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謎の提出物 no.3:"Letter"

このnoteはインドの大学院にいたときに提出するように言われた書類の中で、「なんだこの書類は?」と思ったものについて書いている。

第1回目はMigration Certificate、第2回目はAnti Ragging Formのことを書いた。今後、インドに留学に行く学生の助けになればいいなと思う。

そうは思っているが、時代の流れやその時々の出来事で提出書類は変わる。

「前回はこれが必要だったよな!」と思って準備していいても、「今回はこれは不要になりました。これとは違う新しいこちらが必要です」となることもある。心算としてググって検索はするとして、最新情報は自分で集めるのが吉だ。
(ここで難点なのが検索すればするほどどれが「最新情報」かがわからなくなることだろう)

Letter

第3回目の今回は"Letter"だ。
その名の通り「手紙」である。困ったときや最終的な解決はこの「手紙」が最もパワフルな書類になる。

どのようなものか?

このLetterというのは繰り返しになるが「手紙」のことであり、何かを請求したり、何かを申し出たりするときに書くものだ。割と頻繁に各担当部署宛に「手紙」を書く機会がある。


いつ・どこで提出するのか?

例えばどんな場合があるかというと、

  • 何か特別な書類を大学に請求したいとき

  • 学内で困ったことがあったとき

  • 寮で備品が壊れたり、困ったことがあったとき

  • 寮から数日間出かけるとき

  • 特別な出来事があり、先生に「手紙を書きなさい」と言われたとき

書類を請求する場合は事務課宛に、寮で困ったことがあるときは学生支援課や寮母宛に手紙を書くなどしてそれぞれ担当部局に手紙を渡しに行く。

手紙を出すのは「最終手段・最終段階」の出来事であるため、手紙を書くに至るまでに学生サポート担当の先生や留学生課の先生とWhatsAppやメールでやり取りをしたり、面談したりして手紙を書くことになる。


どこから入手するのか?

特に指定の用紙があるわけではない。ノートの紙でもルーズリーフでもコピー用紙でも、白い紙であればなんでもいい。

件名・宛先・本文・名前・日付・サインがそれぞれ書いてあれば問題ない。

寮から数日出かけたりするような場合は、寮から指定された帳簿に書いたりする場合がある。簡単にするためには、「件名・宛先・本文」だけを変えればいい感じになるようなフォーマットを自分で作っておくことだ。


私の場合。

インドで生活し初めた最初のころ、銀行の口座を開設するときに2枚の手紙を書いた。

  1. 事務宛にBonafide Student Certificate(在学証明書のようなもの)を発行してもらうため

  2. 寮母宛に寮への在住証明を書いてもらうため

Bonafide Certificateは公的機関で在学証明する場合に必要な書類なのだが、これを発行してもらうには手紙が必要になる。
手紙に発行してほしい旨を書いて、自分のサインと所属している学科の学生の世話役になっている先生のサインを記入して提出する。


手紙のことをよくわかっていなかったときに、先生から「Letterを書きなさい」と言われて困惑した。「Letterって何??」という感じだ。そしたら目の前で世話役の先生が書き方を教えてくれてサインまでしてくれて、無事にBonafide Certificateは発行できた。

その後、寮を一度引っ越した時もBonafide Certificateが必要になり、手紙を書いて発行してもらった。


その他には、長期休暇(Semester Break)で小旅行に行ったときに、寮宛に "Permission" という名の出かけることを書いた手紙を出した。

Permissionを手紙で出さないと、一泊するのも許されない寮であったためPermissionを出してないのに夜遅くに寮に戻った日は、寮母・ルームメイト・セキュリテーのおばさんから電話がたくさんかかってきていた。
(パーティやクラスメイトらとダラダラお茶していて寮に戻るのが遅くなることはしばしばある。そのときは寮母に直接電話をしておくのがよい。)


注意点はこの「手紙」に「サイン」すると意思表示をしたことになる点だ。

どういうことかというと、私が大学院にいたとき「寮の改善をめぐる学生と学生支援課との闘争」があった。このときは各寮の不満点を述べた「手紙」が学生の間で回っていた。これにサインをした場合、闘争に賛同/参加したものになる、というものだった。

当時、グジャラートが酷暑なために寮の設備や食事に対する不満が学生の間で噴出していた。プロテスタントの学生たちは「手紙」を学生に回し、署名活動のようなことをしていた。しかし、学生支援課はなかなか耳を貸さなかった。デモ活動はだんだん過激になり、寮と大学間を往復するバスの窓を割り、暴徒化寸前になるほどだった。翌日にはこのことがニュースになり、大学と学生の交渉が始まった。

このようなときにも「Letter」だ。
自分は本文を書かないとしても、サインをするとデモ活動に参加したことになる。実際には私も少々の不満があったためサインをして署名活動には参加した。

しかしその後、やや暴徒化してしまったことを目の当たりにして、「こういう暴徒化するようなデモ活動には賛同はしていなくって、ただ寮の設備の改善を求めることに賛同したのにな」と思ってしまい、サインしたことをやや後悔した。

「大学でデモ活動!?」と思うかもしれないが、インドではおそらく割とよくある光景だ。私が所属していた大学でデモがあった同時期には、JNU(ネルー大学)でもデモが起きていた。


おわりに

さて、ここまで全3回で「謎の提出物」について書いてきた。
提出しなければいけない理由やその書類の内容がよくわからないまま言われた通り提出したりすることは実際にある。これはインドの大学院に限らない。

よくわからない提出物にも何かしらの意味があったりなかったりするところが、この書類仕事/ペーパーワークの面白さだ。そしてこの面白さには苛立ちが伴う。

私は今後もいろんな場面で、提出期限と煩雑さと無意味さに腹を立てながら、イライラしながら書類を提出していくんだろうと思う。


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