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【体験談】大学院の第一種奨学金返済免除を達成する方法

大学院の日本学生支援機構・第一種奨学金の返済免除を達成しましたので記事にまとめます。

同じように返済免除を目指している人のお役に立てれば幸いです。


スペック

返済免除体験談を話す前に、私の院生時代のスペックを。大学によって用意されている免除枠数が違ったりもするらしいので(噂ではあるが)。

大学:京都大学大学院

文理:理系

修士or博士:修士

免除となった奨学金:日本学生支援機構 第一種奨学金

借りていた金額:月8万8千円

達成した免除額:半額免除

8万8千円×24か月÷2=約105万円分が返済免除となりました。

全額免除いきたかった!くやしい!でも感謝!当たり前ではないことなのでね。

大学院の第一種奨学金返済免除システムとは?経験談ふまえて紹介

日本学生支援機構の大学院生対象の第一種奨学金には、「特に優れた業績を挙げた者」に対する返済免除制度があります。

大学院(修士課程・専門職学位課程・博士課程)第一種奨学生で、当該年度中に貸与終了する人が対象となります。

JASSOのホームページには、以下のような説明がされています。

大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です。
学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価し、学生の学修へのインセンティブ向上を目的としています。
貸与終了時に大学に申請し、大学長から推薦された人を対象として、本機構の業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て決定されます。

免除経験者として改めてこの文を読んでみると、本当に書いてある通りです。

学会発表や論文投稿はもちろんのこと、発明や特許取得など、研究分野によっては文化・スポーツの業績も評価対象となります。

(芸術やスポーツが評価対象となる分野とは?と考えてしまいますが(笑) 芸術大学などの大学院とかかな?)

免除者の割合

奨学金免除は応募すれば誰でも免除となるわけではなく、人数制限があります。

以下は、JASSOが紹介している免除認定結果データを引用したものです。

このデータから貸与終了者数を100として各項目のおよその割合をパーセントで表したデータが以下の表となります。
(各項目は貸与修了者数に対する割合です。そのため、上表とは値がやや異なることにご注意ください。)

(小さかったらごめんなさい…!)

この表より、以下の気づきが得られます。

  • 第一種奨学金貸与者のうち、業績上位約30%以内に入ることで返済免除を受けることができる

  • 推薦者と返済免除者の割合はほぼ等しく、推薦されればほぼ確定で返済免除を受けることができる

  • 全額返還免除者は課程に関わらず少なく、修士課程などでは約7%しかいない

  • 博士課程では推薦者の割合が増加し、貸与修了者の約半分が返済免除を受ける

  • 博士課程では全額返済免除者が20%おり、修士課程や専門職学位課程のそれらの3倍近い数となっている

奨学金返済免除を受けるためには、とりあえず業績上位30%を目指すとよさそうですね。

実際の免除までの流れ

大学によって差はあると思うので、私の経験した免除の流れを紹介します。

①修士2回生の12月ごろ 大学から免除申請の案内が届く

私の場合は、12月に案内が来ました。KURASIS(京大の学生のポータルサイト)に案内が来た覚えがあります。

ここから免除に向けて種々書類の準備を始めます。急ぐ必要は全くありませんでしたが、直前に慌てるのは嫌だったので少しずつ書類準備をしていましたね。

過去に自分が参加した学会のプログラムを印刷したり、発表概要を改めて手元に用意したり。

申し込み用紙は案内ページからダウンロードする方式だったので、ダウンロードして記入も進めていました。

②修士2回生の1月末ごろに申し込みを行う

1月末ごろに大学の事務局のようなところに申し込み用紙と必要書類を持っていきます。

持って行ったらすぐ終わるのかと思っていましたが、窓口で提出書類をしっかりとチェックされました。これは少しびっくりしました。書類審査なんて適当だろうなと思っていたので。

必要書類とは、申し込み用紙+業績を証明する書類です。嘘の業績を申請してないかチェックされるわけですね。

どのような書類を用意したかは後述します。

③修士卒業後の7月末 日本学生支援機構のマイページにて免除結果通知

申し込みから約半年後、免除結果が通知されます。翌年の7月末だったと思います。

最も早く更新されたのはホームページでした。大学受験の合否のネット発表のように、免除者の奨学生番号がズラーっと掲載されているのかと思いましたが、マイページにさらっと記載されていました(笑)

その1か月後くらいに、自宅に免除証明のはがきが届きました。

評価対象となった業績と実際に用意した証明書類をリストアップ

  • 修士論文:概要をA41枚くらいにまとめて提出

  • 学会発表(国内)×3:発表した学会のプログラムおよび発表概要(前刷り)を提出

  • TA(ティーチングアシスタント):雇用証明書を提出

  • 授業成績:成績表を提出

業績の評価方法は?項目は?業績のジャンルによってポイントがある加点方式なのかも

※この項目については、あくまで私の推測の範疇を超えない内容になります。

業績の評価方法は業績項目ごとのポイント制による加点方式と考えられます。「国内学会発表は〇点、特許取得は△点、…」といった具合です。つまり、業績の内容はあまり関係ないと考えられます。

