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名古屋市で実証実験!部活動リモートコーチングによる指導者課題のDX化

こんにちは。オープンコラボレーションハブ「LODGE」の中川です。
先日、名古屋で開催された「NAGOYA Open Innovation Day」に、ヤフー名古屋オフィス所属の八木さんと参加しました。本イベントで成果報告発表された、ソフトバンク株式会社 × 名古屋市教育委員会部活動振興室の取り組み「待ったなしの部活動改革! 子どもたちの成長と教員負担の軽減を両立したい! - AIを活用した専用アプリによる部活動効率化の実証 -」について、担当者の方にお話を伺った内容なども交え紹介させていただきます。

名古屋市教育委員会 部活動振興室 主査:本多良樹 様、ソフトバンク株式会社 CSR企画部 遠隔コーチング支援課:村山裕紀 様による実証実験報告のプレゼンが行われました。

中学校・高校部活動の現場にある指導者リソースの課題

昨今、中学・高校で行われている部活動は徐々に地域移行(学外のクラブ活動との統合、専門的指導者の外部委託)が進んでいるものの、まだまだ教員が本来業務(授業や学校)に加えて部活顧問を務め、指導にあたっているケースが多いようです。また、部活動競技の専門知識、経験がない教員が指導にあたるケースも少なくなく、学校によって指導レベルの差が生まれていることも課題になっています。

土日祝日も練習、試合などで時間が割かれる部活動指導は、多くの教員にとって負担と感じているようです

名古屋市教育委員会としては、部活動に携わる教員の負担を軽減するため、より少ない指導者・より短い練習時間で効果的な指導を行うためのICT 活用を図りたいとのことで、2022年のHatch Technology NAGOYAで提起されたところ、ソフトバンクのソリューション「スマートコーチ」とマッチングし、実証実験フェーズに入ったとのことです。

リアルタイムでリモート指導が可能なサービス「スマートコーチ」とは?

ソフトバンクが開発した「スマートコーチ」は、元プロスポーツ選手やアスリートなど、知識や経験が豊富な専門コーチからプライベートレッスンやグループレッスン、リアルタイムのライブレッスンを受けることができるサービスです(各レッスンは有料)。
このプラットフォームを使った部活動の遠隔指導を、地域課題解決の一環としてソフトバンクとしても提供しています。

今回の名古屋市の実証実験では、中学校のバスケットボール部の部活動を2校同時に専門コーチがリモートで指導する(1校は対面、もう1校をリモート)取り組みを、計6回実施されたとのことです。
また、リモート先の中学校の生徒には2022年3月に提供開始したAIスマートコーチをタブレットで使ってもらい、個人のスキル向上に役立つ機能(シュートフォームの動画比較やAI骨格解析)を試してもらったとのことです。

リモートで指導を受ける側の学校では「リモート補助」担当がカメラとなるiPadの操作や生徒への伝達をサポートします。
生徒の間では「AIスマートコーチ」の動画比較が評判よかったとのこと。生徒同士でもプロ選手との比較などもできるそうです。
リモートコーチにおける課題が浮き彫りになり、今後の改善に期待したいところです!

この取り組みに参加した生徒から「満足・やや満足」に全体の6割近い評価が得られたとのこと。何より「直接指導される部活動ととくに大きな差はない」と感じていただけたことは今回の一番の成果だったのではないでしょうか。加えて「楽しかった」「専門コーチの指導でスキルが上達したと感じる」「(AIスマートコーチの併用で)もっと上達したい意欲が向上」など、プラス要素も多かったと感じます。一方で「声が届かないときがあった」「ときどきモニターを確認しないといけない」「スムーズな進行ではなかった」という声もあったようで、ICT機器を使う上での課題や改善余地も明らかになったようです。
今回の実証実験を経て、名古屋市教育委員会としても課題となった点の解決等、さらなる検討を行っていくとのことです。

・「リモート」でも専門コーチによる指導成果は確認できた
・「2校同時」による指導進行の課題はあった

部活動リモートコーチングの今後の展望、解決すべき課題は?

今回は、中学校のバスケットボール部活動、中でも個人練習を中心とした練習内容についてリモート指導した実証実験でしたが、やはり遠隔からリモート指導する環境では、多人数でのプレーやゲーム形式の指導などはまだ難しいのではないかという意見もありましたし、リモートでコーチする指導者側のスキルセットも「競技指導のスキル + ICT機器を介して生徒とコミュニケーションが図れる方」が適任になってくるだろう、とのことでした。
逆に、文化系の部活は大きな動きやカメラアングルの調整がさほど難しくないとも考えられるため、華道部や茶道部のような部活動で活用を検討するのも一考できそうですね。

令和4年(2022年)にスポーツ庁から制定されたガイドラインによって「部活動を学校単位から地域単位へ移行していく」方針は決定されましたが、学校現場主導で体制を変えていくには限界があります。名古屋市のように教育委員会が先頭立ってICTサービスを教育現場に積極活用する取り組みは、教員が部活動の専属顧問として就く体制からいち早く脱却していく一歩になると思いますし、何より教員の本業(授業の準備、生徒指導、生徒の進路相談に向き合う等)の時間確保につながります。教員だけでなく生徒にとってもより豊かな学校生活を送ることができるようになる、これが名古屋市が目指す課題解決のゴールだと思います。スマートコーチを運営するソフトバンクも「これからも部活動の地域移行を進めていくお手伝いをしたい」とサポートに強い意欲をお持ちでした。

報告会のあと、名古屋市教育委員会:本多さんと対話するヤフーの八木さん。
八木さん自身がバスケットボールで経験してきたことや名古屋の地域課題などを共有したり、意見交換することができました。

いかがだったでしょうか。部活動のリモートコーチング、活用の場が広がるといいですね。
ICT機器を介してコーチングするということは、「データが貯まる → 良いデータは共有できる → 競技のレベルが上がる、活動の幅が広がる」へ繋がっていくと私は感じました。本件については進捗があり次第、またこの場で取り上げていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

本件に関するお問合せ、LODGEへのコンタクト

■ 名古屋市 教育委員会 部活動振興室
a3265@kyoiku.city.nagoya.lg.jp

■ ソフトバンク株式会社 「ICTを活用したスポーツ遠隔指導」担当
SBMGRP-ICTbukatsushien@g.softbank.co.jp

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