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大切な人のトリセツ

今回は、ミチカが生まれる前、サトミとチッチのお話。


「なきゃぁ(泣けば)いいってもんじゃないでしょ」

お付き合いが始まって、お互いに装ったり、我慢したりが薄れてきた頃からチッチがサトミに言うようになったセリフ。

保身のため言っときますが(普通、言わない方がいいフレーズ)、このセリフ、その時点で生まれて此の方チッチは人に対して使った記憶がありませんでした。当時のチッチにインタビューしたらきっとこう答えると思います。

Q「なんでそんなこと言うんですか?」
A「だってすぐ泣くんだもの」

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サトミが大学時代に所属していたミュージカルサークル。OGとして参加する公演の練習の送迎をするってのが、当時の土日の過ごし方のベースでした。これをデートと称するかはまぁ良いとして、本当に相当な週末をフタリの時間として費やしました。今、チッチがインタビューされたらこう答えるよ。

Q「どんな感じでした?」
A「めっちゃ、充実していた、そしてめっちゃシアワセだったよ!」
A「ミチカがお腹の中にいるときに、役でぶっ飛ばされるシーンは肝を冷やしたぜぃ!!」

そう、ベースは、前提はシアワセだったのです。だけど、対人関係はそういう時こそエラーが起きる。油断しているから。

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例えば、こんなこと。(と言うか、大体これ!)

サトミの練習中は、チッチはヒトリで時間をつぶします。カフェだったり、ブックオフだったり、アウトレットモールだったり。まぁ、元来ヒトリ時間がお得意なチッチは、充実した時間を満喫するのです。

そして、夕刻か夜。

お迎えに指定された時間の、10分くらい前には待機場所に到着。「女子大正門の路側帯で待つなんて、俺、イケてね?」という勘違いもシアワセ気分を後押ししてくれたり。そして、いつも目論むのはこんなこと。

“きっと、テンション上がり気味で戻ってくるんだろうなぁ。よし、「おっつかれ!」で迎えよう。”
“今日のトピックス、めっちゃ話し出すんだろうな〜。よし、なんでもきくぞ〜。てか、それが楽しみだし!”
おかえりなさいを最高の笑顔で言う準備、万端です。

まだかなぁ?

そして、お約束の…
待てど暮らせど、きません、サトミ。

チッチは、特異な性格なのでしょうか?自分が想定したシナリオ通りにいかないと、その後の感情の起伏に身を委ねてしまって手がつけられなくなる。どういうことかって?

“身を任せるしかない、ウォータースライダー状態”
シアワセの方向に振れていた針が、境の0を超えて同じ振り幅でシアワセじゃない方に振れてしまうのです。

元来、思いやりに欠けるタイプ。
どう思いやりを持って見積もっても、自分のことしか考えられないタイプ。
そして、包み隠さず顔に出る。

「遅くなって、ごめんね…」
そう言って乗り込んでくる(しかもとても申し訳なく思って)サトミが、どんな顔のヤツにどんなトーンで“オツカレサマ”を言われることになるのかは、とてもじゃないけれど、ミチカには体験させたくないです。

(そうだね、今でも時々やっちゃうね。そう、そんな顔です。)

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そりゃ、泣くよね!

こちらは、勝手に、自分で、好き好んでスライダーしてるからいいけれど、サトミは無理矢理、予告もなく、乗せられるのだから。しかも、いとまも与えられず「はい、しゅっぱぁつ!」

そりゃ、サトミでなくとも泣くよ。
でもチッチはわからない、なんで泣くの?あれ、俺何かした?しんどいのこっちだけど?泣かなくてもいいのに!

で、くだんのセリフ。「なきゃぁいいってもんじゃないでしょ!」
(いろんなハラスメントが入ってる気がしてきた。とりあえず謝っておきます。ごめんなさい。)

こうやって、当時はチッチがサトミを感情に抗うことなく傷つけ、サトミはチッチの刃の殺傷能力以上に傷ついてしまうという、なんとも痛ましい状態が少なからずあったんだ。

あの頃から比べると、少しは成長したのだと思う。サトミは妻になり、ミチカが生まれ、フタリは親になった。

ミチカ、君が生まれてきてくれて、お互いが“互いに対する思いやりを大切にしたい”という意識を持つことができたんだよ。3人のシアワセのために。今は、チッチもサトミも成長したと思う。

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こんな前科があるやつがコミュニケーション論の研修講師を志し、結果、“なった”のだから、まさにヤンキー先生みたいだと思う。