筆者がこのように推測する理由は、各奨学生の専門分野は多岐にわたるために業績の内容まで優劣をつけるのは難しいからです。

免除者を決定するのは大学教授や研究者ではなく、日本学生支援機構。研究に関しては素人です。そのため、論文や発表などの内容まで審査するのは不可能でしょう。

また、そもそもの話になりますが、約6000人の免除候補者の業績内容すべてを詳細にランク付けしていくのは物理的に不可能です。しんどすぎます。

重要なのは「どんな内容の業績を残したか?」ではなく、「どのような形で業績を残したか?」です。

そうなると、気になるのは「どの業績が高ポイントなのか?」という点になりますが、業績ごとのポイントは以下の特徴が考えられます。

  • 論文掲載>学会発表

  • 国際>国内

  • 授業成績はそこまで重要ではない

これは、純粋な業績達成の難易度からの推測です。やはり、論文掲載は審査があるゆえに学会発表より難易度が高いです。そのため、与えられるポイントもより高くなると考えられます。

国際発表も国内発表よりは難易度が高いため、より高ポイントが予想されます。

また、大学院での授業成績も評価対象ですが、これはそこまで重要ではないでしょう。大学院の授業は簡単にAや優がもらえますからね。

成績について見るとすれば、「よっぽど悪い成績を残していないか?」といったセレクトアウトの観点での評価くらいでしょう。

実際、私も成績にF(不可)の科目が1つありましたが、免除は達成できました。

最後に繰り返しますが、この内容はあくまで私の推測に過ぎないので、くれぐれもご注意ください。

奨学金返済免除のために意識してやったこと3選

私が実際に意識していたことを3つ紹介します。

上から順に効果が高かったのではと考えています。

学会発表の数を重ねる

国内学会発表を3回行いました。

普通は2年間で1回発表を行えばOKの研究室だったのですが、教授に頼んで3回させてもらいました。「奨学金免除が欲しいから他の学会も参加させてほしい」とストレートに頼みました(笑)

当然ですが、より良い学術貢献を目指すのならば数だけでなく発表の質も大事です。しかし、奨学金の返済免除が目的なら量の追求のみでOKです。

実際、私の大学院時代の知り合いに「国内発表1回、その発表で表彰獲得」という業績内容で返済免除に申し込んだ人がいましたが、その人は審査に落ちて推薦されませんでした。

学会発表は数を稼ぎやすいのでお勧めです。

TA

学部生の実験の授業を手伝いました。「やります!」と言って大学生の実験の授業のアシスタントをしました。

大学や研究室のルールによると思いますが、アルバイトとして給料ももらいながら業績として残すことができるため、とてもおすすめです。

授業頑張る

累積GPAは3.41でした。

そこまで重要ではないと考えられる授業成績ですが、良いに越したことはないのである程度がんばりました。

免除達成して思う、達成のためにすべきこと

学会発表や論文投稿の機会が多い研究室に入る・分野を選ぶ

奨学金免除達成のために最も重要なのは、良い研究室や研究分野を選ぶことです。これは、奨学金免除の観点だけでなく、「より良い大学院生活」という大学院生活全般においても重要です。

なぜなら、大学院の生活は研究室でほとんどが決まるからです。大学院生活の約8割は研究室で過ごしますからね。

時間的な影響ももちろんですが、研究室の雰囲気や研究内容は院生の価値観形成にも大きな影響を与えます。そういった意味でも、研究室選びは丁寧に行いましょう。

そして、奨学金免除のためには

  • ちゃんと研究をする学生がそろっている

  • 教授の学生の管理やフィードバックがしっかりしている

  • 頻繁に世に研究成果を出す文化がある

研究室を選びましょう。このような研究室で研究をしっかり行えば、勝手に学会発表や論文投稿の数を重ねることができます。そして、その他特別なことをせずとも奨学金免除は達成できるでしょう。

というのも、世の中にはほぼ研究をせずとも修士号が取れてしまうような研究室がたくさんありますからね。良い研究室での普通くらいの努力>世間一般の研究室での圧倒的努力となり、それなりにやっていくだけでライバルに差をつけることができます。

ただし、免除目的で研究分野を選ぶのは本末転倒なので注意です。それならいっそのこと就職すべきです。

発表の機会が少ないならば、教授に自ら働きかける

所属の研究室に学会発表や論文投稿の文化がない場合は、自ら教授に「発表させてください!」と申し出るのも1つの手です。

研究にやる気のある学生を歓迎しない教授はいません。快く学会の紹介や機会の提供を行ってくれるでしょう。

「うちの研究室は誰も発表しないからダメだ。。。」と、受け身の姿勢で諦めることは誰にでもできます。

環境のせいにせず、自ら道を切り開くことが大切です。

(余談)有名な大学の院に行く

余談ではありますが、院によって免除決定者の枠数の差はある気がします。

というのも、ネットで自分の20倍くらい優秀かつ業績も残している人が免除されていないのを見たことがあります。その方は発表7回、論文投稿4回ほど行っていたにも関わらず、免除採用されていませんでした。

そして、その方の院はすごいところなのでしょうが、聞いたことはない名前の大学院でした。

このことから、「大学によって免除の枠数が決まっているのでは?」と私は推測しています。

ここに対しても、「評価する人は素人」というポイントが効いていますね。研究内容の良し悪しがわからないので、大学名で判断してしまっているのではないでしょうか。

最後に

大学院の奨学金返済免除の体験談を紹介しました。

大学の成績とは異なり、大学院の業績は自分の研究への姿勢や積極性次第でいくらでも伸ばすことができます。

研究を楽しみつつ、お金ももらっちゃいましょう!そして、それによって世の中に素敵な学術的貢献を行いましょーー!


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