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梗概の基本的な書き方

1.梗概こうがいについて

梗概とは?
辞書で「梗概」を引くと、このように記載されています。
――物語などのあらすじ。あらまし。大略。
本記事では、この梗概について書いていきたいと思います。

梗概の役割
梗概の一番の役割は「相手に物語を理解してもらうこと」です!
この考え方を軸に、次章で梗概を書くときのポイントを記載していきます。

2.書くときのポイント

1.結末やオチまで書く!
これに尽きます。
よく梗概と混同されるのが、帯や文庫本の裏などに書かれている内容紹介の文だと思います。
内容紹介の役割は、読んだときに「面白そう! 買ってみよう!」と思ってもらうためのものです。そのため結末やオチまで記載する必要はないです。
しかし、梗概は「理解してもらう」ことに重きを置いているため、最後どうなったのか、謎や伏線に関するオチまで書く必要があります。

例えば、映画『シックスセンス』の梗概であれば、自分の正体が幽霊だったという部分も書く必要があります。

2.困ったらログラインを書く!
梗概を書く際に困ったら、ログラインを作成してみると、頭が整理されると思います。

ログラインとは、「物語を一文、二文でまとめたもの」のことです。
私のなかでは、会話のなかで誰かに物語を説明するイメージです。

「桃太郎ってどんな話?」
「桃から生まれた少年が、悪いことをする鬼を倒して財宝を奪い返す話」← これがログラインとなります。

小説を書いていると段々と話が複雑になってくるので、ログラインでストーリー上の幹(誰が何をする話)を用意しておくと「この場面は梗概上要らない」などの判断がしやすくなります。

※ログラインは、あくまでストーリー上の幹であり、作者にとってのテーマなどとは直結しない場合もあると思います。

3.『桃太郎』の梗概を書いてみる。

実際に『桃太郎』を例に200字で梗概を書いてみました。

ログライン
桃から生まれた少年が、悪いことをする鬼を倒して財宝を奪い返す話。

梗概(199字)
老夫婦が川で拾ってきた桃を割ると、中から男児の赤ん坊が現れた。
彼は桃太郎と名付けられ、育てられる。

桃太郎は力持ちで勇敢な青年へと成長した。
悪事を働いている鬼の存在を知り、退治することを決意する。
鬼の住み処である鬼ヶ島へ向かう道中、出会った犬、猿、雉が仲間となる。

鬼ヶ島に着くと、桃太郎一行と鬼の戦いがはじまる。
桃太郎の腕力の強さに鬼は降参する。
財宝を奪い返した彼は故郷の村へと帰還する。

4.解説

私なりに『桃太郎』の200字程度の梗概を作ってみました。もちろん、もっと良い梗概もあると思いますが、「理解してもらう」という点で大きく外してはいないと思います。
では、ここから作成した『桃太郎』の梗概を解説していきたいと思います。
3つの段落に分かれているので、段落ごとにポイントを解説していきます。

【段落1】
老夫婦が川で拾ってきた桃を割ると、中から男児の赤ん坊が現れた。
彼は桃太郎と名付けられ、育てられる。


老夫婦が川で拾ってきた
正しくは桃を拾ってくるのはおばあさんですが、そこは明確にしなくても梗概上の問題はないという判断をしました。
男児の赤ん坊
赤ん坊だけだと、男女どちらかわからないので「男児の赤ん坊」としました。
彼は桃太郎と名付けられ
前の文で男児と書いているので、ここでは彼で通じます。「男児の赤ん坊=彼=桃太郎」と理解してもらえます。

※桃太郎は誰でも知っている作品なので、「赤ん坊」とだけ書いても通じると思います。ただ、これから書かれる作品については誰も何も知りません。作者が思っている以上に読者に情報は伝わっていないということを意識してもらえたらと思います。

【段落2】
桃太郎は力持ちで勇敢な青年へと成長した。
悪事を働いている鬼の存在を知り、退治することを決意する。
鬼の住み処である鬼ヶ島へ向かう道中、出会った犬、猿、雉が仲間となる。

桃太郎は力持ちで勇敢な青年へと成長した。
桃太郎のパーソナル情報であると同時に、力持ち=鬼ヶ島での戦いで鬼を倒せる理由、勇敢=悪事を許せないため鬼ヶ島へ向かう動機をそれぞれ理解してもらいやすくしています。
悪事を働いている鬼の存在
鬼という新しい固有名詞が出てきたので、どのような存在なのか補足する必要があります。そのため、単に鬼ではなく、悪事を働いている鬼という書き方をしました。
住み処である鬼ヶ島
上と同様の理由で、鬼ヶ島という新たな専門用語を理解してもらうための書き方です。
実際には鬼や鬼ヶ島も一般的に知られている言葉なので、段落1の桃太郎と同様に補足しなくても伝わると思います。
犬、猿、雉が桃太郎の仲間となる。
きびだんごと動物たちが仲間になる件ですが、今回省いてみました。梗概の字数にもよると思いますが、ログラインと照らし合わせてみると、ここは省略可能なシーンだと思います。

【段落3】
鬼ヶ島に着くと、桃太郎一行と鬼の戦いがはじまる。
桃太郎の腕力の強さに鬼は降参する。
財宝を奪い返した彼は故郷の村へと帰還する。

桃太郎の腕力の強さ
腕力については段落2で桃太郎のパーソナル情報として提示しているので、力持ちであることをスムーズに理解してもらえます。
財宝を奪い返した彼は故郷の村へと帰還する。
ここも段落2で目的を提示しているので、行動の整合性が取れています。

以上です。いかがだったでしょうか。

5.まとめ

梗概とは……
①読んで理解できるもの。
②結末やオチまで書く。
③困ったらログラインに立ち返る。
④作中の専門用語には、簡単な解説をつける。

是非、ご自身で梗概を作る際の参考にしていただければと思います!

※物語によっては時系列を入れ替えることで面白さを出す作品もあると思います。ただ、梗概を書き慣れていない場合は時系列順に書くことをおすすめします。本文と梗概は別物なので、両者で話の順番が変わっても問題はないと思います。
繰り返しにはなりますが、梗概は意味を理解してもらうことを一番の目的としています。そのため、伝わりづらくなるリスクは極力避けるべきかなと考えています。

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