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地方公務員の働き方改革〜例えば平時は定時退庁〜

ロゴフコーチの成功体験請負人、あじまです。
今回は、地方公共団体とそこにお勤めの職員の皆さんの組織開発を支援する者として、私が考えている“地方公務員のあるべき状態”を綴ります。

地方公務員をメーンターゲットにしようと腹を括った時に、言語化した想い「住民にシアワセをプレゼントできるあなたであるために、シアワセでなくてはならないあなたの実現への支援」を掲げた私が、本気で思っているコトです。

先ず、今地方公務員の皆さんに伝えたいこと

コロナ渦の現在。エッセンシャルワーカーと呼ばれる職種の方々がいらっしゃることを知りました。同時に、自分も過去にエッセンシャルワーカーであったことも。医療従事の皆さんがエッセンシャルワーカーとして、とても大変な毎日をお過ごしであることには、心からの感謝と尊敬の念をお伝えしたいです。

「いつも本当にありがとうございます」

そして、私がかつて同僚であった地方公務員の皆さまにも、同じレベルの気持ちを届けたいのです。どのようなことでご苦労されているでしょうか?例えば、説明会や懇談会やイベントでの感染対策、情報発信、ワクチン接種の調整・実施、お客様(住民)に対する庁内の感染予防対策、そもそもコロナ渦であることを前提にした住民サービスの提供。“なければないに越したことはない”イレギュラーなお仕事ですよね。

「だとしても、そんなことやって当然だ」とお考えの方は、住民をはじめきっと相当数いらっしゃいます。そういう空気を感じられる側にいた人間として、このことは確信です。ただ住民の側になった現在、私は別な表現を探しています。これは、今日、ここに書くことと大きな関連があります。

ただ、やって当たり前か、そうでないか、そんなことも含めてなおお伝えしたい気持ちがあります。

「いつも本当にありがとうございます」

地方公務員がエッセンシャルワーカーである驚くべき根拠

“人々が生活を営む上で欠かせない仕事をしている人たち”がエッセンシャルワーカーです。地方公務員=エッセンシャルワーカーだから、そういう働き方は必然…当たり前のように聞こえますが、厳密にいうと違います。

公務員を揶揄する時によく使われる表現に、「お堅い」「教科書通り」「金太郎飴」「予定調和の塊」なんてものがあり、それを証明するセリフとして「(できない理由は)法律でそう決まっていますから」や「以前からそうなっています」があります。私もこのセリフ、「言ったら負け!」なんて言いながら(勝ち負けという価値観は別な問題がありますが…)つい便利に使っていた記憶は“なくはない”です。

実は、前段に紛れもない真実の言葉が一つ入っています。「法律で決まっている(ます)」です。そう、地方公務員が働く理由は法律で決まっている(定められている)のです。地方自治法という法律に、「地方公共団体(市町村役場、県庁など)は住民の幸せのために働きなさい」と明文化されています。

地方公共団体に勤める職員は、この国で唯一法律によって人の幸せのために働くことを求められている人たちなのです。

“人々が幸せな生活を営む上で欠かせない仕事をしている人たち”=地方公務員。地方公務員がエッセンシャルワーカーであるゆえん(根拠)は、法律にあったのです。

いついかなる時も住民の幸せのために働く

平時の住民の幸せとは何でしょうか。例えば、愛する家族と平穏に暮らせる、思う存分稼ぐことができる、必要な情報が必要な時に手に入る、利便よくしたいことができる、夢を描ける。住民が100人いれば100通りの幸せの形があります。

地方公務員はより多くの幸せの形が実現することを願い、例えば、道路をつくる(作るのは業者さんですが)、学校をつくる、住民票を整備する、イベントをする、保険証を交付する、税金を計算する、農地を守る、水道を提供する、広報誌を発行する、まちのグランドデザインを計画する。と色々な手段を業務として遂行します。

どの部署でも、等しく、同じ使命感で住民の幸せのために日々働いています。

非常時はどうでしょうか。大雨や地震等に起因する自然災害、現在のコロナ渦のような感染症が猛威を振るう社会。そのような環境下で、住民の幸せを求める行動は生命や財産を守るということに重心が移動します。

そのような状況下では、地方公務員は部署や平時の担当業務にかかわらず、住民の生命と財産を守る活動さらには安全・安心を取り戻すための活動に再配置され、最前線で物理的さらには精神的にも住民の幸せを取り戻すための業務の遂行が求められます。

大変だと思いませんか?そうなんです。とても大変。ただ、ここでお話ししたいことはそういうことではありません。

そもそも平時、地方公務員は住民の幸せ実現のために、労働の希少資源と言われる“労力”と“時間”(+それぞれの熱い想い)を100%投入して業務に当たっています。(当たり前だろ!っていう声が聞こえてきそうですね)まぁ、当然といえば当然です。

「平時は、せめて定時退庁」そのココロ

「公務員は定時退庁できる緩い職業」と公務員ではない人たちに数え切れないくらい言われてきました。体感的には、もはや“都市伝説級”のお話ですけれど!“過労死レベルのサービス残業”が民間と同じレベルで問題視されてから久しいです、現状は。

