【経営者必見】迫る景気後退、なぜ今「予算」が見直されるべきなのか
こんにちは!株式会社ログラス代表の布川です。
25日間続いた【株式会社ログラス Businessチーム Advent Calendar 2022】も本日が最終日です!!
さて、ログラスは予算や計画を司るSaaSを展開している会社ですが、そもそも「予算」って何のためにあるのでしょうか?
コストを使いすぎないため?
売上目標を作るため?
評価のため?
いえいえ、どれも違います。
「予算」は企業価値を高めるために作るのです。それを今回は現在議論されている不況の背景とあわせて、noteにまとめたいと思います。
※この記事は【ログラス Business Advent Calendar 2022】の第25日目(12月25日分)にエントリーしています
迫る景気後退、企業の判断
予め注意喚起しておきますと、私はマクロ経済の専門家ではありません。
よってここに書いてある内容は個人の主観の域をでませんが、景気後退は明確に目の前に迫っていると考えて行動しています。
◆景気後退=リセッションとは
実は、景気が後退フェーズかどうか?の定義はかなり曖昧になっています。米国では全米経済研究所がリセッション宣言を出したりします。日本では内閣府が毎月公表している景気の現状把握などのために作成された景気動向指数のディフュージョン・インデックス(DI)の値が、リセッションフェーズでは50%を下回ることが多いとされています。
◆リセッションが迫っていると考える理由
もはや一般論でしかありませんが、以下のようなことが大まかに言えると考えます。
米国FRBによる金融引き締め継続に加え、日銀も長期金利引き上げを示唆
金融引き締めの目的である「インフレ抑制」に効果が出だすも、まだ目標は高いといった発言がFRBから出ていること
2022年後半は米国企業の業績予測下方修正が相次ぎ、S&P500も下落していること
コロナ対策としての大規模金融緩和の影響や戦争によるインフレを止めることができない状態に陥っており、FRBはリセッション入りも覚悟の上で、金利引き上げを継続しているとしか思えないような意思決定を継続しています。
本稿を執筆している12月15日時点のFOMC後の記者会見では、
2022年と2023年の実質GDP成長率の予測中央値はわずか0.5%となっており、中長期の均衡成長率1.8%を下回る状況が続くことを強調
「物価の持続的低下を確信するには、さらに多くの証拠が必要だ。金融引き締めの効果が物価に現れるまでには、特に時間がかかる」として、金融引き締めの継続を示唆
プラス成長を実現している限り、景気後退とは言えない。失業率が4.6%というのは、依然として労働市場が強いという認識
といったパウエル議長の発言もあり、株式市場は米国の金利の上下に一喜一憂する時期がしばらく続くのではないかと考えられます。
米FRB、政策金利を0.5ポイント引き上げ、2023年末に5.1%の見通し(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
勿論FRBも物価上昇が抑えられない中での景気後退、つまりスタグフレーションは避けたいでしょうから、どこかで金利上昇は抑制されることも考えられます。一方で、インフレ退治がなによりも大事なタカ派パウエル議長の動向に今後も注目です・・・
◆2009年を知る
コロナ後の2021年の世界経済は極めて順調であり、多くの国でGDPは成長しました。全体が緑で染まっており、高成長であったことを示しています。(但し前年がコロナ出始めの年でしたので、その影響が強く出ていることは補足しておきます)
一方、世界的な金融危機であるリーマンショックが発生した2009年の図を見て頂くと、如何に世界中が厳しい状況に置かれていたかがわかります。欧州や日本、北米も低成長あるいはマイナス成長であったことが見て取れます。
出典:World Economic Outlook (October 2022) - Real GDP growth
ログラスのpodcastでもリセッションについて語っており、2008-09年は「SaaSにおいても受注が1件も取れない」という恐ろしい時期だったといいます。
私達が経営するログラスはスタートアップであり、まだシリーズA~Bラウンドフェーズということを考えますと、あまりマクロ環境を意識した所で考え過ぎになる部分はあると思っていますが、新規受注が1件も出ないといった厳しい冬を少しでも頭の片隅に置いておくことは必要でしょう。
また、本稿をお読みいただいている中で大企業-中堅企業の皆様におかれましても、一定の事業投資は継続するべきであり、DXも継続して行うべきといえます。重要なのは、自分の業界におけるリアルな業績の予測を行うこと、予測に対する進捗を徹底的にモニタリングしていつでも切り返しができるようにすることです。
企業は利益・存続性を高めるために素早く行動します。そして、それを投資家にIRを通じて開示することになります。未上場企業であっても、銀行を含むステークホルダーへの説明義務に加え、資金繰りを意識した計画をより精緻に作成することで、投資家からの信頼を今まで以上に獲得していく必要があります。
精度の高い予算策定は株価を上げる
やや過激な表現になりますが、精度の高い業績予想開示は株価を上げる、即ち、企業価値評価を上げると言えると私は考えています。
少し古い研究ですが、神戸大学経済研究所の村宮氏の研究によれば、
つまり、CAPM理論における株主資本コストは、業績予想と実績が乖離するほど高くなるということであり、即ち、DCFモデルにおける企業価値が低下するということを示しています。
誤解されることを恐れずにもっと噛み砕いて述べるとすれば、
投資家に対して「達成する!!」と宣言した予想や計画を達成する企業は、当然投資家から信頼され、資本コスト(調達コスト)を低くすることができる=割引率が下がる=企業価値が上がる
逆に予想や計画を達成できない、あるいは実績が大幅に見立てを上回ってしまうような、予測能力の低い企業は投資家から信頼されず、資本コストが上がってしまう
ということです。シンプルに考えれば当たり前の話ではありますが、一般的な考え方から少しズレてくるであろう部分としては、理論的には予想を上回る「好調で上方修正が続く企業」であっても資本コスト的には本来ネガティブになり企業価値を毀損しうるということです。
よってもって、タイトル通りではありますが、精度の高い予算策定は株価を上げると言えます。
※よってもってはIBM用語、コンサル用語で「したがって」という意味らしく、試しに使ってみました
この観点においては、元ゴールドマンサックスで日本株のポートフォリオ・マネージャーである伊藤潤一さんのnoteは非常に参考になりますので、ご一読をオススメします。
冬の時代こそ、「予算」という羅針盤を活用する企業が勝つ
こうした背景がありつつ、やはり冬の時代には、大胆な事業投資がやりにくくなることは明らかです。ソフトバンクの表舞台から孫正義が降板したことは記憶に新しいでしょう。ビジョンファンドという攻めから、ARMという守りの経営にシフトしたと言えます。
孫正義氏、11月の決算会見を降板 ソフトバンクG、説明者変更 | 毎日新聞
前述したように、景気後退が見えてきているような不確実な時代には「予算」を高い精度で達成することが今まで以上に重要になってきます。売上達成に向けて施策を今まで以上に前もって仕込み、コストコントロールを的確に行うのです。
私達ログラスはそうした予算策定や予実管理といった業務を支援するSaaSを展開していますが、究極、手段はどんなものでも構わないと思っています。もし、この領域に新たに人員採用することが難しいという経営判断や、より高いレベルの予算運用を実現したいとお考えの場合は是非お声がけください。
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