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人生で一番のカミングアウトをする(性的な話が含まれます)

わたしには、中3の頃から7年間、
「隠さないといけない」と思い続けてきたことがある。

そしてその間に、
秘密の中身はどんどんと膨れ上がり、
より人には言えないものとなっていった。

しかし、大学4年生のときに、
考え方が変わる出来事がいくつかあり、
この秘密を隠さずに生きていきたいと思うようになった。

それから約1年が経った、今日。

ようやく心と状況の整理がついたので、
ここでカミングアウトをする。

このときが来たことを、本当に本当に嬉しく思う。

わたしのnoteは、非常に多くの知り合いが読んでくれている。
そして、このnoteでは、顔もプロフィールも公開している。
(現在は仕事の関係で非公開)

だから、ここでなにかを発信することは、
「社会」と「世界」に向けてカミングアウトするということだ。

相当思い切ったことをしている自覚はある。少し怖い。

でも、覚悟は決まっている。

わたしは…


わたしは、サディストである。


「サド」や「サディスト」の略である「S」は
Sな性格、Sっぽい人、などと日常会話でも使われるが、
わたしのは、ガチの「サディスト(=加虐性愛者)」である。

「カミングアウトします」というツイートを読んだ方のうちの多くは、
わたしがLGBTのような性的指向(性自認や恋愛対象)の公表を行うのだと思っただろう。

しかし、わたしのカミングアウトは、
「性的指向」ではなく「性的嗜好」の告白である。

「性的指向」をオープンにする人、受け入れる人が増えてきているのに対して、
性的な興奮を覚える対象や行動の好みを表す「性的嗜好」は、
恥ずかしいもの、汚らわしいもの、とタブー視されているのが現状だ。

わたしは、その世間の風潮によって、
何年間もずっと、猛烈な「生きづらさ」と戦ってきた。

第一に、普通に過ごしていたら、性的嗜好が合致する人にはまず出会えない。

性的嗜好はオプションのようなもので、
恋人やパートナーとそれの相性が良くなくても別に構わないという人もいるだろうが、
特定の対象やシチュエーションではないと、
相手にどれだけ好意を持っていても、
全く性的に興奮しないという人もいる。

わたしを含めたそういう人たちにとっては、
性的な関係の構築にあたって、
異性愛者は異性、同性愛者は同性が相手であることが必須の条件であるのと同じように、
特性・性的嗜好が求めるものと合致している相手であることが譲れない条件なのだ。
(※恋愛関係についての言及ではない。
性的嗜好とは関係なく恋愛感情を持つタイプの人もいる。わたしのように。)

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※2023.1追記:2021.1時点で「譲れない条件」と書いていますが、それ以前にもノーマルの方とお付き合いをしたことはあり、その際は普通の夜を過ごしている最中にD(ドミナント)やS(サド)の妄想をすることで興奮に繋げていました。執筆時点では、そのような妄想が必要になってしまうノーマルの相手ではなく、s(サブミッシブ)やM(マゾ)の方とのお付き合いを希望していたため、このような書き方をしました。現在は、SMパートナーのみの関係の方は探しておらず、恋愛関係を築いていける人と過ごしていきたいと思っており、その方とは性的嗜好が一致していれば嬉しいですが、「譲れない条件」とは考えておらず、異性として魅力的か・人間性が素敵かが「譲れない条件」になっています。人の考え方はは変わりますね。
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しかし、性的嗜好を表でオープンにすることのハードルが非常に高い現在、
そういったところが合致する人と知り合おうと思ったら、
SMパートナー探し用の掲示板や、
マッチングアプリよりも危険度の高い、アダルトな出会い系などを利用するしかない。

わたしはこれまでに、そういった掲示板や出会い系を使って、
数百名の男性とコンタクトを取り、
数十名の男性と出会って、SMプレイを行った。
そのうちの数名とは、付き合うことになった。

素敵な出会い、楽しいこともあったが、
アングラなネットツールである。
非常に手間もかかったし、
当然、嫌な気持ちになること、怖い思いをすることもあった。
(具体的にどんなことがあったのかは、のちのち語っていく。)

わたしの真のガクチカ(学生時代力を入れたこと)は、
サークルでもアルバイトでもなく、
「SMパートナー探し」である。

第二の生きづらさは、Sであることを隠し続けないといけないことだ。

恋愛や性についての話をする際、
わたしの核となっているものである性的嗜好について触れずに話し、
本音で語り合うことができないという経験を何度もしてきた。

そして一番つらいのは、アングラな世界でこっそりパートナーを探すときですら、
誰もが嗜好の世間バレを恐れていることだ。

そのせいで、なかなか相手との距離を縮められないこともストレスだったし、
何よりも、みなが「恥ずかしいこと」「バレてはいけないこと」をしているという意識を持っているため、
常にトラブルへの発展と背中合わせであったことが、非常に苦痛だった。

本当に本当に、精神が消耗された。

このような生きづらさを抱えて、それでも必死に生きてきたが、
今から1年ほど前に、発想のコペルニクス的転回が起きた。

「社会に反旗を翻して、戦う人はかっこいい」

とある友人のこの言葉で、
「我慢して社会に迎合するのではなく、社会を変えたっていいんだ」と思えるようになったことが、
カミングアウトに踏み切れた理由の1つだ。

「特殊な性的嗜好を持って生まれてきたら、
誰も傷つけないような関係・行為だけを選択するとしても、
本性を隠し、アングラな世界で、
恐怖に怯えて生きていかないといけない。

