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「ReMUJIの取り組みについて教えてください!」 サーキュラーエコノミーの実現に向けた企業の取り組みインタビュー

2021年11月に「無印良品 銀座」にてロイダッツチャリティショップのポップアップ出店をさせていただいたご縁で、2022年1月、「無印良品 銀座」店長の成川さんと衣服・雑貨部の増子さんに無印良品が取り組む「ReMUJI」について根掘り葉掘りお話を伺いました。


BRINGとは

成川さん:
お気に入りだったけれども汚れてしまった洋服、成長して合わなくなった子ども服、日本ではこのような不要となった衣料品が毎年100万トン以上廃棄され、その9割が焼却されています。このようなたくさんの"もったいない"を地球の資源に戻し、循環型社会の形成に貢献したいという想いで「BRING」に参加しています。


成川さん:
「BRING」は2017年に『FUKU-FUKUプロジェクト』から名称が変更したものですが、2009年に日本環境設計さんからお声がけいただいたことが「BRING」に参加したきっかけでした。自社商品は綿を多く使っていますが、どのようなリサイクルモデルをつくっていくか社内で検討しているなかで、綿繊維を発酵させてバイオエタノールをつくる技術を持つ日本環境設計の事業化に向けた実験に参加させてもらうことになったのです。

2009年はテレビが地デジへ完全移行することが決まった年ということもあり、テレビに関するリサイクル法が変わるなど、リサイクルの話題が盛り上がりはじめた年でした。業界他社は自社製品の回収をはじめたこともあり、自分たちは何ができるか話し合っているところでした。

2009年に関東・関西の店舗で2度衣類回収の実験をし、2010年に本格的に参加しました。自分たちの販売したものに対してどう責任を持つかということを議論するなかで、お声がけいただいたことが「BRING」に参加しはじめたきっかけでした。

国内で回収された衣類のうち綿の割合が低く、大きな割合を占める化学繊維製品をどのようにリサイクルするかということに力点が置かれるようになった2017年、「BRING」の方向性が変わりました。

当初は綿をリサイクルするプロジェクトとして始まりましたが、現在は回収した繊維製品の中、アップサイクルできるものを「ReMUJI」として再販売する取り組みを拡大しており、アウトプットとして「MUJI 新宿」など国内14店舗で「ReMUJI」の商品を販売しています。


ReMUJIとは

増子さん:
2010年から参加した「BRING」で回収した服を確認してみると、まだまだ着ることができる服があることに気づき、2015年に福岡の「無印良品 天神大名」で染め直しをした服の販売をスタートしました。
日本は古くから染め直したり、布を組み合わせたり、刺し子をして補強をしたりしながら最後まで布を大切に扱っていました。「ReMUJI」は、先人の知恵を活かし、服を日本で染め直し、新たに息吹を加え、服を大事に着ることを考えていく取り組みです。

また、「ReMUJI」で取り扱っているものは、一度販売した製品を回収してリサイクルする「ポストコンシューマ」に位置付けられますが、無印良品では限られた資源を有効に活用するという考えから、生産過程で発生する裁断クズを再度集めて反毛し、糸・生地にして再商品化する「プレコンシューマ」の取り組みも昔から実施しています。

増子さん:
回収したアイテムが、二次利用できるかどうか、つまり次の人にまた着てもらえるかどうかが仕分けをするうえで非常に大切です。
二次利用できるものについて、現在は洗い直した服や染め直した服、つながる服というテーマでポーチやバッグの商品化をしており、今後ワンピースなどのバリエーションを増やしていく予定です。子ども服については、成長が早くすぐに着られなくなってしまうので、店舗イベントでおさがりとして次の人にどんどんつないでいけるような機会をつくっています

二次利用できないものは、綿100%商品や綿の混率60%以上の商品、ウール、ダウンなど素材別に仕分けを行い、原料としてリサイクルすることで再商品化しようと進めています。上記に述べた以外の素材は日本環境設計さんと連携し、車の内装材などに活用しています。リネンの商品については現在リサイクル方法を検討しています。

いいことをしていても高くて結局売れないということは避けなければなりません。
現時点で「ReMUJI」は、染め直した服をメインに展開していますが、今後は”Re”に関わる広義な取り組みとなるよう進め、つくったものに関して最後まで責任を持つということをお客さまにしっかり伝えていきたいです。


藍色の染め直し

成川さん:
リサイクルに関わるアドバイザリーの方から聞いた、昔から着物は染め直しをしていたという話を踏まえ、藍染を検討しはじめました。コストの面を考えて、藍染ではなく藍色に染め直すという手法を選びましたが、生地の綿100%の部分はきれいに染まり、ポリエステルが入った縫い糸の部分はあまり染めが入らないという風合のおもしろさと伝統文化から染めを採用しました。

増子さん:
襟もとやそでのよれ具合がもう一度着られるかどうかの基準に大きく関わりますが、多少のシミは、染め直すことでなくなりますので、アップサイクルの手法として非常に有効だと考えています。藍色の染めをしてくださっている業者さんは岡山にあり、100%リサイクルしている水を使用して染めをする設備を持っています。水道局が最後に飲み水にするような3次リサイクルをする設備があり、水を消費せず、常に水を循環させて染めをしています。


展望

増子さん:
1週間で全国の無印良品のお店から平均4000枚弱は回収しています。回収したアイテムの仕分け作業を通じて雇用の創出につなげたり、子ども服のおさがりを次の人につないでいくためにフードドライブと連携できないかといったことも検討していきたいと考えています。

現在、通常店舗では自社商品のみの回収にとどまっていますが、一般的に不要になった衣類を整理し処分する時、ブランドやメーカーで分けるということはしないと思います。自社商品に限定せずに行政やリサイクル業者さんと連携するなど、多くの人に参加してもらえるよう、生活者目線で回収をどうするべきか考えています。

物流コストの面では、商品配送の戻り便を使って回収していますが、それもタダではありません。大きい箱に1枚だけ入って戻ってくることもあるのが現状です。今後は各地域に仕分けや配送の拠点をつくっていくのもいいかもしれません。

このような取り組みをお客さまにしっかり発信することで、無印良品は次につながる取り組みをしていて安心して買い物をできるというマインドを作っていきたいと考えています。


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