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「子持ち様」論争を考える~NOT IN MY BACKYARD ~



1.短時間勤務は迷惑?


職場復帰をする前後で、同僚や友人たちとの会話で、気にかかっている言葉がありました。
「職場に迷惑をかけないように」

短時間勤務で復帰する母親たちが、合言葉のように言うのです。

そういうわたしも感じるところがあって、急な保育園の呼び出しが来たら、仕事を誰かにお願いしてでもわたしが行かねばならない、次の日も仕事を休まなければならないかもしれない。
そうなると「職場に迷惑がかかる」と。

わたしにできる対処としては、早め早めに仕事の段取りをしておいて、急にわたしが対応できなくなったときの迷惑を最小限に抑えることくらいです。

母の世代(60歳前後)は短時間勤務制度なんてなかったと言います。
専業主婦率も高かったなか、仕事を続けるという選択をした母親たちのエピソードは、フルタイムの仕事と子育てと家事等のダブルワーク・トリプルワークで、とてもわたしには真似できないと思わされるほどの迫力があります。その世代と比べると、いまは子育て支援制度も整ってきているといえます。

短時間勤務は、2009年の育児・介護休業法の改正によって定められた制度です。
育児や介護など、主に家庭の事情によって本来働くべき時間よりも短い時間で働く方法と説明されています。
2012年には、100人以下の事業主にも育児短時間勤務制度を設けることが義務付けられました。
会社は従業員からの申し出があった場合、短時間勤務、つまり時短勤務の措置を行うこととなっています。
 
 
 制度では認められているからといって、必ずしも歓迎された働き方ではないこともあります。
試しに、「時短勤務、迷惑」と検索してみると、いろんなエピソードを含んだ投稿に批判や擁護のコメントがついている記事を見ることができます。

「時短勤務は職場に迷惑がかかるので菓子折りを持ってコミュニケーションを円滑に」「時短勤務ママのフォローに疲れる」、最近だと「子持ち様」と揶揄される。

もちろん社風にもよるのでしょうが、「職場に迷惑をかけないように」という言葉は時短勤務で復帰する人の共通に持っている思いなのではないでしょうか。

2.妊娠・出産も迷惑?

子育てで短時間勤務を選んでいる状況だとしたら、そもそも妊娠・出産についても迷惑なのでしょうか。
公立学校の教員として働いている友人は、新年度に合わせて仕事復帰ができるように出産時期の調整をすると言います。
保活激戦の街に住んでいる知り合いは、年度の早い時期に生んで0才児から保育園に入れるようにする、職場で一番忙しい時期に産休で休むことにならないように調整した、という話も聞いたことがあります。
少し前にニュースになりましたが、ある幼稚園の先生は、毎年誰が妊娠するのか順番制だったとか。

わたし自身の体験でも、2018年に他団体への出向が決まったときに、出向中に妊娠出産で休むことがないようにと上司から言われたことがあります。

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