そこまで極端でなくとも、午後5時の終業のベルが「時間外勤務の始業のベル」と捉えている職員が相当数いることは知っています。過去の仲間たちがそうであったから。(このような言い方をするのは、私が時間外勤務に対して相当ネガティブ派だったからだと思います)

時間外勤務に対してネガティブだった証拠に「人間8時間も本気で働けばガス欠になる」が私の常套句でした。12時間や16時間と勤務したことは当然ありますが、どう少なく見積もっても仕事のクオリティは8時間勤務のそれには劣りました。

しかしながら、現在の地方公共団体に勤める職員の現状は、
「平時でも定時の8時間を当たり前に超えて勤務している」のです。
悲しいことは、このことが解決すべき組織の課題として組織開発(人材育成)の担当者やリーダーが本気で向き合うことを放棄した現状があることです。

ここで、問題です。
「非常時はどこから希少資源を捻出するのでしょうか?」

答えは、「なんとか頑張る」です。はい、根性論。結果、どんなことが起きるかは想像に容易いです。時間外勤務がさらに増える。仕事の質が落ちる。(そんなつもりがなくてもどう考えても、間違いなく落ちます、生産性とクオリティ)。優しい周りの人たちはこんなふうに言います。「しょうがないよ、大変なんだから。」

しょうがないのでしょうか?

住民の幸せ実現のために働く地方公務員は、その時その時に住民が求める幸せに、100%寄り添い、支援することこそがあるべき状態だと私は考えています。平時には、100人いれば100の幸せの形に寄り添い、非常時には生命と財産を守り安全と安心を取り戻すための支援を100%行なう。

そのあるべき状態に近づくために、現状が抱える問題点は一言で言うと、
「平時にいっぱいいっぱい(もしくはオーバーフロー状態)だから、非常時に100%のパフォーマンスが出せない」と言うこと。このことは、個人としてもさらにチームとしても言えることだと感じています。

(コロナ渦の今、頑張っている職員の皆さんの状態を私は住民の誰よりも感じ、知り、理解しています。100%のパフォーマンスを出さなければいけないという使命感から、思いもよらず仲間を傷つけ、さらに自分も傷つけてしまっていることも)

いっぱいいっぱいの状態にプラスのお仕事という状態を作ってしまうと、本人やチームにその気がなくても、どんなに使命感を捻出しようとも、残念ながら成果を出すための生産性は落ちるのです。

だから、
「例えば、平時は定時退庁」
できるような状態でいてほしい。非常時に、その時に必要とされる最高のパフォーマンスができるように。そうそう、消防署スタイル!!

定時退庁は実現できる

「定時退庁?できるはずねぇだろ!」と言う声が、リアルに過去の仲間の声で聞こえてきますが(実際そうコメントいただきました)、だとしても言い切ります。「定時退庁は実現できます」

「だって、したましたし私。」企画管理部門でも現業課の時でも窓口でも。

定時退庁ができない理由をヒアリングすると概ね以下の5つの理由を挙げられます。
①仕事量が定時退庁レベルじゃない(仕事が増えた・人が減った)
②予定外のことが起こりすぎる
③窓口なのでお客様に時間が取られる状態が予想できない
④5時以降にならないと落ち着いてデスクワークができない
⑤そもそもそういうものでしょう

住民の幸せ実現のために8時間では全然足りない!という理由はないのですね…

定時退庁が実現できると私が言い切る理由は4つ。
①現状より生産性を上げる取り組みで稼働量・勤務時間を減らすことができる
②そもそも組織風土を改善(特にリーダー職以上の職員)する余地があり、それはできる。
③そもそもやる気にさえなれば必ずできる能力がある(手段を知らないだけ)
④その手段を伝え、支援する私(“達”とはやく言いたい!)がいる

本気で組織開発に取り組みたいとお考えの方は、ぜひお話を聴かせてください。
私の運営する「地方公共団体とその職員のためのヘルプデスク」でお話を伺います。
(令和3年6月20日現在、ヘルプデスク(オンライン)の開設準備中です、開設しましたらこちらにリンクを貼ります。)

地方公務員を取り巻く社会風土を変革すべき時

住民の立場として、役所に対して「やってあたりまえ!」という表現は私はこれからの人生ですることはありません。それは、私が過去に地方公務員であったからという理由は当然ありますが、それ以上にコミュニケーション論を学び、それを活用して支援を行なう者として、相手に気持ちよく協力してもらう(動いてもらう)ためには批判、否定、ダメ出し、強い言葉より、その逆の表現の方が効果が高いことを知っているからです。

地方公務員を取り巻く風土がいつの日か変革し、こんな会話がなされるような社会になることの一端を担いたいと考えています。

住民「いつも私たちの幸せのためにありがとう!」
職員「いえいえ、法律で決まってますから(笑)」
住民「まったく、あなたたちは(笑)」

最後までお読みいただきありがとうございました!あなたのココロに波紋を起こせたとしたらとてもシアワセです。次の記事も楽しみにしていただけるとしたら、そりゃ、もう、頑張ります!!