失敗をさらけ出す勇気を持つためにはどうしたらいいのか
効果的なチームとなる条件
アリストテレスというプロジェクトをご存知でしょうか。Googleが効果的なチームとなる条件を明らかにするためにGoogleの社内チームを調査したプロジェクトです。チームによって生産性が異なるのはなぜか、高いチームはどのような取り組みをしているのかを調査し、結果として効果的なチームは以下の要素を持っていることが分かりました。
・心理的安全性
・相互信頼
・構造と明確さ
・仕事の意味
・インパクト
最初に挙げられている心理的安全性というのは「関連のある考えや感情について人々が気兼ねなく発言できる雰囲気」のことです。この心理的安全性がチームの土台となり相互信頼を生み出してきいき、そして効果的なチームと繋がります。
調査の詳細に関してはGoogleが公開している「効果的なチームとは何か」を参照ください。
スペースシャトル「コロンビア号」
それでは心理的に安全というのはどういう状況でしょうか。NASA(アメリカ航空宇宙局)は、2003年にスペースシャトル「コロンビア号」を打ち上げました。打ち上げ後にビデオチェックしていたあるエンジニアがシャトルが破損した可能性に気づいて上司に報告しましたが、一向に対策が講じられれず時間が過ぎていきます。居ても経っても居られなくなったエンジニアはミッションリーダーがいる全体会で破損した懸念を取り上げてもらおうと上司ばかりがいる会議の中で発言を決意します。しかし地位の高い人に話すことによって自身のキャリアへの悪影響を気にして結局は発言しませんでした。その8日後、スペースシャトルは燃え上がり7名の宇宙飛行士が死亡します。
もし発言をしていればリーダーがそこまで言うならばと認識を改め、念の為に外壁に耐熱素材を補強しておけば生存の可能性が変わったかも知れません。もちろん事故の要因としては飛行計画チームのリスク判断が甘かったなど他の要因もあり、彼がミーティングで発言しなかったことだけが事故に繋がったわけではありません。ただ彼は発言を躊躇しました。気兼ねなく発言できる雰囲気がなかったのです。
職場でのイメージリスク
1965年、組織改革の研究を行っているMITのエドガー教授とウォレン教授が心理的安全を生み出しました。教授らは心理的安全があると「希望を否定するデータが提示された際に生じる保守的な姿勢(学習不安)」を克服できると考え、保身を考えなくなり集中がより向上すると結論しています。
ただし注意するべきは「プレッシャーがなくメンバー同士が居心地良く仲が良い状態」は一見良さそうですが心理的安全は高くありません。チームの結束性というのはかえって異議を唱えることの積極性を弱める可能性があります。人は意見が一致している調和を乱したくはないのです。これを集団思考と言います。
職場で調和を乱すことはイメージリスクの1つです。イメージリスクを最小限にするのは簡単です。絶対的な自信がなければ、何もせず、何も発言しなければいいのです。ただ、これでは創造性がなく、イノベーションが犠牲なり、何より本来あるべき健全な人間関係を作るチャンスまでをも失ってしまいます。
ちなみにイメージリスクには以下の4つがあり、リスク毎に関連する活動量が低下します。
・無知だと思われる不安 => 質問をしなくなる
・無能だと思われる不安 => 支援を求めなくなる
・ネガティブだと思われる不安 => 批評をしなくなる
・邪魔をする人だと思われる不安 => フィードバックを求めなくなる
無知や無能をさらけ出すには
イメージリスクを気にせずに無知や無能をさらけ出すには勇気がいります。そのために自身の体験談を語り共有します。体験談は業務のことでもプライベートなことでも構いませんが、最初は話しやすい日頃の雑談のようなことから話始めます。雨の予報なのに傘を忘れてきてしまったとか、お弁当があるのにご飯を食べてきてしまったなどです。日常の失敗談であれば聞き手は非難したり代替案を提示しません。クスッと笑うだけです。それに日常の失敗であれば聞き手は質問から行います(例:傘を忘れるなんて何かあったんですか?)。これを利用して失敗を話しても避難されず受け入れる雰囲気を養生します。
ちなみに失敗を1つ共有したら好きなお菓子を食べれる権利が与えられます。失敗をさらけ出してメンバーが笑って受け入れてくれてお菓子も食べられる、またさらけ出したい、さらけ出すと良いことがあると思ってもらいたいからです。
業務でよく見かけられるのが感情的な反応型フィードバックか指示型フィードバックです。そうすると心理的安全性は損なわれ、指摘を受けた人はよりイメージリスクを気にするようになります。そしてフィードバックを求めなくなる悪循環に繋がります。そのためにもアウトプットに最初に触れたときは非難せず笑って質問して背景や想いを聞いてあげることが大事なのです。
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