本当にそうなのか。

社会がおかしいのではないのか。

LGBT等、性的指向のマイノリティの人たちも、
社会を、世界を変えようと声をあげている。

偏った性的嗜好を持って生まれてきたわたしたちも、
この状況を甘んじて受け入れるのではなく、
世の中と戦っていってもいいのではないか。」

こういった考えを持つようになったが、
はたして、特殊な性的嗜好を抱えているわたしたちも、
少数派の性的指向を持つ人たちと同じように、
戦っていくことができるのだろうか。

わたしは、できると思う。

このように世界に向けてサディストであることを公言するのは初めてだが、
実はけっこうな人数の友人が、わたしの性的嗜好を知っている。

高校生の頃、クラスの友人たちに打ち明けた。
3人とも、いまでも変わらず親友だ。

大学生の頃、流れでゼミのときに話すことになった。
先生も助手さんも2名の学生も、普通に受容してくれた。

そして、これらの経験があったことから、
新卒で入った職場の同期のうち、受け入れてくれそうな人柄の人に話してみた。
約10人全員、それまでと全く変わらず仲良くしてくれた。

これまでに性的嗜好を話したことによって距離感が変わってしまった人は、
ひとりもいなかった。

このことが、カミングアウトを決意できたもう1つの理由だ。

世間がLGBTの人々の権利を大切にしようという風潮になる前から、
性的指向のマイノリティの方に偏見を持っていない人がいたように、
実は現在でも、特殊な性的嗜好を持っている人のことを、
普通に受け入れてくれる人がたくさんいるのだ。

だからわたしは、戦っていけると思う。

とはいえ、現在の世の中では、残念ながらカミングアウトによって不利益を被ってしまうこともあるだろう。

たとえばわたしが中学のとき、それほど親しくないクラスメイトに話していたら、無視やいじめに繋がってしまったのではないかと思う。

現状では、精神年齢の高い人か、信頼できる相手かというのを見極めて慎重に判断することが必要だし、そう思えない環境にいるのであれば、卒業まで我慢する、転職を試みるなど、変化のタイミングを待ったり掴みに行ったりすることも方略の一つだ。

精神的に「大人」な人が集まる場所は、きっとどこかにあるはずだから。
(とはいえ〜 2023.1 追記)

話は戻って、友人たちのおかげで起こった発想の転換と、得られた自信と勇気。

それらがわたしに、社会へ、世界へのカミングアウトをさせてくれた。

Sであることを隠さず自分らしく過ごし、
(もちろんそのことによって、周りの人に嫌な思いをさせてしまわないように気をつけながら、)
わたしの思いを文や言葉で発信していき、社会に変革を起こしたい。

その過程で、性的嗜好が合致する人に会えたら嬉しい。
素敵な考えを持つ人との出会いがあったら、もっと嬉しい。

(一応断りを入れておくと、
わたしは、わたしがSであることを明らかにした上で、
なるべく人を不快にさせないように気をつけながら世の中を変えていくという選択をとったが、
みんながみんな性的嗜好をオープンにするべきだとか、
どんなものでも受け入れるべきだとか、
そういった主張をする気は毛頭ない。

その辺についても、
後日詳しく話したいと思っている。)

わたしは、自分の体験したことや考え・気持ちの発信、
様々な方への取材・インタビュー、
また、イベントの実施やシステムの構築などによって、
次のような社会を作りたい。

「特殊な性的嗜好を持っている人も生きやすい、
オープンにしたい人がしやすく、
パートナーを見つけたい人が安心して探せて、
自分の嗜好がバレてしまうことに怯えることがない社会。

そして、特殊な性的嗜好に不快感を感じる人も尊重された、
聞きたくない人に届かず、
見たくない人の目に入らず、
不快だと感じる嗜好とは距離をとることができる社会。

特殊な性的嗜好を持つ人も、
特殊な性的嗜好に対して嫌悪感を持つ人も、
誰もが心穏やかに過ごせる社会。」

このような社会を目指すための第一歩として、
このnoteを書いた。

読んでくださった方のうちの、
特殊な性的嗜好を持っていない人が、
持っている人の悩みを少しでも理解してもらえたら本当にありがたいし、
特殊な性的嗜好を持っていて、同じような悩みを抱えている人が、
ちょっとでも生きやすくなってくれたらとても嬉しい。

知恵と勇気をくれた友人たち、
本当にありがとう。

わたしは、社会を変えます。

それが、サディストとして生まれたわたしの宿命だと思うから。


(2022.12 追記)

いつかはSMの嗜好を持たれている方向けのマッチングサイトも作りたいと思っていたのですが……今年の7月にリリースされていたことをこのあいだ知りました。

少し使って見ましたが、身分証明が必要で安心度が高いだけでなく、恋愛目的なのか・そうではないのか、SなのかMなのか、Dなのかsなのかの絞り込みなどもあり、理想的なサービスだなと思いました。

パートナーを探している方は、利用してみてもいいかもしれません。

追記も含めここまでお読みいただきありがとうございました。


(2023.3 追記)

大変遅くなってしまいましたが、やっと発信活動を本格的に開始しました。

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この発信活動において、編集外注などの活動資金が足りておらず(3月末に貯金残高5桁になりそうです)、「本当は人に頼みたいけれど自給自足でやっている」というものがとても多いです。 100円でもすごくありがたいので、お心遣いいただけると幸いです。