織りをやってみたいのよね」とお話ししたら、松永治子先生をご紹介いただいたんです。家に帰ってすぐに電話をかけて申し込みをしてみました。

スズキ)松永治子先生は、NHKの手芸番組でも講師をやられていた方です。以前はニューヨークで制作活動をされていて、柳悦孝さん研究所のお弟子さんでもある方です。

画像3

▲イワサキさんが作られた 裂き布でつくる編みぐるみ

―今回のポップアップでひときわ異彩を放っていたお人形は、どのようにして誕生したのですか?

イワサキ)毛糸で作る本を見ながら、お人形を編んでみたんですよ。それを教室でみんなに見てもらおうと持って行ったら、松永先生が「それ、裂き布でやってごらん」とおっしゃったので、家に帰ってすぐに裂き布で作ってみたんです。そしたら、みんなからの評判が良くて、お人形をつくるようになりました。

あとは、着なくなったニットをジョキジョキ切って真っ直ぐ縫っただけでお人形を作ってみたら、一枚のニットでいくつもできることがわかって、ボタンなどでいろんな顔をつけて自分で楽しんでいたんです。
そしたら、スズキさんがやたら気に入ってくださって、今回出展することにしました。でも私のしごとは丁寧でもないし、恥ずかしいです。

スズキ)フリーハンドの良さみたいな、パパッとできている感じがとても素敵だと感じました。きっちりしすぎていなくて、心地よいのです。それでいて、表情がすごく絶妙なんです。

イワサキ)私自身が、そういう作家さんが好きということもあるかもしれませんね。

スズキ)そういったラフなものは、狙ってできるものでもないんですよ。

画像4

▲イワサキさんが作られた Busacoシリーズ

イワサキ)娘も緻密な作業が得意で刺繍やビーズをやるんですが、私みたいに大雑把な人あまりいないんですよ。娘は、何も教えたわけではなく、自分でやるようになりましたね。

私は、糸が好きなんだと思います。たくさんあるから、もう買うまいと思っているのについつい買ってしまうんです。
コロナがあって、外も出られない状況が続いたのだけれど、目標もなくダラダラやってしまっていたから、お声がけいただいてよかったです。
裂き織りのお友達も、いろんな情報を教えてくれるのがとても嬉しいです。


―同じ趣味のお友達がいるのはいいですね。

イワサキ)噂話をするわけでもなく、作品や材料の話題で、とても気がラクなんです。まさか誘ってくれる友達が、この年になってできるなんて思ってもいなくて、すごく嬉しかったです。

スズキ)お友達とはプライベートな話ってほとんどせず、裂き織りなら裂き織り、帽子なら帽子の話をずっとしているんです。イワサキさんと同じく、仕事を長年やってきて、こんな世界があるとは思いもしませんでした。
自分の好きを追求している熱気ある世界で、「なんてモチベーションが高いんだろう」ととても驚きました。


―作品の中には、カセットテープを活用されていたり、自分の身の回りにあるものを“素材”としてみているところがありますよね。

イワサキ)そういうところはあるかもしれませんね。そんなことしているから捨てられないのよね。こんなことして何だったんだろうと、お嫁さんに思われるかしら。
ただ、絶えず素材と格闘している感じはありますね。作ってみたいものもまだ少しあるので、いろいろ作ってみようと思います。

今回は、浅草橋CPKギャラリーから二軒ほど先にある「ルーサイトギャラリー」2階カフェにてお話を伺いました。
こちらは、昭和の流行歌手『市丸(江戸小唄の市丸姐さん)』の隅田川沿いの屋敷を2001年秋に改装したギャラリーです。
見晴らしが良く、心落ち着くひと時を過ごさせていただきました。

IMG_5815のコピー

画像6


イワサキさん、スズキさん、ルーサイトギャラリーのオーナー米山さん、この度は大変ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?