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追記 - After Reports - 栃木・永野川

 昨年の12月にアップした台風19号の被災地である栃木市を再訪した。前回は永野川の決壊箇所付近である栃木工業高校近辺の写真をご紹介したが、今回は栃木街道を挟んだ反対側を少し歩いてみたので、追記としてご報告する。

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 栃木県県道2号線、いわゆる栃木街道は宇都宮市と栃木市とを結ぶ片側2車線の道路だ。宇都宮市桜2丁目交差点から栃木市万町交番前交差点までの概ね25kmほどの区間を指す。県の中央を縦断する国道4号線の裏道とも捉えられ、交通量も豊富だ。
 街道沿いは商業施設も多く、数多くの店舗が軒を連ねている。特に栃木市内に入ってからは大型のショッピングセンターなどが林立している。

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 その中の一つ、「カインズホーム栃木店」は台風19号の深刻なダメージを受け、被災翌日の10月13日から営業を停止していたが、被災から2か月後の12月12日、店舗の閉店を決定した。
 カインズホームは埼玉県本庄市に本拠地を置くホームセンターチェーンで、売上規模も全国トップクラスを誇る有名店であり、スーパーのベイシアグループの一員として経営していることから群馬県の企業イメージがあるが、カインズホームの前身である「いせやホームセンター」はまさにここ栃木店からその歴史が始まった。

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 創業は1978年であり、以後41年間にわたって栃木街道沿いで営業を続けていた。しかし昨年10月12日、日本全土を襲った台風19号によって栃木街道から500mほどしか離れていない永野川上人橋近辺から氾濫し、道路は一帯が水浸しどころか河川のような状態と化して、濁水の激流が店舗や一般家屋を飲み込んでいった。

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 カインズホーム栃木店は地下に貯蔵していたほとんどの商品が水に浸かり、使い物にならなくなって廃棄となった。台風の被害もさることながら店舗の老朽化も重なり、惜しまれつつも閉店することとなった。
 撮影は2月で被災からは4か月近く経っているが、店舗は解体工事が始まっており、業者の出入りが見られる。看板も取り外され、広い駐車場は物悲しげだ。

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 カインズホーム栃木店から一本裏手に入るとそこは住宅街だ。古い地域でもあり、新しい宅地と古い家屋が混在している。
 その近隣を歩くと、およそ3分の1程度の住宅が空き家となっているようだ。個人宅であるため無闇と写真には納められないが、差支えないと判断したものだけ撮ってみる。

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 貸家の集合住宅はすべて空き家となっており、ガラスは割れて修理する者もない。今は野良猫が棲家としているばかりだ。
 アパートの類もたくさんあるが、現在の住人はいないようだ。修繕工事も行われており、アパート内の設備が取り払われ、無残に放置されている。

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 残りの3分の2の住宅のうち、現在改修が行われているのが3分の1、既に改修を終えて無事住まわれているのが3分の1という感じで、元通りというにはまだまだ程遠い状態である。喫茶店などの店舗も被害を受け、1階部分は営業していない建物も多い。中にはテナントが出て行って空きになってしまったビルもある。想像以上に浸水の被害は後々まで残っている。

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 そんな中、一部の復旧は進んでいる。1月6日の栃木県の記者会見によると、国との協議が整い次第補正や当初予算にて改良復旧を始めるとしており、国による災害査定が行われている県管理の7河川の内の1つにあたる永野川は、ようやく復旧工事が始まっていた。
 国道50号線から見えるこの新永野川橋は、重機も入り大規模な工事が行われていた。ここだけではなく、大平山近辺の河川部など複数個所でも大がかりな工事が始まっている。

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 そして今月の21日、4か月の休業を余儀なくされていた「ケーズデンキ栃木大平店」がようやく再開する見込みだ。家電量販店であるため浸水の被害は尋常ではなく、商品は全損。店舗の変電設備も大きなダメージを負い、壁や床なども張り替えるなど徹底した改修を施した。
 これで栃木街道沿いの大型店舗はほぼ被災前の状態に戻ることになる。少しずつでも生活が回復していく手ごたえが感じられるといい。

 あとは永野川の桜が美しく咲いてくれれば言うことはない。

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