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インド映画「パッドマン 5億人の女性を救った男」:生理用品が買えない問題

今日は2018年に公開されたインド映画「パッドマン 5億人の女性を救った男」を見た。Netflixで配信されており、時間は2時間10分だ。生理を経験したことのない人には是非見て欲しい。女性たちが生理で困っている現実があることを知るためにはとてもいいように感じた。


インド映画「パッドマン 5億人の女性を救った男」

主人公ラクシュミは妻想いの青年だ。結婚してから、妻ガヤトリの幸せを一番に考えてきた。

ある日、妻ガヤトリは生理になった。

生理になった女性たちは家の外(ベランダ)で生理が終わるまでの5日間過ごす。部屋には入れない。外出はできない。ただベランダで過ごす。彼女たちは「穢れ」の意識から、夫であっても触れられることを嫌う。ナプキンは高価なものであるため買えない。女性たちは布で対処していた。

ラクシュミはガヤトリのためにナプキンを薬局で買い、彼女に渡す。しかし、彼女はナプキンを使った方がいいことはわかっているが、高価であることや母や姉、妹など家族の女性たちに知られたら困ることを理由に、ナプキンを使うことを拒む。

ラクシュミは自分が無料で作ればいいと考え、材料を揃え作る。1度使ってもらうが、試作品は布よりナプキンの役割を果たすことはなかった。

ここからラクシュミの生理用品への挑戦が始まる。

医学生に試作品を使ってもらい、感想をもらおうとするが失敗に終わる。村の女性たちには「変態扱い」される。ついには、妻と離れ離れになり、村を追われることになる。

大学教授から知識を得ようとするが失敗。教授の子どもにパソコンで素材を検索してもらい、素材をゲット。自身の工房をたてナプキンの研究を始める。試行錯誤を重ねナプキンの新たな試作品が完成した。

偶然出会った女子学生パリーはラクシュミの熱意に賛同する。彼らはついに低コストでナプキンを作れる機械を完成させる。パリーが提案した発明家のコンテストでラクシュミの発明は賞を獲得する。その後、パリーの営業活動により工房のある地域の女性がナプキンを買ってくれるようになる。そして、女性たちが働き自立できる仕組みを作り、インド国内外からラクシュミは称賛されることになる

これはインドで生理用品に革命を起こした男アルナチャラム・ムルガナンタム氏の伝記映画だ。TEDでも話をしている。


とてもいい映画だ。

生理は「穢れ」とされているが、初潮のときは女性陣たちと盛大にお祝いをする。

生理用品を使った方がいいことはわかっているけど、周囲の目とその高価さから持っていることさえ嫌う

男性陣は生理のことをなにも知らない。なにも知らないが「穢れ」であることは知っているから、生理中の女性たちやナプキンのことは汚いもののように扱う。

女性たち自身も「生理」や「ナプキン」の話をするのは「恥ずかしいこと」と認識している。

生理に対するいろんな出来事がこの映画には詰め込まれていた。


生理用品が買えない問題

日本を含む世界各地で、「生理用品が買えない」問題が最近注目されている。

日本だと消費税が増税した2019年前後の時だろうか。食べ物などの生活必需品は消費税が8%で、必需品ではないものは10%になった。そのとき、生理用品は「生活必需品」ではないから10%になった。

なぜ生理用品が10%の消費税なのか?女性たちにとっては必要不可欠なのに?

感染症が拡大し女性たちの収入が減っている現在では、生理用品が買えないことが目に見えて問題化してきた。

2020年にはイギリスのスコットランド議会で女性に生理用品を無料で提供することを自治体・教育機関などに義務付ける法案が可決された。ニュージーランドやフランスでも生理用品の無料配布を始めた。

日本でも生理用品が買えない女性は多くいる。

昨今の日本はどんどん貧困になっているように思う。そもそも平成以降に生まれた世代に景気の良いことなんかあんまりないのだが、それにしても賃金が上がらなかったり子どもの貧困は深刻化している。

日本でももっと生理用品の無料配布は進んで欲しい。教育機関や公的な場所では無料で配布されたり支給されたりしたらいいと思う。「女性だけずるい」とかいう人がいるかもしれないが、約1週間血だらけで頭痛、腹痛、気だるさ、強烈な眠気、肌荒れに苦しめられる女性を「生理中は大変だよね」だけでほったらかしにしている方が良くないように思う。


映画のなかでも生理に無知な男性がたくさん出てくる。診療所の先生が男性が生理のことについて知らないことを指摘していた。女性たちの初潮のお祝いには男性は参加しないし、女性たちは「女たちの秘密」「恥ずかしいこと」として誰かに相談しようとはしない。

私も中学生の時、女子生徒だけが体育館に集められ、月経に関するレクチャーを受けた経験がある。男子生徒には「入ってこないで」と先生たちが言っていたから、生理は女子生徒だけの問題とされていた。


また、映画のなかで、生理中の女性たちは「布」で対処していた。血まみれの「布」を洗い干すとき、女性たちは他の洗濯物のサリーで生理用の布が隠れるように干すのだ。診療所の先生が「不衛生な布」についての指摘もしていた。

この部分は「布ナプキン急進推進派」の方々には一度考えて欲しい。布ナプキンにメリットはあるかもしれないが、清潔さを保つには使い捨てのナプキンの方が清潔なのは明らかだ。


インド映画でよくいう言い回しを使えば、

「もう2021年だ。」

男性も女性も生理について基本的なことは知っておいてよい。2025年になろうと2100年になろうと女性は生理になる。男性だから知らなくていいということではない。

世界経済フォーラムが先日発表した2021年度の「グローバル・ジェンダーギャップ・リポート」で、日本は156ヵ国中120位だ。G7で最下位だ。(ちなみにインドは140位だ。)このランキングからも、東京五輪の女性蔑視発言問題からも、選択的夫婦別姓の問題からもわかるように、まだまだ男女平等には程遠い日本だ。せめて、生理のことぐらいみんなが理解できれば、少しは男女平等に近づくのではないだろうか。



インド映画「パッドマン」を見ていたら、現代の「生理用品が買えない問題」を思い出した。インドと日本では状況が違う、という意見がありそうではあるが、似た状況はある。生理用品は全世界の女性たちの悩みの種であることがわかった。

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