詩 「夢遊」

居ても立ってもいられなくなって

と言っていたのを記憶している。

銀色の丸くひかる、いや
鈍色にかながなしく光る
その早朝の大物は
わたしの頬をひどく伝って
またのだみ消える

「 でもさあ。 」

そこで言葉が終わる
きっと布団や、
明るみを抑える
カーテンが
欲しかったんだと今更おもう。

裸足で歩いていると、
飲み残した炭酸飲料のコップを持ち
近づく人がいた。
わりと
なんでも受け入れられるタチだったので、
わりと
温くなったコップの評背面でも、
すんなりと受け入れられる。

生まれながらにそうなっていたわけじゃない。

足元の地中に
ピンと張られた黄色の、
太く巻かれた刺繍糸みたいなものが、
冷たい地面の下に隠れた存在を
教えてくれる。

「 あれ? 」

近場のカフェのプラスチックカップと
時代遅れな
有線ヘッドフォンを持ち合わせて
馴れ馴れしい声がかかる
途端に

逃げたい

と口だけで口にした
寒色系の歌手の画面が目をよぎる
鋭い牙で奥深い口端、口端の部分は少し黒い

「 そうだよね? 」

またそこで終わる。

気づいたら水色の
キラキラした、
少し錆びている自転車を押して
左右に
気をつけている

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