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食思考マラソン(19)食思考停止とリハビリテーション│太田充胤

ご無沙汰しておりすみません。
いろんなことが重なり、しばらく記事を書けませんでした。

確認すると前回の更新が9月9日なので、隔週更新のところ実に7週間もあいだがあいてしまいました。
この間、私自身の食事もかなりいい加減で、もはや面倒になって近所の飲食店に滑り込んだり、これまでめったに使わなかったデパ地下のお惣菜等を買ってみたり、時々自炊をしてみれば適切な調理の流れを思い出せず台所に立ち尽くしたりといった具合に、まあめちゃくちゃでした。

本連載のミソは、「食事」という毎日必ず発生するイベントをネタにすることによって、原理的にネタ切れを回避するという点にありました。
これに加えて、力を抜いて書く、字数を絞って書く、等々、書く際のハードルをなるべく低くするようなルールを定めることによって、いつしか自分の中では「どんなに忙しくても疲れていてもこれだけは書ける」というタイプの原稿になっていました。

正直、天才的な発明だと思っていましたが、甘かったですね。
実際には、書いているのは「食事」そのものではなく「食思考」、すなわち「食べるために考えたこと」であり、「食べながら考えたこと」なのでした。したがって、食べること自体にメモリを割けず、適当な食事ですませているときには、この連載も書けないわけです。

進めば進むほど実感が深まってきますが、「食思考マラソン」というタイトルは我ながら絶妙です。走り続けている間、走ることはそれほど難しくありません。一度立ち止まると、再び立ち上がって走り出すのは大変です。生活も、連載も。

一度立ち止まってしまったら、走り出す前に衰えた筋力をとりもどすことから始めなければなりません。ということで、今回は食べることと書くことのリハビリテーションです。
ほんとうは前回の記事が途中なのですが、いま続きを完成させることは大変そうなので、またの日に掲載できればと思います。


リハビリテーション1日目

まずは買い物です。

野菜室には、妻が2日くらい前に買ってきた小松菜とつるむらさきが入っています。これだけではどうにもなりません。いや、どうにもならないことはないはずですが、ここから献立を組み立てるだけの筋力がありません。

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