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J1第28節 名古屋グランパス戦雑感

前々節はすぐ順位が上の柏、前節は同じ昇格組の福岡と「勝たなければいけない」試合に連敗した徳島。トータルでも4連敗となり、降格圏の17位が定位置となりつつある。今節は名古屋、次節は川崎と上位チームとの厳しい試合が続くことになるが、なんとか浮上の足掛かりをつかめるか。28節は名古屋相手のアウェイゲームとなった。

スタメンは前節から前線の選手3人を総入れ替え。TOPには垣田選手が入り、シャドーの位置に西谷選手と久しぶりの出場となった浜下選手が入った。サブには第15節の名古屋戦以来、14試合ぶりとなる佐藤選手がメンバー入り。名古屋はルヴァンカップに加え徳島戦後はACLでの試合が控えている過密日程。これもあってか、相馬選手、米本選手、ガブリエル・シャビエル選手など主力級の選手がベンチスタートとなった。

序盤は徳島がボールを持つ展開。名古屋も前3枚がプレスに来るがそれほど圧は強くなく、岩尾選手を適宜加えながらビルドアップ。名古屋は低めの位置から最前線の中央やサイドめがけて長いボールを蹴ってくるパターンと左サイドのマテウス選手を起点とするパターンが主。8分には徳島のパスミスをカットして前線のシュヴィルツォクへスルーパスが出る大ピンチを迎えるもカカ選手が抜群のスピードで追いつきゴールを死守する。徳島がボールを保持する際は名古屋がしっかり引いて守るため、ゴール前のシーンにはなかなかならず。それでも今節は奪ってからショートカウンターのような形で素早く攻めるシーンも繰り返し見られた。この攻撃から垣田選手めがけてクロスが上がる場面もあり、11分のヘディングシュートは惜しくもバーの上。

時間が経つにつれ次第に名古屋がボールを持つ時間が増え始め、飲水タイム時点では名古屋がポゼッションで徳島を上回った。徳島としてはボールを持たれる時間が増えると危険な場面も増える。序盤は徳島も相手からボールを奪うことができていたが、次第に押し込まれながら自陣で相手の圧力に屈し逆に危険な位置でボールを失うシーンが見られ始める。奪ったところから決定的なシーンを何度も作られるが、名古屋にルーツを持つGKの長谷川選手がJ2時代の名古屋戦を彷彿とさせるような好セーブを連発し得点を許さず。結局前半終了まで名古屋のパワーを徳島は押し返すことができず、防戦一方となる中なんとか無失点で凌ぎ切ったという展開でハーフタイムを迎えた。

後半も名古屋がボールを握る形でスタートしたが、早々に徳島としてはやや不運な形で先制を許す。49分 最終ラインからのボールを下がりった位置でシュヴィルツォク選手がポスト。勢いを持って内側を走りこんできた森下選手のドリブルを徳島の選手は止められず、不利な形でゴール前へ侵入される。ラストパスを受けた前田選手だったが岸本選手と接触しPA内で倒れる。これがファウルの判定でPKに。このファウルはいわゆるDOGSO(Denying Obviously Goal Scoring Opportunity)に該当するとのことで岸本選手にはレッドカードが提示され1発退場となってしまった。PKもきっちり決められ、徳島は1点ビハインドを負いながら残り時間を一人少ない状態で戦うことになった。

この判定については誤った判定ではないものの厳しすぎるのではないかという声も聞かれた。個人的には前半にPA内で前田選手が岩尾選手にユニフォームを引っ張られて倒されたけどファールにならなかったのと合わせ技なのかなーとも思ったりもした。たぶん違うだろうけど。

この時点で徳島が勝つ確率は残念ながらかなり低くなってしまった。それでも徳島は消極的になることなく、CBが高い位置まで持ち上がったりしながらボールを保持し敵陣でプレーすることを試みる。両サイドの裏をシンプルに狙って名古屋ゴール付近まで行くシーンも見られる。

相馬選手、ガブリエル・シャビエル選手、米本選手を投入し、チームの再活性化を図って徳島にトドメを刺しにくる名古屋に対し、よく耐えていた徳島。しかし83分 左サイドからのクロスに対して途中から入ったジョエル選手のクリアがオウンゴールになってしまいついに追加点を許してしまう。87分にはこの日2本目のPKを献上してしまい、3失点目。そのまま試合終了となり、2試合連続で0-3と大敗。これで5連敗となった。

不運な形で失点と退場を喫してしまったがための敗戦だったと言ってしまうには力の差があったように見えた。指揮官の試合前のコメント通り、この試合において選手たちは「戦えていた」と思う。特に最終ラインでボールを持ちゲームをコントロールした福岡選手、能力の高い相手の前線の選手との1対1でも引けをとらなかったカカ選手、久々の出場ながらもいいポジショニングをとって右サイドで攻撃の中心を担った浜下選手たちのパフォーマンスは素晴らしかった。ただそれでもチーム全体としては特に「強度」の部分で毎度のことだが相手に圧倒されてしまった。プレスに来られるとボールを失うか、相手に背中を向けて苦し紛れに雑に蹴るしかないのに、こちらから2枚でボールホルダーにプレスに行っても相手には踏ん張られてうまく前にボールを運ばれてしまう。中盤でも相手ゴール前でも自陣ゴール前でもいつも同じことが起きる。ならば相手は自陣ゴール前に人をたくさん配置してスペースを消し、攻撃は能力の高いアタッカーへ素早くボールを送り込めば低くない確率で結果が出せる。残念ながらこの徳島攻略法に対する新たな解決策は今のところないように見えるし、それこそお金の力でしか解決できないのかもしれない。

今日の試合が終わって今季のJ1リーグ、徳島に残された試合はあと10試合となった。あとどれくらい勝ち点を積み上げられるのか、それは残留するのに足りる数なのか、それが一番の関心ごとになるのは当然のことであろう。けれど超えられない壁を繰り返し見せつけられている現状で、星勘定をするような立場ではないことは皆きっと分かっているとも思われる。どうか勝敗だけの結果にとらわれすぎず少しずつ成長しながら今できることはやりきれているか、足元を見つめながら1歩1歩進んでいってほしいと思う。

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