見出し画像

J134節 セレッソ大阪戦 雑感

前節、残留を争う大分との試合に引き分けた徳島。仙台-横浜C-大分と続く6ポイントゲーム3戦で積み上げた勝ち点は4。本来は9を獲得したかったところなのでいい結果とは言えない。それでも、時は元に戻らない。前節湘南が横浜FCに引き分けたことで徳島を追い抜いて16位に浮上。徳島は再び降格圏に入った。状況はどんどん厳しくなってはいるがここから勝ち点を積むことができればまだ可能性は残っている。LAST2のホームゲームとなった今節はセレッソ大阪を鳴門に迎えてのホームゲームとなった。

スタメンは前節から1人を変更。石井選手に代わって福岡選手がスタメンに。今節はサブのメンバーが大きく変更になった。鈴木大、田向選手は久々のメンバー入り。FWの控えには佐藤選手が入る。一美選手は欠場が続いており、故障があるのか。好調を維持していた浜下選手もメンバー外となった。一方のセレッソはリーグ戦前節の後、天皇杯、ルヴァンカップ決勝と2試合を戦い連戦の真っただ中にある。フィジカルコンディション的に有利な状態にある徳島としては、この点を活かせるかどうかが勝敗に影響を与えそうな予感。

前半、徳島は後ろから長いボールをサイドに蹴って全体をプッシュアップし、敵陣でボールを保持する形。守備は前からプレスにいかないことはないけれど、どちらかというと早めに撤退し自陣深くでブロックを形成して守る。

序盤からセレッソのお家芸ともいえるセットプレーを続けて与えてしまっていた11分、セレッソの右からのCK。キッカーの丸橋選手は低くて鋭いボールを供給。ニアで徳島の選手より前へ入った奧埜選手がうまくすらしてファーへ。ファーへ入ってきた加藤選手がきっちり合わせてゴール。身長差を考えたセレッソの意図のあるCKから先制されてしまった。

先制された直後は勢いに乗るセレッソの攻勢を受ける形になった徳島だが、相手の前線からのプレッシングが少し弱まったのもあって、後方からつなぐ形も交えながらボールを保持し始める。前節とは違い、とにかく素早く縦につけることはせずにボールを保持しながら全体で押し込む。サイドへ出してもすぐにはクロスをあげず、同サイドのハーフスペースを使う、逆サイドに振るなど時間をかけてじっくり攻める傾向が見られる。この辺りは前節の岩尾選手のコメントを「踏まえて」みたいなところもあるのかもしれない。17分には右ハーフスペースからの岩尾選手のクロスにバケンガ選手が、19分には右サイドからバケンガ選手のクロスに垣田選手がそれぞれ決定機を迎えるも決められず。そのままスコアは動かず0-1とビハインドを抱えたものの、それなりに手ごたえも感じながらの前半は終了。

後半開始から緊急事態というか異常事態というか。これまで終盤で下がることはあったけれどリーグ戦のほとんどの時間をピッチ上で過ごした岩尾選手が後半開始早々に鈴木徳選手との交代で退く。前半、誰かと接触したわけでもなく、パッと見、傷めたようにも見えなかったので交代の理由が分からず。

どうも前節の試合後の一件がひっかかっていた筆者としては、いわゆる「戦術的な交代」ではないかと考えてしまった。前半、徳島がうまく行っていたように見えた時間はしっかりボールを保持し安易にフィニッシャーにボールを預けてしまわないという、前述のように岩尾選手のコメントを反映したような内容であった。これがチームとしての、もっと言えば監督の意向にそぐわなかったのではないかと邪推したのである。ポヤトス監督のハーフタイムコメントを確認して、さらに疑惑を深めてしまった。

岩尾選手が下がった徳島であったが、後半は前半に比べ「落ち着かない展開」が続く。奪ってからすぐに縦につけ、前線の選手にとにかくボールを入れるというシーンばかりが目立つようになる。セレッソも同じように縦に早くボールを入れてくることが多いので、お互いの陣地をボールが行ったり来たりするような展開。交代選手を投入し活性化を図るも、事態の打開にはつながらず、むしろ尻すぼみ感を覚えながらスコアは動かず0-1で敗戦となった。

試合後のポヤトス監督のコメントの中で、岩尾選手の交代は本人から足に違和感を感じたという申し出があったためであることが説明された。しかし、岩尾選手がいなくなった後半から急に攻撃が単調になり、陳腐化してしまったのは事実である。この変化が岩尾選手不在という属人的な影響なのか、チームとして戦い方を前半とは違う方向にシフトさせたのかはわからない。ただ、今の段階で、チーム内で意思統一が図れていない部分があることは、試合後の選手コメントからも事実のようである。鳥栖戦の快勝があまりよくない意味で影響を与えていそうな印象を受けるのは筆者だけではないだろう。


湘南が勝ち点を積み上げたものの、他下位チームが揃って足踏みをしてくれたおかげで依然大きな状況の変化はない。それでも試合数はひとつ減った。

岩尾選手の途中交代とその後の試合内容の停滞ぶりは少なからず我々にモヤモヤとした感情を残した。最終盤、残留争いも大詰めという段階で、という気もしないでもないが、チームが生き物である以上避けては通れないことなのだろう。次節はチームとして今季最も充実した状態にあるとも言える強大な戦力を有する神戸が相手。しかも、岩尾選手の出場も不透明である。未解決の問題を抱えていたとしても時は待ってくれない。今できることをただやっていくしかない。結果に目を背けることなく祈りながら、徳島の行く末を見届けたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?