「ワークショップ疲れ」にひと工夫

本日は、日本各地を飛び回るロコワークメンバーもりおの投稿です。
日々、自治体や地域の人と話をするなかで見えてきた、各地の「ワークショップ疲れ」の背景と、あるべき姿とは…?

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「補助金に頼ると(地方創生は)失敗する」って本当?

地方創生をがんばります!とかいう人色々いますよね。立場はさまざまでも、志がまっすぐで邪心なく、ピュアにそれをやっているんだろうなと思います。やり方は違っても、それぞれあまり邪心が感じられないのは、地域活性化のお話って儲かる話じゃないからなのかもしれません。
そんな中、地域活性化でうまくいっている人は、行政の補助に頼ると失敗するよ、と手厳しく言うときがあります。それは、しばしば正しくて、たまに違う時もある。補助金の活用で失敗するポイントは、補助事業終了後の自走化。自走化が上手くいけば、失敗しないこともある。そう思う。それと、失敗する事例としては、迂闊に外部知見者に任せてしまって、その事業の地域への着地を考えることを怠る場合かな。外部知見者はなんか凄そうなこと言うから、そしてその言葉が素敵だから、つい任せてしまったりして、地域と知見者とのマッチングを怠るという失敗に繋がったりする。そこに距離があると、知見者もその地域固有の知見を得られないから、ロクな具体策に繋がらない。外部の人には、如何にして地域のリアルを体験してもらうかが大切だと思います。机上の空論ではなくて、地に足のついた施策を作らなくてはね。


地域のモチベーションと経済循環の交差点に行政施策を

かたや自走化の失敗は、その事業に関して地域内のステークホルダーを本気にさせることに失敗していることが多いと感じる。つまり、地域内に強いモチベーションを持つ複数主体を作れなければ、事業は続かない。どれくらいそのモチベーションは強くなければならないかというと、それを実行する際のリスクテイクを自分がやりたいと思うくらいの強さが必要なんだと思う。地域活性化の成功者たちは、実際に覚悟をもってリスクを自ら負っているし、それをほかの地域の同志にも求めるようなことがある。そう考えると、逆に行政は、地域の人たちが「これこそやりたいことなのよ」というモチベーションがあるところに、そのスタートアップのリスクを低減させる補助を施策とすべきだろうし、そのモチベーションが込められた事業を地域にとって意義のあるより大きな経済循環につながるトリガーとすべく、より広い視野で考えられるように、外部知見者を巻き込んでいくように設計すべきなのではないか、と、思うわけです。
のっけからこの文章のタイトルと異なることを書いてある気もするけれど、そろそろ本題です。


手っ取り早く情報集約するだけのワークショップは疲弊を生む

外部の知見者が入ることで地域にとって有効な計画がつくれることがありますよね。とくに地域の取り組みの市場性やPLを考えた際の設計に関しては、ブラッシュアップされていく。ただし、地域のリアルを知らなければ、良い設計にはならないことは自明ですけどね。
外部知見者に地域の実態を知ってもらう手っ取り早い方法。それがワークショップです。知見者も地域のことを知りたいからワークショップでいろいろ聞き出したいわけです。でもそれがなかなか自走化する未来へ繋がらない。ワークショップに参加する地域の人は、ワークショップという手法が採られる度に呼び出され、毎回いちから同じ話をし、だんだん飽きてくる。これがワークショップ疲れ。
もともと呼び出される方々は地域の将来を真面目に考え日々頭を捻っている、そんな方々。せっかく持ち合わせていたモチベーションも先へつながらないワークショップが続けば、色褪せてしまう。地域の大切な資源が損なわれる。とてももったいない話です。
本当なら、外部の知見を持った人が、その地域に住み、コミュニティへ浸透し、地域の人たちが実現したい姿を共有し、なぜそれが実現しないのかという地域固有の課題を知り、外部の人間だからこそのフラットな解決法を考え、地域に良好な経済循環をもたらす設計をじっくり考えられればいいのです。でも、そんな時間も、それだけ地域に浸透してもらうだけの予算もなかなかないのが実態ですよね。だから、ついワークショップという答えに頼ってしまうのです。


「ワークショップ」をその名の通り「共創」の場へ

だとするなら、ワークショップの在り方を考えるしかないのかもしれません。ワークショップが陥りがちな問題は、ワークショップを知ることに終始させてしまうこと、ワークショップで捻り出したアイディアの実現がサポートされないこと。そんなところかと思います。実現していく実感や知ることに留まらないビジョンの設定と共有があれば、ワークショップ疲れはある程度防げるのかもしれません。そのためには外部知見者も自分のノウハウの中で解決しようとするのではなくて、その場で学んで、事情にカスタマイズした具体策を捻り出していかなくてはなりません。もはやそれはアドバイザーではなくて、ビジョンを共有する同志です。そこまで外部を巻き込むことも、ワークショップ主催者なら気をつけていきたいところです。


今日からできる、「ワークショップ」へのひと工夫

地元の意志高いプレイヤーを起動させていくためには、以下のことが必要と考えます。
深く話をしてビジョンを共有すること。そのビジョンは共有される人たちのあるべき姿に向けた合言葉として機能すること。ただの掛け声に終わらないために、具体的なモチベーショントリガーをセットすること。モチベーショントリガーとは、みんなで〇〇になろう、特定の誰かに対して〇〇してやろう、と言った手触り感のある目的である必要があります。そして、大小は問わないビジョンに対して、ハードルは低いものでも実現の実感が得られる課題を設定し連鎖させていくこと。
ワークショップが目指すソリューションはさまざまでも、これらのことがプログラムされていれば、ワークショップはその課題に対して機能しやすいものになるのではないか、と思います。
ビジョンとトリガーと具体的実現項目をもって、モチベーションをマネジメントしていく。それをワークショップという平易な装置の中にプログラムしていければ、ワークショップ疲れって軽減できると思うんですよね。
これは、外部知見者には少し負荷のかかることかもしれません。フォーマットは通用しないですから。でも、地域はそれぞれの地域ごとに個性が豊かなんです。だから、その個性に付き合うべきなんです。
それに二の足を踏む外部の人がいたとしたら、その人はわざわざアサインするに値しないかもしれませんね。リソースの使い損にならないよう、地域の貴重な人材資源が疲弊しないように、ワークショップはしっかりプログラムしたいですね!!



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