ここからは、研修講師になるために学んだ性格心理学「エニアグラム」での気づきのお話を少しだけ。

チッチこと成功体験請負人あじまは、日本エニアグラム学会の認定ファシリテーターです。

今となっては、エニアグラムを活用して数多くの講座を開催するチッチも、学びの過程でたくさんの気づきを得ることができたのです。

人の性格は、9種類(タイプ1〜タイプ9)に分類できるという大前提があるエニアグラム。学びのゴールの一つは自己理解。ここで知った、チッチの性格は大まかに次の3つ。

①変わっている人
②感情人間
③プラスでもマイナスでも味わい深ければOK

サトミの性格の代表選手3つは次のとおり。

①ちゃんとしている人
②冷静な人
③自分の中にあるべき答えがちゃんとある

悪く言えば、全く違う二人。しかも理解し合うにもハードルが高そう。
良く言えば、お互いに足りない部分を補完しあえる。最高のパートナー。
そう、物事は善いも悪いも表裏一体!どこに焦点を当てるか次第ということ。

まぁ、おんなじ二人ならば相性バッチリと言うことでもありませんし。

ただ、こんな二人が自分の性格丸出し(しかも相手に対して理解を深めるためのエビデンスがない状態)で対峙し合えば、スライダーにも乗っちゃうし、そりゃ泣くよ。

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学びの途中。あるワークショップでの体験。

“繰り返し質問”のワーク。
聞き手は同じ質問をずっと繰り返す、話し手は一言で答える。
こんなワークでした。

「〇〇さんが言われて嫌なことって何ですか?」
「〜〜〜〜〜です。」
「ありがとうございます。〇〇さんが言われて嫌なことって何ですか?」
「〜〜〜〜〜です。」
「ありがとうございます。〇〇さんが〜〜」
これの繰り返し。5分間ずっと!

このワークの意図、そのココロは、“自分が無意識に囚われているこだわりや大切にしていることを自分から引き出す”ということ。

チッチ、このワークをサトミとおんなじ性格タイプの女性と取り組みました。その方には、なんとチッチとおんなじ性格タイプの娘さんがいました。

お互いに、大切な人とのコミュニケーションに課題感を持っていて、少なからず苦しんでいる者同士。ワークの結末、どんなだったでしょう?

お互い、泣きました。
はい、皆さんご一緒に!

「なきゃぁいいってもんじゃないでしょ!」
(おあとがよろしいようで♪)

いやいや、そうじゃなくって。
お互いに気づいたのです。「あぁ、いつも口癖のように相手に言ってしまっている言葉、自分にとって普通で悪気なんかないいつも通りの言葉。それが、相手にとっては嫌な思いをさせられていただけでなく、最悪の言葉だったんだ。」
ずっとそばにいた分、ずっと苦しめ続けていたのかもしれない。

チッチは、ワークショップで参加した東京から帰宅して、速攻でサトミに謝りました。
「これまで、ごめなさい。」

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気づいたことを元に振り返り。

待ち合わせの時間に遅れてしまったサトミは、もうその時点で内省し、自分を責め、それでもチッチにヤな思いをさせないように、最大限の思いやりと勇気で「ただいま」を言っていた。

それが自分のその時点の最善だと信じて。

だけど、うまくいかなかった。「あぁ、また怒らせてしまった」「私ってだめだなぁ」内省が内省を生み、内省の沼にハマっていく。そして、本当は助けるべき立場の人にとどめを刺される。

そんなサトミの“なんでそうなる?”をチッチはやっと知り、受け止めることができたのです。
同時に、どうすべきかも身につけることができた。
そう「チッチはサトミのトリセツを手に入れた!」

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「サトミもチッチのトリセツを手に入れた!」とか、いずれ「ミチカのトリセツを手に入れた!」っていうイベントも発生するでしょう。

でもさ、コミュニケーションのエラーは相変わらず起きるんだよ、きっと。
なぜって、研修講師から成功体験請負人にアップデートしたはずのチッチの有り様がこうだし、さらに言えば、それはチッチに限ってのことじゃないと知っているから。

エビデンスとして確立されている、人類の叡智を
「エラーが起きた時に、振り返るために使う」&大切な人のために。

あの頃、サトミが発揮してくれていた“思いやり”と“勇気”。それを無かったことになどしないために、そして諦めることなく大切な人のためにずっと発揮していけるように、手に入れたトリセツを大事にしていきたいと思うんだよ。

最後までお読みいただきありがとうございました!あなたのココロに波紋を起こせたとしたらとてもシアワセです。次の記事も楽しみにしていただけるとしたら、そりゃ、もう、頑張ります!!