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胃潰瘍とルソーの錯覚を聴きながら

限界をかんじる、たぶんとっくに限界だったのだけれど、もう無理だな、とかんじる、息をしているだけなのに苦しい、だれもわたしを詰るものはいないのに、散らかったゴミ溜めのような部屋で膝を抱えている、最近はもはや部屋にもいない、風呂場に枕を持ち込んで過ごすことが増えた、せまく冷える風呂場で蝋燭に火を灯し、揺れる炎を見つめている、疲れたらその場で横になる、固い床、足を伸ばせるほど広くはないから、できるだけ小さく、丸くなる、このまま小さく小さく圧縮されて、微塵子になれたらいいと思う、ときどき小学生に捕獲されて、顕微鏡で身体の隅々まで観察されるだけの穏やかな一生、水面のゆらぎに身を任せて、ゆらゆら、ゆらゆら、漂うのだ

眠れない、眠れずに夜を明かして朝になる、おひさまが高くなる頃に脳が悲鳴をあげだして、昼をすぎた頃に気絶する、何度か目が覚める、そのたびに睡魔をたぐりよせて、夜を越えて朝に目覚める、朧気な記憶、日々が過ぎ去るのがとてもはやい、スピードについていけない、日々も、人生も、人にも、遅れをとって、気後れして、気疲れして、また眠れなくて泣いて、感覚が麻痺してゆく、それでも息をしている、その事実に絶望する、生きる自信がない、生きてゆく自信がない、生きていたくない、死ぬ勇気もない、死んだようにただ 生きている

自分という存在が希薄になってゆくのを感じる
独りがいい、独りはいや、寂しくて頼る人肌、割り込んだ人の輪、
だれといてもどこにいても、わたしはわたしを開かないから
息を止めるように引き出しにしまいこんでいる
呑み込んで押さえつけるのに必死なのだ
そうして可もなく不可もなく生きてきてしまった
だれかのためが自分のためだったから
だれかのためにならなんだってできた
だれかのため に自分をのせて
吐き出したら怒られた
たぶんそれが傷跡

知られるのはこわいよ こんなに汚い自分のこと
面倒な女 メンヘラは御免 また何か言ってる まだ何か言ってる
思考をやめない頭 答えなんてないの どれだけ考えても辿り着かない
ぐるぐるが苦しくて聞いてほしくて
そしたらメンヘラって言われちゃった
この痛みも苦しみもわたしだけのものなのに
痛いのも苦しいのもわたしだって同じなのに
おまえは強いからなんて言われて ?
わたしが気にしなければ、飲み込めば、笑っていれば、
だれも嫌な思いをしない ?

この世はうまくできているから
傷ついて痛くても我慢して許して笑っていれば
誰もその傷に気づかないのに あとも何も残らないのに
しんどくて苦しくて隠しきれなくて
少し言葉や態度に滲んだだけで 嫌な人になってしまう
心の傷 は目に 見えない から

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
破れた傷を繕って 継いで接いで 縫い直して
ぐずぐずの傷が直りきらないまま また破れて取り繕って
脆くなった弱いところもう触らないで 狙わないで

かなしみをわけてほしいのは 話して聞かせてほしいのは
わたしがそうされたいからだよ そうされたかったから
少しでも楽になればいい 聞くことくらいしかできないけれど
そういうの いつか返ってくればいいねって
エゴに見返り求めてる時点でクソなの わかってるよ

ぐちゃぐちゃなの 見て引かれるのもわかってるから
そっと引き出し開けてもらわないと まあ無理なんだけど
こんなもん見てもらうのも申し訳ないし
ふつうに ちゃんと まいにち生きてるひとに
大事な時間わけてもらうの もうしわけないし
ぐずぐずに思考煮詰めて腐っていく しびれるる

暗い浴室で 元気になりたくて 風邪薬流し込んで
コデインに酔ってハイになって歌ってゲロ吐いて死ぬ
なんにもおもしろくないけどちょっと笑えるし泣けたりもする
麻痺した感情の起爆剤みたいな
それでいて痛覚がバグる その瞬間がちょっとすき
見えない心の傷を可視化して
こんなでも生きてるんだなって眺めてる

まえは動悸を止めて気合を入れるためだったけど
今はちがう
几帳面に並ぶ平行線が心地良いってそれだけ
ヒリヒリとかクラクラとか 楽しくなってるだけ

かまちょとかそんなんじゃないんだけど
そう思うならそれでいいよ

ぼろぼろの左腕も内蔵もからっぽのあたまも
あいしてくれますか

どろどろの中身なんてどうでもいいからさ
知らないまま黙ってなにも聞かないでさ
できればやさしく殺してほしいんだよ
そんで骨の髄まで余すことなく食べてほしいんだよ
冷凍庫に保存してくれればたぶん保つからさ
わたしをあなたの血肉にしてよ
まっぷたつになっても幸福そうに笑ってみせるからさ

だれかの永遠になりたいんだ

よくわかんない
戯れ言

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